はじめに
昨年末にJLCPCBが透明FPCの製造に対応し、筆者も先人達に倣って発注して実装までしてみました。次回発注する機会があった時のために覚書を残そうと思います。
そもそも何を作ろうとしていたか
クリスマス時期にあわせて16x16x16のLEDキューブを作ろうとしてました。カソードに大量に配置したシフトレジスタ型LEDドライバとアノードに大量に配置したPMOSスイッチをFPGAでマトリックス制御するつもりでした。

ある程度点灯するようになってから接触不良起因と思われるドット欠けを修正していこうと思っていたのですが、内側のLEDが外からほとんど見えないことに気づいて中断しました。
透明FPCが透明なのは4枚重ねくらいが限度なようです。

16枚重ねたものを後ろから60W型電球で照らした状態。電球があるかも判別できない

4枚くらいに減らしてようやく向こう側が見えるレベル。
透明FPCを発注した先人たちの画像からはもう少し透明度が高いことを期待していたのですが、他の活用方法が思いつくまで保管して知見だけ残しておくことにしたのでした。
発注したもの
(1)PCBAまで依頼した16x16のRGBLEDが載った透明FPC
(2)リフロー予定の8x8のRGBLEDが載の透明FPC
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それぞれ20枚ずつくらい発注しました。
綺麗に見えますが何枚かは横からよく見ると擦り傷のようなものがありました。写真には映らない程度のものです。
なお、透明FPCは0.2mm厚で使用コネクタの想定が0.3mmなのでEasyEDAでポリイミド0.15mmを指定しました。
なお、透明FPCは200℃耐熱なのでPCBAに頼むと低温はんだオプションとして$78.57が発注後に追加されます。
ざっくり16枚でPCB費用\16000 + PCBA費用\24000 + はんだオプション \12600
2枚だとPCB費用\8000+PCBA費用\14000+ はんだオプション \12600になります
リフローに必要なもの
- テスコム 低温コンベクションオーブン TSF61A
- 低温クリームはんだ
CHIPQUIK TS391LT50 (融点137℃)

Digikeyで新品を購入したもののかなりぼそぼそしています。普段使っている秋月の期限切れクリームはんだは生クリームの7分立てくらいの硬さで使っていたので、無水エタノールで伸ばして使いました。ただ、かなり緩くなってしまったので失敗だったかもしれません。
プロファイル
K型熱電対を突っ込んで測定していきます。熱電対の精度については電気ポットに突っ込んで20-100℃までポットの温度表示と誤差1℃以内だったので信用することにします。

100℃でプレヒートして庫内温度が安定するのを待つのが大事です。
普通のクリームはんだだといきなり230℃設定にしてオーバーシュート期間ではんだ付け完了させてしまうことが多いのですが、同じノリでいきなり140℃設定したらオーバーシュートで200℃を超えていってしまいました。
なお、グラフ中では140℃に落ちるまで待っていますがすでにハンダは融けているので数十秒したら途中でオーブンを開けて強制冷却を始めてしまってよいと思います。
手はんだに必要なもの
リフローですべて綺麗に実装できていればいいのですが、手動印刷に部品手載せではそこまでの精度は期待できません。実際今回も前述の通りクリームはんだを緩くし過ぎたので、手修正が必要なクオリティになってしまいました。

↑ハンダが緩すぎる&FPCなのでステンシルの下に潜り込んでしまってすでに汚い

↑ボールやブリッジが発生している
- はんだごて
YIHUA 928D-III
HAKKOやgootなどの日本製メーカーでは200℃未満に設定できるはんだごては見つからなかったので中国製メーカーになります。90℃~480℃まで設定できリアルタイムの温度が表示されるので思ったより使いやすかったです。 - フラックス
CHIPQUIK SMD291NL
137℃近辺で反応してくれるフラックスはあまり巷に出回っていませんのでDigikeyで入手します。おそらくTS391LT50に混合されているフラックスと同じものです。
価格比較
PCBA: \36600 (16枚のとき), \26600(2枚のとき)
自力実装: \24000程度
- はんだごて \4600
- フラックス \2000
- クリームはんだ \3600
- 低温コンベクションオーブン 実売\14000
結論として、必要な設備を全部そろえても自力実装の方が安いですが
作業者の時給と余暇の価値を比較して判断することになるでしょう
あとはもう少しPCBAが利用しやすい価格に落ちてくれないかと期待せずにはいられません
