こんにちは！エイチーム引越し侍の岸です。マーケティング部所属のエンジニアです。
今回は、マーケティングの知識と、エンジニアとしての知識を活かして、
2017年9月にリリースされたSafari 11.0より導入された「Intelligent Tracking Prevention（ITP）」についての記事を書きたいと思います。

これ何の記事？

AppleのSafari 11.0から「Intelligent Tracking Prevention（以降ITP）」が搭載されました。
これなに？という説明から、これが導入されることによるマーケッターへの影響と、エンジニアが知っておくべきことをまとめます。

ITPとは？

簡単に言うと、ITPはユーザーのプライバシー保護の観点から、「サードパーティードメインへのCookie保持期間を24時間までとする」といったものです。

こちら、WebKitから引用してきた画像になるのですが、本来のCookie保持期間は30日間なのに対して、サードパーティードメインへのCookie保持は24時間とはっきり記載されていますね。

引用 : WebKit Intelligent Tracking Prevention

例えば、a.com（ファーストパーティードメイン）というサイトから、b.com（サードパーティードメイン）へのCookie情報引継ぎは24時間までとなります。

こちら、2017年6月5日のAppleの開発者向けカンファレンス WWDC 2017 で発表され、2017年9月20日にAppleがリリースしたSafari11.0より標準搭載された機能です。

どんな影響があるの？

具体的には以下のような影響があると考えられています。

Google Analytics、Google AdwordsでのCVタグが発動しないケースが発生する

　例えば弊社が運営している引越し侍(https://hikkoshizamurai.jp/)からしてみたら、Google Analytics、Google Adwordsはサードパーティードメインとなります。
　ですので、Safari11.0ブラウザを使って、24時間より後に再訪してきたユーザーについてはコンバージョンタグが発動しないという現象が発生します。
　コンバージョントラッキングが正常にできないのはマーケッターにとっては結構いたいですね...

リターゲッティング広告で追跡できるのが最大24時間になる

　これも上記と同じ理由なのですが、サードパーティーへのCookie保持期間が24時間になることにより、リターゲッティング広告で追跡できる期間も24時間になってしまうことになります。
　余談ですが、この機能追加により、Criteo広告を展開しているCriteo社の株価が一気に下がったそうです...

safariのcookieポリシー変更により、Criteoの株価が約300億円吹き飛ぶ

これにより影響を受けるのはだれ？

リターゲッティング広告で追跡できる期間が24時間になってしまうのはマーケッターにとっては非常に痛いです。リターゲッティング広告からの流入したユーザーは数あるディスプレイ広告の中でもCVRが高いと言われていますので、この広告での追跡期間が短くなるのは、企業にとっても痛手です。

尚、コンバージョンタグが発動しない問題への対策として、Googleが以下のような対策を打っているようです。

自動タグ設定が有効になっており、Google Analyticsタグが実装されているサイトでは、今後、ドメインに Google Analyticsの新しい Cookie が設定されるようになります。この Cookie には、お客様のサイトにユーザーを誘導した広告クリックに関する情報が保存されます。AdWords と Google Analyticsのアカウントがリンクされている場合、AdWords のコンバージョントラッキングタグでその情報が使用可能になります。
AdWords では引き続き、Google のサービスやドメインを最近利用したユーザーのコンバージョンをレポートいたします。
また、統計モデルを使用して、Safari で測定できなかったウェブサイトコンバージョンを推定し、その推定値もお客様のレポートに含めてまいります。

エンジニアとして気を付けるべき点

Cookieを使ったデータの受け渡し処理というのは比較的よく使われている処理ではないでしょうか？
ドメインをまたいでというパターンは少ないかもしれませんが、そのような処理を行う場合は、24時間しかCookieが有効ではない点を意識したうえでの開発を行うか、そもそもドメインをまたいだCookieによるデータ引継ぎ処理を行わないように意識する必要がありそうです。

追伸

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