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主要4クラウド(AWS/Azure/Google Cloud/OCI)コスト徹底比較(2025年5月版)

Last updated at Posted at 2025-06-12

はじめに

クラウドサービス選定は、コスト・機能・性能・サポート・エコシステムなど多角的な視点が重要です。
その中で最も気になる、かつ数字で比較できる一つが「コスト」です。

本記事ではAWS、Azure、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の4大クラウドについて、価格・コストパフォーマンスを中心に主な特徴・メリット・デメリットをフラットに比較します。
各社グローバルに展開する大手クラウドですが、料金体系やコスト感やサービスの特徴には大きな違いがあると感じたため、まとめられる範囲で整理してみました。

本記事では、主に金額面にフォーカスしつつ、主観も交えつつ、良い点・悪い点をフラットに比較します。
どこかを上げる、下げる、という趣旨の記事にするつもりは全くありませんが、ドキュメントベースで調べたことなどが中心になりつつ、そこに所感を記載するような記事になっていることご了承ください。

AWS・Azure・Google Cloud・OCIコスト徹底比較

コンピュートコスト比較

今回は"オンデマンド料金"と"3年前払いのリザーブドインスタンス"での比較するかつ、大・中・小の3規模に分けてそれぞれの費用を算出しました。算出にあたっては各社のWeb上の見積ツールを利用しています。
※中は2パターンあるので合計4パターンです

前提

  1. 各社のWeb見積ツールを利用しています
  2. OCIは円建て単価で表記がありますが、AWS / Azure / Google Cloudは一律1$=140円で換算して表示しています
    見やすさ重視なので、あくまでも概算費用と捉えてください
  3. 単価は東京リージョンとしています
  4. できるだけスタンダードかつ、4社のスペックに合うものを選んでいます
  5. 無償OSを利用している前提です

オンデマンド料金ver

※オンデマンド料金で比較

小規模インスタンスであれば最安はOCIになります。とはいえAWSとほぼ同額程度ですね。

中規模インスタンス、大規模インスタンスになるとOCIが群を抜いて安く、他3社が並んでいます。

ただし、AWS、AzureなどはリザーブドインスタンスやSaving Planなどを利用することで大きく安くすることが可能です。

後ほどリザーブドインスタンスバージョンも比較してみますが、会社都合で前払いサービスを利用できない場合はOCIに軍配が上がりそうですね。

  • 小規模インスタンス(2 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 月額(円/730時間)
AWS t4g.medium 2 4 4,416
Azure B2s 2 4 5,559
Google Cloud e2-Custom machine type 2 4 7,620
OCI VM.Standard.E5.Flex 2 4 4,300
  • 中規模インスタンス_1(4 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 月額(円/730時間)
AWS t4g.xlarge 4 16 17,760
Azure B4ps v2 4 16 17,681
Google Cloud e2-standard-4 4 16 17,571
OCI VM.Standard.E5.Flex 4 16 10,410
  • 中規模インスタンス_2(8 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 月額(円/730時間)
AWS t4g.2xlarge 8 32 35,320
Azure B8ps v2 8 32 35,361
Google Cloud e2-standard-8 8 32 35,143
OCI VM.Standard.E5.Flex 8 32 20,820
  • 大規模インスタンス(32 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 月額(円/730時間)
AWS m6g.8xlarge 32 128 161,885
Azure B32as v2 32 128 160,250
Google Cloud e2-standard-32 32 128 140,571
OCI VM.Standard.E5.Flex 32 128 83,278

リザーブドインスタンス料金ver

※AWS / Azureは最大割引率になる3年全額前払いにしています。
 OCIはリザーブドインスタンス機能がないため、月額料金 × 36か月で算出しています。
 Google Cloudは3年コミットの月額料金 × 36か月で算出しています。

 

小規模。中規模インスタンスの最安はAWSになります。
大規模インスタンスは微差でAzureに軍配があがります。
ただ、AWS / Azureは同額程度で大きな差はありません。Google Cloudがその後続く形となります。

オンデマンドの時は最安だった OCIは他3社に比べると少し高額な印象を持ちます。
唯一、OCIだけはオプションなどを使っていない定価のため、運用面で土日など使わない時間は停止することで表記費用よりも低減できる可能性を含んでいます。また、後述しますがストレージも含めると全体的にOCIはコスパが良い印象を持ちます。

すべてのインスタンスでリザーブドインスタンスを購入するのであればAWS / Azureが最安、そうでないのであればOCIが優位となる可能性が高いです。

  • 小規模インスタンス(2 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 3年合計費用(円)
AWS t4g.medium 2 4 59,780
Azure B2s 2 4 75,313
Google Cloud e2-Custom machine type 2 4 3,429×36ヶ月=123,444
OCI VM.Standard.E5.Flex 2 4 4,300×36ヶ月=154,800
  • 中規模インスタンス_1(4 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 3年合計費用(円)
AWS t4g.xlarge 4 16 239,260
Azure B4ps v2 4 16 241,650
Google Cloud e2-standard-4 4 16 7,907×36ヶ月=284,652
OCI VM.Standard.E5.Flex 4 16 10,410×36ヶ月=374,760
  • 中規模インスタンス_2(8 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 3年合計費用(円)
AWS t4g.2xlarge 8 32 478,520
Azure B8ps v2 8 32 483,153
Google Cloud e2-standard-8 8 32 15,814×36ヶ月=569,304
OCI VM.Standard.E5.Flex 8 32 20,820×36ヶ月=749,520
  • 大規模インスタンス(32 vCPU)
クラウド インスタンスタイプ vCPU メモリ(GB) 3年合計費用(円)
AWS m6g.8xlarge 32 128 2,213,120
Azure B32as v2 32 128 2,192,252
Google Cloud e2-standard-32 32 128 63,258×36ヶ月=2,277,288
OCI VM.Standard.E5.Flex 32 128 83,278×36ヶ月=2,998,008

ブロックストレージ比較

今回は100GB / 1,000GB / 10TBの3規模に分けてそれぞれの費用を算出しました。

前提

  1. OCIは円建てで単価がありますが、他社はドル建てのため、1$=140円で換算して表示しています。
    見やすさ重視なので、あくまでも概算費用と捉えてください。
  2. 単価は東京リージョンとしています。
  3. できるだけスタンダードなスペックサービスを選んでいます。
  4. IOPSとスループットは課金せず、デフォルトの最大値としています

価格的にもOCIが群を抜いて安く、性能が出るようです。
他3社と比較すると約半額程度の金額かつ、デフォルトで持つIOPSとスループット値も高いという結果でした。
他3社についてはコストはそこまで差がなく、IOPS/スループットに関してはデフォルトは同値でした。

ストレージはRIなどの対象外のため、大きいストレージを要する仮想マシンを用意することを考えるとOCIのコスパが高いことがわかりました。

  • 小規模(100GB)
クラウド サービス名 月額(円) IOPS スループット
AWS EBS gp3 1,344 3,000 125MB/s
Azure Premium SSD v2 1,350 3,000 125MB/s
Google Cloud Hyperdisk Balanced 1,330 3,000 140MiB/s
OCI Block Volume Balanced 659 6,000 46MB/s
  • 中規模(1,000GB)
クラウド サービス名 月額(円) IOPS スループット
AWS EBS gp3 13,440 3,000 125MB/s
Azure Premium SSD v2 12,559 3,000 125MB/s
Google Cloud Hyperdisk Balanced 13,299 3,000 140MiB/s
OCI Block Volume Balanced 6,588 25,000 468MB/s
  • 大規模(10TB)
クラウド サービス名 月額(円) IOPS スループット
AWS EBS gp3 134,400 3,000 125MB/s
Azure Premium SSD v2 125,636 3,000 125MB/s
Google Cloud Hyperdisk Balanced 132,993 3,000 140MiB/s
OCI Block Volume Balanced 65,875 25,000 480MB/s

アウトバウンド転送コスト

リージョンから外に出るときの通信料も運用する業務や利用するクラウドサービスによってまちまちかと思いますが、よく"見えないコスト"と言われているのでせっかくなので調べてみます。

アウトバウンド転送コスト

アウトバウンド転送量としてはOCIが抜きん出て安いです。
10TB/月まで無償。かつ10TB以上でも他社に比べて単価が1/3~1/4程度の費用感になっています。

逆に他3社はそこまで大きく変わらない印象です。

アウトバウンド通信が多いシステムの場合はOCIが軍配が上がりそうですね。

クラウド インターネット向け転送(エグレス) リージョン間転送 同一リージョン内/ゾーン内転送
内容 東京リージョンからインターネットへのデータ転送 東京リージョンから他リージョンへのデータ転送 東京リージョン内のAZ間転送
AWS 最初の100GB/月無料
10TBまで 15.96円/GB
40TBまで 12.46円/GB
100TBまで 12.04円/GB
150TB超 11.76円/GB
0.09/GB 同一AZ内無料
AZ間 各方向 0.01/GB
Azure 最初の100GB/月無料
10TBまで 16.8円/GB
40TBまで 11.9円/GB
100TBまで 11.48円/GB
350TBまで 11.2円/GB
0.08/GB
※アジアのリージョン間
同一AZ内無料
Google Cloud 最初の1GB/月無料
1TBまで 16.8円/GB
10TBまで 15.4円/GB
10TB超 11.9円/GB
0.08/GB
※アジアのリージョン間
同一ゾーン内無料
ゾーン間0.01/GB
OCI 最初の10TB/月無料
10TB超 3.875円/月
※無償枠はリージョン間転送と同枠
最初の10TB/月無料
10TB超 3.875円/月
※無償枠はインターネット向け転送と同枠
同一リージョン内無償

閉域網接続コスト

閉域網を利用されるケースも多いので併せて調査してみました。

AWSとAzureは提供ポートが細かく刻まれており、選択肢が多いことが特徴です。
ただ費用感としてはAWS Direct Connectに軍配があります。

それと比較してGoogleCloudはDedicated Interconnectの場合になりますが、10GB,100GBのみの提供

OCIは1GB,10GB,100GBのみの提供になっています。

同ポートであれば費用はOCIが一番安いかつ、FastConnect網内のデータ通信は無償となっている点も特徴です。

100GBポートを提供しているのはGoogleCloudとOCIの2社なので、太い閉域網が必要なシステムの場合はこの2社から選択することになりそうですね。逆に1GBbps未満の小規模な閉域網であればAWS、Azureから選択するのが良いかもしれません。

クラウド サービス名 100Mbps月額 1Gbps月額 10Gbps月額 100Gbps月額 閉域網内データ転送料金 提供ポート
AWS Direct Connect 6,132 33,726 253,456 なし 5.74円/GB※インバウンドは無料 1,2,5,10 Gbps
50,100,200,300,400,500 Mbps
Azure ExpressRoute 15,400 61,040 476,000 なし 3.5円/GB※ゾーン1で算出 50,100,200,500 Mbps
1,2,5,10 Gbps
Google Cloud Dedicated Interconnect なし なし 237,922 2,379,216 5.88円/GB※インバウンドは無料 10,100Gbps
OCI FastConnect なし 24,044 144,266 1,216,363 無料 1,10,100 Gbps

各社のWeb見積ツールについての所感

AWS

慣れているがゆえに使いやすい部分もありますが、サービス名さえわかっていれば基本困ることはない印象。

  • Compute
    インスタンスタイプの選択はvCPUとメモリを選択するとある程度出てくるので親切。
    その中でどれを選べばいいんだ?というところはある、とりあえず最新と思われるインスタンスを選択。
    詳細な計算ロジックが出てくるのでその点は個人的に好きです。
  • Storage
    GB表記Onlyだった。今回はGB表記に寄せたので困らなかったがGoogleCloudのように選択できると嬉しい。

Azure

比較的シンプルなUIではある。ただし使いにくい点などもあり。

  • Compute
    インスタンス選択がやりにくい。リスト形式で出てくるので見にくさもあるので
    ある程度インスタンスシリーズなどの特徴を把握していないとVM選択が難しい印象。
  • BlockStorage
    GiB表記Onlyだったので自身でGBに変換して算出。
    GoogleCloudのように選択できると嬉しい。

Google Cloud

4社の中で唯一、初めてGoogle CloudのWeb見積ツールを触りました。なので他に比べると少し苦戦はしました。

とはいえサービス名などはわかっていたかつ、今回は主要サービスに限ったので大きな問題は出ませんでした。

  • Compute
    大変わかりやすい。必要なvCPU数とメモリを入力すれば必要なインスタンスタイプが出てくるのはありがたかった。
  • BlockStorage
    たくさんの種類のストレージタイプがあり、どれを選択すればいいかわかりにくかった。
    またベースライン以上のIOPS,スループット値の出し方がわからなかった。
    デフォルトGiBだが、GBに変更できる点が今回はありがたかった。

OCI

非常にシンプルゆえに個人的には一番使いやすい。
全リージョンで単価が同じため、リージョン選択ミスがないのが嬉しいポイント。

ただし1OCPU = 2vCPUという前提を知らないと、誤ったスペックで見積もってしまう可能性がある点は不親切だと感じました。

  • Compute
    大変わかりやすい。Flexibleシェイプであれば必要なOCPU数とメモリを入力するだけで見積できるのが簡単。
  • BlockStorage
    デフォルト(Balanced)でも使用容量に応じてIOPSとスループットが上がっていく点が他クラウドに比べてコスパ良いと感じた。見積自体は非常に簡単。

まとめ

主要4クラウドでコスト比較した場合、今回比較したサービスに限りますがOCIが群を抜いて安いことがわかりました。
パブリッククラウドでコストを抑える必要がある場合はOCIを選択肢に入りやすいのかなと思います。

比較をする際に各社のどのサービスが最適なものなのか、ということに関してすべてのクラウドに精通するのは中々難しいなと感じました。

最後に

今回はコンピュート、ブロックストレージ、アウトバウンド転送量について各クラウドの費用をまとめてみました。

中々リザーブドインスタンスなども含めた形で費用を比較しているものがなかったので作ってみましたが良い経験になりました。

実際にクラウド導入にあたってはもっとサービスが増えますので時間があれば他サービスも比較したり、費用だけでなく機能や特徴もフォーカスしてみようかと思います。

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