はじめに
はじめまして。新卒1年目のUI/UXデザイナー堀口です。
大学では工業デザインを専攻し、インテリアや建築を中心に学んでいました。そんな自分がUI/UXという分野に出会ったのは、就職活動の少し前。
「なんとなくカッコいい画面をつくる仕事」くらいのイメージしかないまま、ほぼ未経験でこの世界に飛び込みました。
ただ、いざ勉強を始めてみると、すぐに壁にぶつかりました。画面デザインを見ても「なんとなく良い」「なんとなくダサい」くらいしか言葉が出てこない。「デザインやUXはセンスがある人だけができるんじゃないか」という先入観もあって、自分の感覚を言語化できないもどかしさをずっと抱えていました。
そんなときに出会ったのが、今回紹介する3冊です。この3冊のおかげで、勉強が「義務」ではなく「快感」に近いものになってきたと感じています。
同じようにデザイン初心者だけど、ちゃんと学びたいと思っている方の役に立てばうれしいです。
①現場のプロが本気で教える UI/UXデザイナー養成講座
出典:秀和システム『現場のプロが本気で教える UI/UXデザイナー養成講座』
まず最初に読んでよかったと心から思っているのが、この本です。
この本を選んだ理由はシンプルで、「UI/UXデザイナーって、そもそも何をする人なの?」というところから丁寧に説明してくれているからです。
「UIって何?」「UXって何?」「デザイナーはどこからどこまで関わるの?」「エンジニアや企画職とどう違うの?」といった、いまさら聞きづらい基礎の部分を、ちゃんと整理してくれます。
本の目的自体も、UI/UXデザイナーを目指す人だけでなく、エンジニアや企画職など、プロダクトづくりに関わる人たちがデザイン思考のプロセスとUIデザインのスキルを身につけることに置かれているので、まさに最初に読む教科書としてぴったりでした。
特に良かったのは、デザインリサーチ→定義→アイデアの出し方・まとめ方→プロトタイピング→ 検証という一連のデザインプロセスが、まとまっているところです。
読んでいく中で、自分は今このプロセスのどこに興味があるのか、またどこが弱くて知識が足りていないのかが見えてきました。自分が今どこに立っているのかを把握できる、UI/UXデザイン全体を見渡す地図のような1冊です。
② インターフェイスデザインの心理学
出典:オライリー・ジャパン『インターフェイスデザインの心理学 第2版』
2冊目は、UIの裏側にある「人間の認知のクセ」を教えてくれる本です。
この本では、
・人はどんな勘違いをしやすいのか
・どんなときにミスをしやすいのか
・それを防ぐにはどんなデザインが有効なのか
といったことが、具体的な事例とともに紹介されています。
自分にとっては、視点の革命が起きた一冊でした。それまで「なんとなく使いづらい」と感じていたUIに対して、「なぜ使いづらいのか」「どこで認知の負荷が高くなっているのか」を、理解できるようになってきたからです。
印象に残っているのが、「人が一度に意識的に処理できる情報量には限界がある」という話です。
脳は1秒間に膨大な情報を受け取っていますが、そのうち「意識して扱えている情報」はごく一部だと言われています。
だからUIの世界では、一画面に情報を詰め込みすぎない。重要な情報だけをまず見せて、詳細は後から段階的に見せるといった工夫が大事になります。
これがいわゆる「段階的開示(Progressive Disclosure)」です。
設定画面などで、最初はシンプルな項目だけが並んでいて「詳細を表示」「もっと見る」を押すと、追加の項目が開くというデザインはまさにその例です。
段階的開示の例
ここで面白いのは、「クリックを増やすのは不親切なのでは?」というよくある疑問に対し、新たな視点を示しているところです。
この本や関連する知見では、ユーザーにとって負担が大きいのは、クリックという動作そのものよりどうすればいいか迷って考えさせられること(認知負荷)だとされています。
つまり、一度に大量の情報を見せて悩ませるより、小さくクリックさせながら、少しずつ理解して進めてもらうほうが、結果的にユーザーにとってはラクな場合もあるということです。
UIを考えるときに、「スクロールがいいか?クリックがいいか?」という話をよく耳にしますが、この本のおかげで、単なる好みではなく認知負荷という軸で考えられるようになりました。
心理学が好きな自分にとって、この本は何度も読み返したくなる1冊です。
「センス」だと思っていた部分の多くが、実は理屈で説明できるのだと気づかせてくれました。
③ 僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた
3冊目は、少し毛色が違う本です。
この本のテーマは、行動嗜癖です。
行動嗜癖とは、アルコールや薬物のような物質ではなく、「行動そのものに依存してしまう状態」です。SNS、ゲーム、動画サービス、通知、ポイント…日常の中にある「やめられない仕組み」が、どう設計され、どう行動をコントロールしているのかが語られています。
UXデザインに興味を持ち始めた自分にとって、この本は、良い体験をつくる側としての視点と悪い体験に飲み込まれないための視点の両方を与えてくれました。
本の中では、依存ビジネスが人の行動を刺激するために使っている代表的な6つの要素が紹介されています。
読んでいて、「あ、これ全部スマホの中にあるじゃん」とゾッとしました。
この本を通して、どれだけ日常の中に行動を刺激するデザインが埋め込まれているか自分はその仕組みにどれくらい飲み込まれているのかを振り返るきっかけになりました。
同時に、UXデザインは人を動かす力を持っている、だからこそその力をどこに向けるのかを意識しないと危ないということも強く実感しました。
快適な体験を提供することと、依存させて抜け出せなくすることは、紙一重のところがある。
そこを見誤らないデザイナーでありたいと、改めて思わせてくれた1冊です。
まとめ
この3冊のおかげで、自分の中でUI/UXの学習は「新卒デザイナーだから、やらなきゃいけないこと」から「人間の心のクセや行動を探る、めちゃくちゃ面白い遊び」に近いものへと変わっていきました。
これからは、本でのインプットだけで終わらせず、実務の中でのアウトプットを通じて、「このプロダクト、触っていて気持ちいいよね」と言ってもらえるようなUIをつくっていきたいです。
そしていつか、「UI/UXのことなら堀口に聞いてみよう」と言われるくらいまで、楽しみながら学び続けたいと思っています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




