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業務フロー自動化ツール「n8n」社内導入の取り組みについて

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はじめに

今回の記事では、2025年10月より弊社に導入しております、業務フロー自動化ツール「n8n」の社内導入の取り組みについて、考慮すべき点や重要ポイントについて記載します。

n8nとは??

まず、n8nについて説明します。
n8n(エヌエイトエヌ)は、1,000種類以上のアプリケーションやサービスを視覚的につなぎ合わせ、業務フローを自動化するツールです。
n8nはSustainable Use License(fair-codeモデル)で提供されており、当社では社内利用(internal business purposes)の範囲で活用しています。

n8nの名前の由来

「n8n」という名前は「Node(ノード)」と「Automation(自動化)」の2つの単語から生まれた「nodemation(ノードメーション)」という言葉に由来しています。
当初、プロジェクト名を「nodemation」にしようとしたのですが、名前が長すぎるため短縮し「n」の間に位置するアルファベットの文字数が8文字であることから「n8n」になったと言われています。

n8nの基本概念

n8nには「ノード」と「ワークフロー」という2つの概念があります。

ノード

一つ一つの処理のこと(メールを送信する、行を追加する、文章を要約するなど)
パラメータの設定が必要で、実行するアクションの選択(新規作成、追加、削除など)や、認証情報の入力、入力値の指定などを行います。

ワークフロー

ノード同士を線でつなぎ合わせた全体のフローのこと

スライド1.PNG

ワークフローの先頭にはトリガーノードを配置します。
トリガーとはワークフローが「いつ」「何をきっかけに」起動するのかを決める、自動化の出発点となる重要な要素です。
トリガーノードを設定することで特定の条件やイベントが発生した時に、自動的にワークフローが動き始めます。(画像の場合は、Gmailトリガーが設定されているため、メッセージを受信したらワークフローが動き始める)

導入のきっかけ

弊社では、当初よりセキュアな社内用ChatGPTとしてAzure OpenAIを導入し、全社的なAI利用を推進してきました。2025年1月からはDifyの運用も開始し、誰もがノーコードでAIアプリを自作できる環境が浸透しましたが、一方で個別のタスクは自動化できてもツール間の連携が手動のまま残るという、業務プロセス全体の自動化における課題が浮き彫りになりました。
この「ツール間の分断」を解消するため、ZapierやWorkato等と比較検討した結果、セルフホスティングによる安全性、独自機能を追加できる拡張性、そしてコスト効率のすべてを兼ね備えたn8nが弊社にとって最適であると判断し、導入を決定いたしました。

システム構成について

システム構成は以下の通りです。
Qiita.png

外部からのアクセスに対しては、WAFやエッジでのアクセス制御(許可IPの検証、Webhook等の入口に対する署名検証)を組み合わせ、想定外のアクセスを遮断しています。このように管理画面への到達範囲と外部サービス起点のWebhook到達範囲を分けて設計しています。

また、データ保護のため、受信する通信はすべてHTTPSとし、通信経路を暗号化しています。認証情報についてはn8nの標準機能で暗号化し、安全に保護しています。

導入のための準備について

2025年の7月より導入に向けた準備を開始しました。
準備した内容は以下の通りです。

フェーズ1 ツールの比較・需要調査(約1か月)

類似ツール比較
比較対象ツール: Zapier、Make、Workato、sim.ai
評価指標:セルフホスティングの可否、コスト効率、
     外部連携の豊富さ、カスタマイズの自由度

重要ポイント:評価軸の言語化
自社の技術スタックやコスト構造に照らし、課題解決のために「何を基準に選ぶべきか」を定義することが不可欠

社内アンケートの実施
「インプット(何のデータが)→処理(どうなったら)→アウトプット(どこに書き出す)」の形式で記述を依頼

重要ポイント:「やりたいこと」ではなく「業務構造」を聞く
「何を自動化したいですか?」と聞くと、回答が抽象的になりがち。業務を構造分解して記述してもらうことでそのままノード設計に落とし込める。

チーム内でトライアル
検証環境を構築し、実際の使い心地やなにができるのかを各々で試してもらい、メリット・デメリットや、社内に導入した場合の懸念点などの調査結果を共有

重要ポイント:「触ってわかる懸念点」を重視
Webサイトの情報やスペック表だけでは見えない「実際の操作感」を確認し、導入後のギャップを埋めることが重要

フェーズ2:セキュリティリスクの整理(約1か月半)

・IT部門と連携し、社内規定に沿ったセキュアな接続環境の構築
・公式ドキュメントに基づくセキュリティ設計の検証・確認
・トリガーとアクションによるリスクの洗い出しと対策の検討

重要ポイント:安全な利用枠組みを作る
利用者の注意に頼る「制限」ではなく、公式ドキュメントに基づき、致命的な事故が起きない仕組みをシステム側で定義する

フェーズ3:環境構築(約2か月)

  • AWSの構成決定とコスト試算
  • システムの状態をチェックする監視設定(CPU使用率やメモリなどの閾値や条件、緊急度を設定)
  • 環境構築手順書の作成
  • コミュニケーションツールやタスク管理ツールなどの主要なツールとの連携基盤づくり
  • データ損失を防ぐためのバックアップ対応

重要ポイント:「いつでも元の状態に戻せる」ことと「誰でも状況がわかる」状態を整え、安心して使い続けられる土台を作る

フェーズ4:運用体制の確立(約1か月)

  • システムの常時監視と異常時対応の標準化
  • 運営体制と情報(利用ガイド、各種ノード設定方法のショート動画など)の一元化
  • 安全なアップデート手順を明文化

重要ポイント:
特定の担当者しかわからない状態をなくすこと、
ユーザーに対しては「ここを見れば解決できる」という情報の集約場所を作る

導入後の取り組みと効果

問い合わせ対応、障害対応、定期メンテナンス
:pushpin: 取り組み
Slackで利用ガイドやメンテナンスのお知らせ、新機能紹介などを載せる情報の共有場所
(全体公開)と、個別の業務相談やエラー対応を行う相談窓口を用意。

:low_brightness: 効果
 ・ユーザーがどこに連絡や相談をすればいいかわからないという混乱を未然に防げた
 ・個別の相談場所があることで、周囲の目を気にせず、業務の深い悩みや技術的な相談が
  増え、次のメンテナンスやアップデートのヒントになっている
 ・対応記録をナレッジとして残すことで、類似の質問が来た際の運営側の対応コストが
  軽減されている

説明会と少人数制ワークショップの実施
:pushpin: 取り組み
ノード間でどんなデータが受け渡されているのかがイメージできるような説明や、
外部ツールとの接続設定、普段使っているツールとの連携の実演を行った

:low_brightness: 効果
 ・説明会をきっかけに、自分の業務でも使えそうと感じる人が増え、利用申請者が増加
 ・「次はこれについて知りたい!」という前向きなリクエストをもらえるようになり、
  次の教育コンテンツを作る際の貴重な判断材料になっている
 

活用事例

社内でどのような業務にn8nが活用しているのか紹介します。

事例①:問い合わせ対応の自動化
:pencil2: 概要
問い合わせ対応の管理において、プロジェクト管理ツールで過去の対応履歴や資料を、手動で参照して回答を作成していたが、確認作業の負荷や勘違いによって誤った案内をしてしまう課題があった。
Difyとn8n活用し、問い合わせがあれば「プロジェクト管理ツールに問い合わせ内容を登録→過去の問い合わせ対応が登録されたDifyのナレッジを読み込ませAIで回答案作成→チャットツールへの通知」を行う。
回答案を人が確認して返信し、プロジェクト管理ツールに回答を記載してステータスを完了に変更すると、それをn8nで検知し、自動でDifyのナレッジを更新するような仕組みを構築。

:low_brightness: 効果
定量的な効果
 ・対応時間の削減:1件当たり平均1時間かかっていた問い合わせ対応が約20分に短縮

定性的な効果
 ・対応品質の安定:記憶に頼らず、AIに確認してもらうという癖がついたことで
  勘違いによる誤案内が減少し、心理的ゆとりが生まれ、回答の質が安定した
 ・改善の好循環:共有することで、周囲から「他の業務でも活用できそう」といった
  新しいアイデアが出る、好循環が生まれている

事例②:管理業務の自動化
:pencil2: 概要
特定のメール受信をトリガーに、LLMが「案件内容・期限・金額」などの重要情報を抽出し、Googleスプレッドシートへ自動転記する汎用的な仕組みを構築した。このテンプレートを計11種類の管理業務へ応用し、多様な情報の集約と一括管理を自動化した。

:low_brightness: 効果
定量的効果
 ・対応時間の削減:1つのワークフローあたり、1日10分の削減。11個のワークフローを
  作成し、全体で月間5時間以上の削減
定性的効果
 ・ミス防止と情報共有の円滑化:手作業による転記ミスが排除され、TODOリストの
  自動生成により対応漏れが防止され、また、情報がスプレッドシートに自動集約
  されることで、メンバーへの共有も容易になった
 ・改善の好循環:周囲のメンバーから「この業務も自動化できないか」といった相談や
  アイデアが自発的に出るきっかけとなった

まとめ

今回の記事では、「n8n」の社内導入の取り組みについて紹介しました。
この取り組みを進める中で、「現場のニーズにどう寄り添うか」という点は、特に意識して進めました。 最初は「n8nが技術的にできること」と「現場が本当に困っていること」に多少のズレがあり、n8nの利用イメージをどう伝えるか考える場面もありましたが、フェーズ1で実施したアンケートを改めて分析し、具体的なユースケースに落とし込んだことで、スムーズに活用イメージを持ってもらえたと感じています。

また、利用者への支援を停滞させないよう、運営側の管理業務をできる限り自動化したことで、ユーザーへのサポートにあてられる時間を十分に確保することができました。

将来的には、全従業員がn8nを自在に使いこなし、自ら課題を発見し、自らの手で業務を最適化することに取り組んだり、単純作業からの解放により、創造的で価値の高い仕事に集中できる環境で、社員一人一人の能力を最大限に活用できることを目指しています!

最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回の投稿もお楽しみに:heartbeat:

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