はじめに
入手困難なMSXの実機をFPGAで実現するプロジェクトとして有名なものに、「OCM-PLD」があります。
「OCM-PLD」はTerasicのFPGAボードのDE0-CVをMSX++として動作させるプロジェクトです。
最近、TangNano20Kを使って、MSX1のVDP、RAMを拡張する「MSXgoauld_tn20k」というプロジェクトが公開されました。
MSXgoauld_tn20k
「MSXgoauld_tn20k」は専用のドーターボードとともに、MSX1に搭載のZ80を置き換えることで、MSX2+の機能を実現します。
ドーターボードには複数種類あり、設置場所に応じて、スルーホール基板やSMD基板を選択します。
「MSXgoauld_tn20k」は以下の機能を担います。
- Z80
- V9958 with hdmi output
- MSX2+ BIOS
- 4MB mapper
- RTC
- PSG through hdmi
- OPLL through hdmi
- SCC (audio only) through hdmi
設定は、MSXロゴが出ている途中で「g」のキーを押してメニューに入って行います。
設定項目は以下の通りです。
- マッパー使用:デフォルトでは使用になっています
- マッパースロット:デフォルトは0で、1から3に変更可能ですが、実機の番号と重なる場合、実機のスロットが無効になります
- スロット1ゴーストSCC:デフォルトは未使用。使用に設定すると、スロット1にあるSCCカートリッジからの音声を出力
- スキャンラインの使用:デフォルトでは使用。HDMIの画像をきれいにするときは未使用に設定
- 保存と終了:新しい設定を保存して動作。マッパーの設定を有効にするには、リセットボタンを押す
- 保存とリセット:新しい設定を保存してソフトウェアリセットが行われます。変更はすぐに反映されます
TangNano20KのHDMIから映像と音声が出力されます。
実機内蔵のビデオや音声の端子からは出力されません。
注意点として、BIOSは自身の持つ実機のものと置き換えて利用するのがいいでしょう。
手元にあるCasioPV-7では問題なく動作しました。
スロットにSunriseIDEクローンを差して使っても、特に不具合はありませんでした。
「msx.org」に動作確認済みのリストが掲示されています。
- Canon V-20
- Casio PV-7
- Gradiente Expert XP-800
- Phillips VG-8010
- Phillips VG-8020
- Sanyo Wavy MPC-10
- Sanyo PHC-27
- Sanyo PHC-28S
- Sanyo PHC-SPC
- Sharp Hotbit HB-8000
- Sony Hitbit HB-20P
- Sony Hitbit HB-75P
- Sony Hitbit HB-101
- Spectravideo SVI-738
- Toshiba H1
- Toshiba HX-10DP
- Toshiba HX-20I
- Victor HC-6
- Yamaha CX5F
さらに、自作MSXの、Artemisa、Baffa-2、JFF、MSX-ONEやOmega MSXで動作するとのことです。
ジャンクのMSX2+を手元に保存しておいて、自作MSXをMSX2+にアップグレードして利用するのはお勧めです。
おわりに
MSXがMSX2+にアップグレードされる基板を紹介しました。
キーボードが壊れていても、「msx-goauld-ga」を参考にWaveshreのRP2040-zeroを利用して、USBキーボードを接続することができます。
USB接続のゲームコントローラも利用可能です。
さらに、TangNano20KのSDカードスロットをMSXに接続するプロジェクトも公開されています。
NextorOSと併用して、SDカードを本体に内蔵できます。
レトロコンピュータを現在の技術で補強・強化するプロジェクトはとても楽しい話題です。
