BLEデバイスにIPが付与されると何がうれしいのか?
先日Bluetooth 4.2の情報を翻訳したのですが、4.2からIPベースになりそうなので、それによって広がる世界を妄想してみます。
IoT - Bluetooth 4.2 クイックリファレンス 日本語 - Qiita
BLE - Bluetooth 4.2 FAQ 日本語 - Qiita
妄想ですので、実際にそうなるかはわかりませんが、4.2以降のバージョンアップによって実現するものも多くあると思います。
Bluetooth 4.2によって入ったIPサポートによってBLEとネットの区別がなくなる
Bluetooth 4.2から正式にIPv6をサポートします。これによって室内にBLEデバイスが溢れかえったとしても、湯水のごとく湧くユニークなIPがすべての端末に割り振られますので、デバイスの識別とデバイス間の通信が容易になります。
またWebの概念が導入されてBLEを操作するための標準化されたRESTなAPIも準備されれば、WebエンジニアがそのままIoTの世界にこれるので、学習コストが大幅にさがるようになるでしょう。
BLEデバイスが自律的にネットワーク越しの他のBLEデバイスと協調しやすくなる
BLEの電波が届かない範囲のデバイスとネットワーク越しに協調動作が可能になります。
IPベースですので、見えるIPを持つBLEデバイスに対して気軽に通信できるようになります。
BLEの電波の届かない1階から3階に対して、電気をつけたりエアコンを消したり、3階の状況から1階の状況を変化させることもできるでしょう。
今までできなかったわけではないですが、IPベースで実装できるの格段に楽になりそうです。
BLEデバイスのデータがそのままクラウドへ
今まではスマフォや専用ゲートウェイが周辺のBLE機器のデータを収集する、そういう実装を行うことによって情報をネットに上げる必要がありましたが、IPベースになることによってゲートウェイがあるだけで、デバイスのAPIを直接叩くことができるので、データの収集が容易になります。
これもまた実装の簡単化ですかね。
メッシュ/ゴシッププロトコル
インフラの世界でserfというものがありますが、これは自分がつながっているサーバークラスタにゴシップ(噂)を流すことができます。ゴシップが到達することをきっかけとして、それに対応する処理を各サーバーが取るというものです。
例えばスマフォを持った人が家に入った(クラスタ内に追加された)ことがわかれば、家中にゴシップが流れて、それと連動して電気をつけたり、お風呂を沸かし始めたり、コーヒーを入れたり、暖房をつけたりと、各々のデバイスが追加イベントと連動した処理を行うことができます。
クラスタ内にあるデバイスが入った・出たという情報に起因する各デバイスのイベントのみ登録しておけば、あとはよしなに処理を行ってくれる世界があるわけです。
概念的いうと、中央集権的に一つのデバイスが他のデバイスたちに命令を行うのではなく、予め自分の役割を知っているデバイスたちが無数にあって、一つの情報(ゴシップ・噂)をきっかけにデバイスたちが自律的に動作しやすくなります。
これも実装の話かもしれませんが、それがやりやすいという環境があるだけでそのような利用が加速するでしょう。
ゴシッププロトコルはWebの技術ですが、BLEデバイスがIPベースになることで、BLEデバイス版が登場するかもしれませんね。
まとめ
- IPが付与されることでネット越しにAPIを叩くかのように通信できる(ようにするのが簡単になる)
- BLEデバイス同士がIPベースでやりとりすることで協調動作が簡単に(実装できるように)なる
以上、短いですがIPベースになることで描ける世界を妄想してみました。
ほぼ実装の話かな?という感じなのですが、各デバイスがオリジナルの識別子(IP)を持つという概念が、サービスにかなり大きな影響を与えそうだなと思います。
そういう意味で今回のこのBluetooth 4.2は今後大きな意味を持ってくると思っています。
今はまだ各BLEチップベンダーからの提供待ちなわけですが、4.2が採用されたデバイスが世界中に広がるとおもしろいですね。