京セラコミュニケーションシステム株式会社 技術開発センター
ネットワーク技術開発部 赤嶺です。
宜しくお願いします。
はじめに
京セラコミュニケーションシステムでは太陽光発電所のO&Mサービスを展開しております。昨今太陽光発電所ではケーブルの切断・盗難被害が急増しており、そのため加入している保険がケーブル切断・盗難被害の補償対象外に変更となるなど、その影響は太陽光発電所の事業運営に多大なる影響を与えております。
本記事はそんなケーブルの切断・盗難被害を防ぐべく、ドローンに一切関わりが無かった通信エンジニアがドローンを用いた太陽光発電所の警備の実証実験を実施するまでの道のりをご紹介するものです。
2回目の今回は実証実験を計画するにあたって対応が必要な内容の調査結果②について記載します。
対象読者
・ドローンを導入されることを検討される方
・ドローンに興味のある方
前回までの振り返り
前回の記事ではドローンを飛ばすにあたって、対応が必要な事項について以下3点について記載しました。
1.無人航空機とは
2.無人航空機の機体登録申請
3.リモートID機能について
今回の記事は4.特定飛行とは、5.その他必要な許可について記載します。
前回までの記事はこちらを参照。
https://qiita.com/kccs_masahiko-akamine/items/0541d860baab04e909e7
4. 特定飛行とは
航空法において、国土交通大臣の許可や承認が必要となる空域及び方法での飛行を特定飛行と呼びます。
特定飛行をする場合は例え自己土地内であったとしても基本的に飛行許可・承認手続きが必要になります。
もし適切な許可・承認を得ずに特定飛行をしてしまった場合は懲役又は罰金が科せられますので注意が必要です。
4-1. 特定飛行に該当する飛行空域
特定飛行に該当する飛行空域は以下の通りです。
①空港等の周辺
②人口集中地区の上空
③150m以上の上空
④緊急用務空域
①空港等の周辺
読んで字のごとく空港の周辺空域です。
空港周辺は当然飛行機が数多く飛んでいるので、勝手にドローンを飛ばしたら危ないということはご理解頂けるかと思います。
空港周辺には航空法に基づく制限表面(進入表面、転移表面、水平表面、延長侵入表面、円錐表面、外側水平表面)を設けています。
飛行機の航空の安全を確保するために定められた一定の空域を障害物がない状態に保つ必要がありますので、その空域を飛行させるためには許可が必要になるということです。
制限表面の概略図は以下の通りです。
NAA HPより引用
上記図だけを見てもなかなか理解しづらいですが、具体的にどこがこの制限表面に該当するのか、それは国土地理院地図を見れば確認ができます。
https://maps.gsi.go.jp/#10/35.607627/140.072937/&base=std&ls=std%7Cdid2020%7Ckokuarea&blend=0&disp=111&lcd=kokuarea&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m
大きな緑の円が2つありますが、右が成田空港、左が羽田空港の制限表面エリアを示しています。
ドローンを飛行させる場所がこの緑の範囲外であれば空港等の周辺には当たらないので、問題ありません。
ちなみに私が飛ばす予定の場所は千葉県の某市であったため、成田空港の制限表面のエリア内でした。。。
しかし、まだ希望は残されているので、ご安心を。
飛行区域が制限表面のエリア内に該当する場合においてもドローンを飛行させる高さ次第では制限されないケースがあります。
一部空港では高さ制限回答システムがありますので、そちらを利用して制限高を確認する、若しくは各空港の照会窓口へ問い合わせを行いましょう。
確認した結果、私のケースでは空港等の周辺に該当しないことがわかりました。
②人口集中地区の上空
人口集中地区とは国勢調査等で設定される人口密度や人口が一定基準を満たした地区のことで、DID(Densely Inhabited District)とも呼ばれます。
人の多く住んでいるエリア内においてドローンを飛行させようとすれば危険度が増しますので、許可が必要になるということです。
人口集中地区についても国土地理院地図で確認ができます。
前出の国土地理院地図をご確認下さい。
赤く塗られた場所が人口集中地区(DID)に該当します。
東京や神奈川、千葉の主要部は真っ赤ですね(笑)
この図から都市部で勝手にドローンを飛ばすことがいかに難しいかがお分かり頂けるかと思います。
ちなみに私が飛ばす予定の場所は人口集中地区に該当しませんでした。
③150m以上の上空
航空機は原則150m以上の高度で飛行することになっているため、空港から離れた場所においても150m以上の高度でドローンを飛行させることは原則禁止されています。
高度150m以上で飛行させる場合は管轄の航空交通管制部と調整が必要になります。
④緊急用務空域
緊急用務空域とは警察、消防活動等緊急用務を行うための航空機の飛行が想定される場合に、無人航空機の飛行を原則禁止するために設定される空域です。
平時の場合は設定されておりませんが、記憶に新しいところでは令和5年度の石川県能登半島地震の際にも該当エリアに設定されていました。
どこにでも設定される可能性がありますので、航空局のホームページ若しくはX(旧 Twitter)で最新情報を確認しましょう。
なお、前述の①~③の飛行許可を得ている場合に限っても緊急用務区域を飛行させることはできませんので、ご注意ください。
4-2. 特定飛行に該当する飛行方法
前項では特定の場所に関する制約について記載しましたが、特定の飛行方法を行う場合も飛行許可・承認手続きが必要になります。
本項では特定飛行に該当する飛行方法について以下6つをご紹介します。
①夜間飛行
夜間の飛行は原則禁止されています。
ここで言う夜間とは「国立天文台が発表する日没の時刻から日の出の時刻まで」を指します。そのため、季節や場所により時間が変動するため注意が必要です。
ちなみに今回の私達の実験目的は夜間の警備(侵入者の検知)であったため、夜間飛行に該当し、特定飛行に該当することになります。
②目視外飛行
目視外飛行とは操縦者がドローンを目視で捉えることができない環境での飛行を指します。本来ならばドローン自体の位置や飛行姿勢及び周辺の状況を直接見る必要があるので、双眼鏡やモニター越し、飛行補助者による監視は目視外飛行に該当します。
なお、ドローンが直接見える範囲内に操縦者がいたとしても、ドローンに搭載しているカメラ映像を見るために手元のモニターを見る等することも目視外飛行に該当してしまいますので注意が必要です。
そのため無人航空機操縦者技能証明の実技試験でうっかりドローンから目線を外してしまうと一発不合格になるようです。
ちなみに今回の私たちの実験では現場に赴き、目視の状況下で試験を実施しましたが、実際に商用環境ではリモートでのドローン制御・監視を想定しているため、目視外飛行も該当することになります。
③人又は物件と距離を確保できない飛行
航空法では無人航空機は人や物と30mの距離を取って飛行させなければいけないということが規定されています。
そのため、人や物との距離を30m取れない場合は特定飛行に該当します。
ここでいう人や物とは第三者やその物に該当しますので、例えば自己土地内の建物はここで言う30mの距離を取る必要のある物には該当しませんし、実験に参画している人も第三者に該当しません。
そして自己の物でなくても、木などの自然物は該当しませんが、自動車や電柱、信号、街灯などは該当します。
このことからもいかに自己土地以外の場所でドローンを飛ばすことのハードルが高いかというのが理解できるかと思います。
④催し場所上空での飛行
航空法では祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空で飛ばすことを特定飛行と定めています。
催し場所とはお祭りやスポーツの試合、コンサートなど様々ありますが、基本的には共通の目的をもって数十人程度の人が集まるケースであれば催し場所と判断されると理解した方がいいでしょう。
人が多く集まる場所での飛行は落下時の危険度も増しますので、飛行許可・承認手続きが必要となっています。
⑤危険物の輸送
ドローンは物資輸送の面でもその活躍が期待されているいますが、火薬や引火性のある液体など、ドローンが墜落した際に落下地点に甚大な影響を与えかねない危険物を輸送するために飛行する際は特定飛行に該当します。
ただし、該当ドローンが飛行に際して必要となる装備であれば危険物の輸送には該当しません。
⑥物件の投下
ドローンが物資を輸送する際に届け出先に上空から物資を投下する必要がある場合、特定飛行に該当します。また、農業分野においてドローンで農薬散布を行う場合も物件の投下に該当します。
物資を届ける際にドローンが着陸をするのであれば物件の投下には該当しません。
5. その他必要な許可について
これまで説明した特定飛行(場所や方法)を行う場合、飛行許可・承認手続きが必要になりますが、それに該当しなければ好きなところで勝手にドローンを飛行させてもいいというわけではありません。
例えば国の重要な施設(国会議事堂や皇居、基地周辺、原子力発電所など)周辺では原則飛行禁止となっていますし、他人の敷地内や各自治体で禁止している公園などの場所でも所有者の許可を得る必要があります。
所属部署について
所属拠点
技術開発センター ネットワーク技術開発部
現在所属している技術開発センター ネットワーク技術開発部ではネットワーク技術をベースとして、新しいサービスを創出し、世の中の面倒を解決することをミッションとして活動しております。
ローカル5Gの設計、構築、エリア評価、運用など、トータルインテグレーションを提供すると共に、無線を用いた屋内位置測位技術など先進技術を基盤として、業務の効率化につながるソリューションを開発しています。
https://www.kccs.co.jp/company/research/
おわりに
本記事でご紹介した通り、特定飛行(場所や方法)のケースや他人の敷地、条例で禁止されている場所などは自由にドローンを飛行させることはできません。
基本的には特定飛行方法に該当しないケースであっても自己土地内以外は自由に飛ばせないという感覚を持って頂いた方がいいかもしれません。
本記事だけを読むとドローンを飛ばしたい人にとっては飛行に向けてハードルがかなり上がってしまう様に感じられてしまうかもしれませんが、このような特定飛行においても条件を満たせば包括申請により飛行できるケースもありますし、許可・承認を不要とすることができるケースもあります。
その点はまた別の記事で紹介できればと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございます。