ARM64(aarch64)で利用できるLinux
ARM64(aarch64)は、64ビットARMプロセッサ向けのアーキテクチャです。Raspberry Piなどの小型コンピューター、Apple Silicon搭載Mac、ARMサーバー、組み込み機器、IoT機器など、さまざまな環境で使われています。
現在では、多くのLinuxディストリビューションがARM64に対応しており、サーバー、デスクトップ、開発環境、教育、組み込み用途などで実用的に利用できます。
代表的なARM64対応Linux
| 用途 | 主な選択肢 |
|---|---|
| Raspberry Pi | Raspberry Pi OS / Ubuntu Server ARM64 |
| Apple Silicon Mac | Fedora Asahi Remix / Asahi Linux |
| 各種SBC | Armbian / Debian / Ubuntu |
| サーバー | Debian / Ubuntu Server / Amazon Linux / Rocky Linux / AlmaLinux |
| AWS・クラウド | Amazon Linux 2023 / Ubuntu Server / Debian |
| デスクトップ | Ubuntu Desktop / Fedora Workstation / Fedora Asahi Remix |
| 軽量・コンテナ | Alpine Linux |
| ルーター・ネットワーク機器 | OpenWrt |
| Arch系環境 | Arch Linux ARM |
Raspberry Pi OS
Raspberry Pi OS は、Raspberry Pi公式の対応OSです。Raspberry Pi Imagerを使うことで、microSDカードやSSDなどへ簡単にインストールできます。
学習用途、電子工作、小型サーバー、デスクトップ環境、IoT機器の開発など、Raspberry Piを使った幅広い用途に適しています。
Asahi Linux / Fedora Asahi Remix
Asahi Linux は、Apple Silicon搭載MacでLinuxを動作させることを目的としたプロジェクトです。
現在は Fedora Asahi Remix として、Apple Silicon Mac向けに調整されたFedoraベースのLinux環境が提供されています。Apple M1/M2系MacでLinuxデスクトップ環境を試したい場合の有力な選択肢です。
Armbian
Armbian は、多数のARM系シングルボードコンピューター向けに、Debian/Ubuntuベースのイメージを提供するディストリビューションです。
Raspberry Pi以外のSBC、たとえばOrange Pi、Rock Pi、NanoPiなどを利用する場合に有力な選択肢となります。
Amazon Linux 2023
Amazon Linux 2023(AL2023) は、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウド向けLinuxディストリビューションです。AWS上での利用を前提に、EC2、コンテナ、クラウドアプリケーションの実行環境として利用されています。
AL2023はARM64(aarch64)環境にも対応しており、AWS Graviton系プロセッサを搭載したArmベースEC2インスタンスで利用できます。AWS環境でARM64 Linuxを使う場合の代表的な選択肢です。
一方で、Amazon Linuxは一般的なPCやSBC向けのデスクトップLinuxというよりも、AWS環境やサーバー用途に適したLinuxです。KVM、VMware、Hyper-V向けのディスクイメージも提供されているため、AWS外の仮想環境で検証することもできます。
サーバー・クラウド向けLinux
ARMサーバーやクラウド環境では、Debian、Ubuntu Server、Amazon Linux 2023、Fedora Server、Rocky Linux、AlmaLinux などが利用できます。
ARM64環境は、省電力で高効率なサーバー基盤としても注目されており、Webサーバー、データベース、コンテナ基盤、CI/CD環境などにも活用できます。
軽量・組み込み向けLinux
軽量な環境では、Alpine Linux がよく使われます。シンプルで軽量なため、コンテナ環境や小規模なサーバー構築に向いています。
また、ルーターやネットワーク機器向けには OpenWrt も選択肢になります。ネットワーク機器や小型ボードでLinuxを活用したい場合に利用されています。
Arch Linux ARMに対するHoge2Networkでの取り組み
Hoge2Network(ほげほげネットワーク)では、ARM64(aarch64)環境における Arch Linux ARM の実用化に向けた検証を行っています。
現在、以下の5機種でArch Linux ARMの起動に成功しています。
- MINISFORUM MS-R1
- Apple M1 MacBook Pro
- Microsoft Windows Dev Kit 2023
- Raspberry Pi 5
- Lenovo ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragon
このうち、以下の3機種では、DRIによるGPUアクセラレーションやWayland環境の利用も可能となっています。
- Apple M1 MacBook Pro
- Raspberry Pi 5
- Lenovo ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragon
一方で、ARM64(aarch64)アーキテクチャのPCでは、まだ安定した汎用インストーラーが十分に整備されているとは言えません。
また、機種ごとの起動方法、カーネル、ファームウェア、GPU、ストレージ、ネットワークなどに関する情報も少なく、導入には相応の試行錯誤が必要です。
今後の目標
Hoge2Networkでは、今後の取り組みとして次の3点を目標にしています。
- 各プラットフォーム向けArch Linux ARMインストール手順の文書化
- 各プラットフォーム向けArch Linux ARMインストーラーの提供
- 可能であれば、Arch Linux ARM汎用インストーラーの提供
これらの活動を通じて、ARM64環境でArch Linux ARMをより簡単に導入・活用できるようにし、Apple Silicon Mac、Raspberry Pi、Snapdragon搭載PC、ARMミニPCなど、多様なARM64プラットフォームでのLinux利用を広げていくことを目指しています。
参考情報
- Raspberry Pi OS
https://www.raspberrypi.com/software/operating-systems/ - Asahi Linux / Fedora Asahi Remix
https://asahilinux.org/fedora/ - Armbian
https://www.armbian.com/ - Amazon Linux 2023
https://docs.aws.amazon.com/linux/al2023/ug/what-is-amazon-linux.html - Amazon Linux 2023 on Amazon EC2
https://docs.aws.amazon.com/linux/al2023/ug/ec2.html - Amazon Linux 2023 outside Amazon EC2
https://docs.aws.amazon.com/linux/al2023/ug/outside-ec2.html
まとめ
ARM64(aarch64)向けLinuxは、小型・省電力でありながら実用的な性能を持つ環境を構築できます。
Raspberry Pi OS、Fedora Asahi Remix、Armbian、Amazon Linux 2023のような用途別・環境別のLinuxも登場しており、サーバー、デスクトップ、教育、開発、組み込み、ネットワーク機器、クラウド環境まで幅広く活用できます。
Hoge2Networkでは、特にArch Linux ARMの導入支援と情報整理を進め、ARM64 Linuxをより身近に使える環境づくりを目指しています。