
私は近眼なので、普段から眼鏡をかけています。
私の使っている眼鏡は「遠くのものがよく見えるようにする」という単機能しかありません。
もちろん、遠近両用のレンズやまぶしさを軽減する偏光レンズを備えた眼鏡もあるでしょうが、基本的にはアナログデバイスとして使っている人が多いかと思います。
ただ、近年「スマートグラス」という製品が登場し、眼鏡をデジタルデバイスとしてスマホと連携させて使う製品がたくさん出てきています。
スマートグラスは見た目が通常の眼鏡に近いものが多く、パッと見ではスマートグラスとはわからないものも増えてきました。
そのため、普段使いしていても周りの人から「変な人がいる!」と思われずに使えるようになってきていると感じています。
私も2か月前ぐらいからスマートグラスの「Even G1」を日常使いしているので、今回はその所感を書いていきたいと思います。
スマートグラスとARグラスの違い
スマートグラスの定義としては、
通知確認、通話、音楽再生、撮影など、スマートフォン連携が主目的のウェアラブルデバイス全般
とします。
ちなみに似たような製品でARグラスというものもありますが、こちらの定義は、
現実世界に3Dオブジェクトや情報をリアルタイムで重ねて表示する、AR技術に特化したもの
とします。
スマートグラスの機能を内包しているものもあるかもしれませんが、ここではあくまで私が日常使いしている「スマートグラスのEven G1」としての機能の感想を書いていきます。
Even G1ってどんなスマートグラス?
見た目は普通の眼鏡で、カメラとスピーカーが付いていないのが特徴です。
なかなか割り切ったスマートグラスです。
ただ、私はこの割り切りが気に入って、日常使いをしています。
眼鏡にカメラが付いていると、それを見た周りの人は警戒しますよね?
また、他社製スマートグラスのスピーカーは音漏れが多々あり、周りの人に音を聞かれてしまったり、なにより静かなところでないと聞こえにくい製品が多いです。
文字や写真では伝わりにくいのですが、眼鏡としての作りがしっかりしていて、よくあるガジェットのようにフレームがゴツかったり、弦(つる)の部分が太くて違和感があるということがありません。
それから、スマートグラスなので、スマホとBluetoothで接続し、連携して動作します。
そのため、日本で使う場合は技適を取得している必要があり、この製品はそのあたりもクリアしています。
これは結構重要で、技適が通っていない製品でも日本のショッピングサイトでは平気で売られていたり、技適が通っていると記載してあっても、番号を検索してみると実は嘘だったりすることもあるため、購入者が注意しなければならないのが実情です。
技適の詳しい話については今回省きますが、知らずに使っている人もいるだろうなぁと思います。
Even G1については下記の動画で説明されているので、こちらを見た方が概要は掴みやすいかと思います。
The Story of Even G1 - Display Smart Glasses by Even Realities
YouTubeで検索するとレビュー動画もたくさん出ているので、詳しく知りたい方はそちらも調べてみるとよいと思います。
スマートグラスEven G1の主な機能
機能は下記の通りです。
また、日常よく使っているものは◎、使えるものは〇、微妙なものは△、使っていないものは×としています。
| 機能 | 説明 | 日常、使っている? |
|---|---|---|
| 通知表示 | スマートフォンからの通知(LINE、Xなど)を視界に表示 | ◎ |
| クイックノート(音声メモ) | 喋った内容を即座にテキスト化してスマホアプリに記録 | 〇 |
| 翻訳 | 周囲の会話をリアルタイムで翻訳しディスプレイに表示 | × |
| ナビゲート | 目的地までの矢印や距離を視界に重ねて表示 | × |
| テレプロンプター | プレゼン原稿を視界に表示し、視線を外さずに話せる | △ |
| AI | 音声で質問するとAIが回答を視覚的に表示 | △ |
| 文字起こし | 自分の発言をテキストとして記録 | × |
夢のある製品ではあるのですが、現実は厳しいです。
機能別にどんな使い方をしているのか記載していきます。
これは便利! 通知機能
スマホに届いた通知のうち、見逃したくないものをEven G1の設定アプリ内で選び、通知を受けることができます。
Even G1にだけ通知するものをフィルタリングできるのです。
Even G1に通知を飛ばす利点としては、受動的に目の前に通知が表示されるため、自分が認知しやすいという点です。
スマホやスマートウォッチであれば、通知が来たら音や振動で教えてくれますが、内容を知るには「画面を見る」というアクションが必要になります。
その動作を省けるのが大きな利点です。
大事な通知を見逃すことが非常に減りました。
ちなみに通知設定はLINEやDiscordなどのメッセージアプリ以外に、監視システムのアラートも飛ばすようにしています。
私が外出中は部屋で監視システムを動作させており、飼っている「ネコ」が侵入してきたら分かるようにしています。
この監視システムについては別の機会にネタとして書いてみたいと思います。
クイックノートで忘れてはいけないことをすぐにメモ
「眼鏡の右の蔓(つる)に触れる」という1アクションで、音声メモと文字起こしをしてくれます。
常に身につけている眼鏡の蔓に触れるだけなので、パッとアクションに移すことができます。
また、この音声からの文字起こしについてもなかなか優秀です。
例えば、歯医者の予約を忘れないようにメモするときに、
「12月20日、15時半、歯医者」
と音声入力すると、メモの方では、
「12月20日、15時半から歯医者の予約があります」
と文章の体裁に整えてくれます。
日本語での認識率も高いので、これは日常使いができる便利機能になっています。
スマホやスマートウォッチでも同じことはできると思いますが、1アクションで完結できることが利点であると感じています。
AI機能は用途を絞れば使えるかも
音声メモのように眼鏡の左の蔓に触れて音声入力すると、質問に対する答えをスマートグラス上に表示してくれます。
ただし、使えるAIは下記の3つで、アプリからどれを使うか設定します。
-
Even LLM:
まともに日本語が通りません。なので使えません。 -
ChatGPT:
日本語で使えて、まともな答えが返ってきます。ただし、自分が契約しているChatGPTのアカウントと紐づけては使えません。
また、天気や株価など、日常的に変わる情報には対応できません。 -
Perplexity:
この記事を書いているときはトラブルで使えないようです。
普段からこれは使っていません。
AIの利用としては、知らない言葉がどのような意味なのか聞いてみたり、簡単な計算をさせたりするぐらいです。
他のシステムと連携ができないので、使うシーンは少ないです。
このAIを便利に使えている人がいたら、どんな時に利用しているか教えてほしいです。
翻訳はまともに使えません
スマートグラスの利点として翻訳機能をあげていることは多いのですが、まだまだまともに会話ができるほどレスポンスが良くなく、使うには辛いところです。
英語や中国語を日本語に変換する機能を何度か試していますが、ゆっくり丁寧に話してくれれば使えるかもしれないものの、日常会話ぐらいのスピードだと翻訳が追い付かないです。
無料プランしか試していないので、有料プランなら使えるのかどうか不明ですが、これが本当に日常会話レベルで使えたら本当に便利かもしれません。
それでも私はスマートグラスを使っている!

忖度なく、私が日常使っていて感じるところを書いてみましたが、「スマートグラスは買いなのか?」と疑問を持っている人も多いかと思います。
翻訳やAIの機能を期待している人は、今のところ買わない方が無難です。
まだ、スマホを使った方が体験としては上だと感じているからです。
ただ、今後デバイスの性能が上がっていけば、いつかは使えるものが出てくることを期待しています。
音声メモについても便利ではありますが、スマホの方がマイク性能が良く、認識した文字の確認もすぐにできるので利点が多いかと思います。
ナビゲートについても、スマホのマップアプリの方が正しく地点を指定できるし、視認性もよいのが実情です。
私はよくバイクに乗っているので、運転中に地図が空間上に表示されてナビゲートしてくれるなら便利だと思っていたのですが、地図が単純化されすぎていて、まだまだ改善の余地はあると感じています。
それから夜間の運転時にAR表示がされてしまうと一瞬、明暗の差のため、視界が悪くなります。
危ないので、夜間、運転時の使用は避けた方が無難かと思います。
Even G1にはサイレントモードもあり、AR表示を止めておくこともできますので、その機能を使っておくとよいと思います。
このような感じではありますが、やっぱり気に入って使っている理由は、目の前にすぐに通知が表示されたり、メモを見たりできることだと思います。
現実空間にオーバーレイされたインフォメーション機能は、日常生活で+αの価値を与えてくれています。
先月、Even G1の後継機のG2も発表されたので、私は躊躇わず予約をしました。
まだまだ費用対効果が高いものではないと思ってはおりますが、普段の生活が新しい技術によってどのように変わるのかいち早く知りたいという好奇心を優先させました。
この製品以外にも魅力的なスマートグラスは今後出てくると思いますので、値段と機能が落ち着いてきたら、スマホ並みに普及すると私は思います。
そんな未来を目指して、仕事も私生活も楽しんでいきたいと考えています。