はじめに
この記事は、「IBM i RiSING 2026」Gチームの成果物になります。
Gチームの記事一覧はこちらになります。
【IBM Cloud】Power Virtual Server (PVS) で 一次言語を2984(英語)から2962(日本語)へ置き換える手順
この記事では、IBM Cloudの Power Virtual Server (PVS) 上に構築した IBM i インスタンスにおいて、初期OS言語の 英語(2984) から 日本語(2962:日本語DBCS) へ一次言語を置き換える 「OSスリップインストール」 および 「ライセンスプログラムの一次言語置き換え」 、までの一連の手順を解説します。
1. OSスリップインストールの事前準備
IBM i の一次言語を変更するには、既存のユーザーデータやシステム構成を保持したままOSの部分だけを入れ替える「スリップインストール」と呼ばれる導入作業が必要になります。
1.1. OSインストールメディアの準備
まずは、IBM Cloud から提供されている日本語用OSのインストールメディアをイメージカタログにロードし、マウント準備を行います。
osのインストールメディアについては既にメンバーが所有していたためそちらを使用しています。
今回使用するインストールメディアは下記の6つです。
- I_BASE
- B_GROUP3_1 ~ B_GROUP3_5
※本来はEntitled Systems Support (ESS)からダウンロードを行いますが、この記事では割愛させていただきます。
参考:https://www.ibm.com/support/pages/how-download-ibm-resave-or-ibase-image-ess-web-site
1.2. IBM iのIFS上にインストールメディアの保管先を作成する
インストールメディアの保管先として、IBM i側のIFS上に新しいディレクトリを作成します。
5250エミュレーターにサインオンして、コマンドラインに下記のコマンドを入力して実行してください。
※5250画面のコマンドはQSECOFRユーザーで実行しています。
//下記のCLコマンドを1行ずつ実行してください。
CRTDIR DIR('/RISING2026')
CRTDIR DIR('/RISING2026/OS')
CRTDIR DIR('/RISING2026/PTF') //後述する5.PTF適用編で使用する為、ここで作成しておく
WRKLNK OBJ('/RISING2026/*')
WRKLNKのコマンドまで実行できればエミュレーターの画面では下記の画面になっているかと思います。
/RISING2026 の配下にOS と PTF が存在していれば、SFTP転送先のディレクトリ作成は完了になります。
1.3. インストールメディアをIFS上にSFTP転送する
インストールメディア一式をSFTP転送で先ほど作成したIFS上にPUTします。
コマンドプロンプトで下記の通りSFTP転送のコマンドを実行します。
※念のため各コマンドについての説明を上から順に記載します。
- 1行目:
sftp SSHUSER@接続先のIBM iのIPアドレス
→IPアドレスの部分は適宜変更してください。 - 2行目:
SSHUSER@IPアドレス's password:
→@の前に指定したユーザープロファイルのパスワードを入力してください。
画面上では入力した文字が見えなくなっているので打ち間違いに注意してください。 - 3行目:
sftp> C:\メディアのディレクトリ\インストールメディアのファイル名" "/IBM iのPUT先のディレクトリ/保管名
→ファイル名の後は必ずスペースを1つ開けてください。
※正しくコマンドが実行されれば転送が開始され、進行状況が右下に%で表記されます。
//ローカルにあるI_BASEをコマンドプロンプトからSFTP転送する例
sftp SSHUSER@XXX.XXX.XXX.XXX
SSHUSER@XXX.XXX.XXX.XXX's password:
Connected to XXX.XXX.XXX.XXX.
sftp> PUT C:\メディアのディレクトリ\I_BASE_01_Licensed_Machine_Code_RS_760-D_LCD8_2947_03.udf /RISING2026/OS/I_BASE_01_Licensed_Machine_Code_RS_760-D_LCD8_2947_03.udf
I_BASE_01_Licensed_Machine_Code_RS_760-D_LCD8_2947_03.udf 0% 1500KB 167.1KB/s 4:47:42 ETAA
I_BASEの転送が100%になり完了したら、残りの B_GROUP3_1 ~ 5 も同様にIFS上にPUTをしてください。
転送ができているかの確認方法については下記のコマンドを実行してください。
コマンド実行後は /RISING2026/OS の配下が下の画像と同じになっていれば完了です。
//5250画面のコマンド
WRKLNK OBJ('/RISING2026/OS/*')
1.4. イメージカタログへのメディア追加
イメージカタログとは仮想的なメディア(光ディスクやテープなど)のイメージファイル群を1つにまとめて管理するためのシステムオブジェクトで、IFS上にある.ISOや.UDFなどの拡張子のデータを読み込む際に利用されます。
ここではイメージカタログに対して、日本語のインストールメディアを割り当てていきます。
5250エミュレーター画面から下記のコマンドを実行してください。
コマンド実行後は、イメージカタログにIFS上のインストールメディアの一覧が表示されているはずです。
//イメージカタログ作成および確認コマンド
CRTIMGCLG IMGCLG(OS) DIR('/RISING2026/OS') CRTDIR(*NO) ADDVRTVOL(*DIR)
WRKIMGCLGE IMGCLG(OS)
1.5. イメージカタログをマウントする為の、仮想光ディスク装置の作成
次は仮想光ディスク装置を作成していきます。
仮想光ディスク装置は言わば、DVDプレイヤーのようなもので、先ほど作成したイメージカタログ:OS をマウントする為の装置記述と考えてもらえればよいかと思います。
5250エミュレーター画面から下記のコマンドを実行してください。
コマンド実行後は、OPTVRT01 の状況がActive になっていれば完了です。
//仮想光ディスク装置の作成および確認コマンド
CRTDEVOPT DEVD(OPTVRT01) RSRCNAME(*VRT)
WRKCFGSTS CFGTYPE(*DEV) CFGD(OPTVRT01)
・OPTVRT01の左側のOptのフィールド部分に"1"を入力して実行
1.6. イメージカタログを仮想光ディスク装置へマウント
イメージカタログと、それを乗せるための器である仮想光ディスク装置の作成までできたら、実際にイメージカタログを装置へマウントしていきます。
5250エミュレーター画面から下記のコマンドを実行してください。
コマンド実行後は、/QOPT の配下にイメージカタログのデータ が表示されていれば完了です。
※イメージカタログのうち、いずれかのメディアが表示されているかと思います。
LODIMGCLG IMGCLG(OS) DEV(OPTVRT01)
WRKLNK OBJ('/QOPT/*')
1.7. IBM iの起動モード変更
次はイメージカタログのデータからOSをスリップインストールするために、IBM i の区画の起動モードを変更する作業になります。
※この記事では割愛させていただきますが、IBM iでOSをインストールするときのお作法で、起動モードをB/Mに変更する為の作業です。
ここからはブラウザ操作になります。
- PVSのインスタンス管理画面で、作成したインスタンス名をクリックしてください。
- 右上の
VMアクションのタブを開き、IBM i 操作をクリックしてください。
IBM i操作の画面が開くので、ブート操作 のタブをクリックして下記の通りに設定してください。
- サーバー・ブート・モード:
B(コピーを使用してディスクからブート) - サーバー操作モード:
手動
設定が出来たらアクションの実行をクリックしてください。
画面右上に画像のようなポップアップが表示されれば準備完了です。

2. OSスリップインストールの実施
ようやくOSをインストールするための下準備が完了しました。ここからはIBM iの区画を再起動(IPL)して、OSのスリップインストールを行っていきます。今回の検証ではインストール時にトラブルが発生したため、通常とは違う手段についてもご紹介させていただきます。
2.1. IBM iの再起動(IPL)
5250エミュレーター画面から下記のコマンドを実行してください。
//IPL手順
PWRDWNSYS OPTION(*IMMED) RESTART(*YES)
F16キーを実行
実行後は、ブラウザ側でインスタンスがアクティブになるまで数分待ち、アクティブになったことを確認したら、コンソールを開いてください。
2.2. OSの導入
DSTの画面にログイン出来たら、2.Install the operating system を選択してください。
次に、3.Virtual device - preselected image catalog を選択してください。
次に下の画面が表示されますが、そのまま実行キーを入力してください。
導入する言語を聞かれるので、2962 を入力して実行キーを入力してください。
次に、文字化けの画面が表示されますが、そのまま実行キーを入力してください。
OSの導入が開始されます。
文字化けしているので内容はわかりませんが、C6XXXXXXのようなコードでどのステップにいるのかを確認することはできます。
本来はこの後にオペレーティング・システムの導入という画面が表示されるのですが、どうやらイメージカタログが検索できずに、永久ループをしているようでした。ここから、通常は行わない方法でOSの再起動を行ったところ、無事OSのスリップインストールが完了したので、その起動方法をご紹介させていただきます。
※通常とは違う手順になってしまうので、簡単な紹介とさせていただきます。
【対応手順】
イメージカタログ経由での単純な再起動が失敗したため、システムをシャットダウンした上で、LIC(Licensed Internal Code:ライセンス内部コード)レベルから直接ブートディスク(代替導入デバイス)をマウントして立ち上げる「Dブート(D-IPL)」へ方針を切り替えました。
※今振り返ると、代替装置選択を試してみてからでもよかったと思いますが、検証の時は咄嗟に思い浮かばず上記の方法を取ったことは1つ反省点です。
- ブラウザからIBM i の起動モードを
Dモードに変更する
※通常はBモードになります。 - IPL時のコマンドに追加パラメータを指定して、イメージカタログを指定してIPLを実施する
//IPLコマンド
PWRDWNSYS OPTION(*IMMED) RESTART(*YES) IPLSRC(*IMGCLG) IMGCLG(OS)
上記の対応を行ったところ本来の画面が表示されましたので、続きの解説を行います。
次に、オペレーティング・システムの導入画面が表示されます。
導入オプションに2を入力して実行キーを入力してください。
次に、導入オプションの指定の画面が表示されます。
復元オプションに1を入力して実行キーを入力してください。
※下2つの設定はデフォルトのままです。
次に、復元オプションの指定の画面が表示されます。
もしパラメータで1になっているものがあれば、2or3に変更して実行キーを入力してください。
※設定値はデフォルトで画像の通りでしたが、OSのバージョンによっては値が異なる場合があるかもしれません。
ログイン画面が表示されます。
QSECOFRでログインしてください。
時間帯記述の選択画面が表示されます。
日本標準時になっていることを確認してそのまま実行キーを入力してください。
※QP0900JSTになっていない場合はOPTに1を入れてください。
IPLオプションが表示されます。
そのまま実行キーを入力してください。
主要システム・オプションのセットのが表示されます。
そのまま実行キーを入力してください。
※自動構成可能がNの場合はYに変更することを推奨します。
連絡先情報の変更画面が表示されます。
そのまま実行キーを入力してください。
通常のメインメニュー画面が表示され、日本語になっていることを確認する為下記のコマンドを実行してください。
コマンド実行後に5770SS1 *BASEの機能が2962になっていればOS部分の一次言語置き換えが、無事完了したことになります。
//ソフトウェア資源の表示コマンド
DSPSFWRSC
3. ライセンスプログラムの一次言語置き換え
DSPSFWRSCの実行画面からわかる通り、まだ5770SS1の*BASEの部分しか一次言語が置き換わっていないことが確認できます。今回の検証では、ライセンスプログラムの一次言語も2962に変更する為、ライセンスプログラムを再導入したので、その手順をご紹介させていただきます。
※この手順はRISING2026での検証マシンということもあり、本番システムでは推奨しかねます。個人的には二次言語に日本語を導入して、サブシステムの切り替えで運用をするのが現実的かと思います。
3.1. ライセンスプログラムのイメージカタログをマウント
事前準備でSFTP転送した、B_GROUP3_1 ~ 5 のメディアを使用するため、イメージカタログをOPTVRT01にマウントします。
コマンド実行後は、/QOPT の配下にイメージカタログのデータ が表示されていれば完了です。
※1.6. イメージカタログを仮想光ディスク装置へマウント と同様の手順です。
LODIMGCLG IMGCLG(OS) DEV(OPTVRT01)
WRKLNK OBJ('/QOPT/*')
3.2. ライセンスプログラムの削除
先に結論から申し上げますと、ライセンスプログラムを上書きしたところ、既存の言語2984が存在しているため上書きエラーとなりました。したがって、ここでは先に既存のライセンスプログラムを削除して、再度ライセンスプログラムを導入しなおすという手順を実施しました。まずは、ライセンスプログラムの削除手順からご紹介させていただきます。
【ライセンスプログラム削除手順】
- GO LICPGM →実行するとライセンスプログラムの処理メニューに遷移します。
- 12 →実行すると下の画面が出るので、オプションすべてに4を入力して実行します。
- しばらく待つと、ライセンスプログラムが削除されてライセンスプログラムの処理メニューに戻ります。
3.3. ライセンスプログラムの再導入
ライセンスプログラムの削除が出来たら、次にライセンスプログラムの再導入を行います。
基本的にはGO LICPGMのメニュー11番で、一覧に出るものすべてを導入すれば問題ないと思います。ただ、運用する上で不要なライセンスプログラムの導入によって、度々対応するPTFの更新が必要になったり、ディスク容量が多少圧迫するため必要に応じて取捨選択することを推奨します。
【ライセンスプログラム導入手順】
- GO LICPGM →実行するとライセンスプログラムの処理メニューに遷移します。
- 11 →実行すると下の画面が出るので、導入したいライセンスプログラムのオプションすべてに1を入力して実行します。
- しばらく待つと、ライセンスプログラムが削除されてライセンスプログラムの処理メニューに戻ります。
3.4. ライセンスプログラム導入後の言語状況確認
ライセンスプログラムを再導入した後は、現在のライセンスプログラムの一次言語が正しく変更されているかを確認する為、OS導入で行ったコマンドで確認を行います。
コマンド実行後に、ライセンスプログラムのすべての機能が2962になっていれば、ライセンスプログラムの一次言語置き換えは完了です。
//ソフトウェア資源の表示コマンド
DSPSFWRSC
4. おわりに
ライセンスプログラム再導入後には、適用されていたPTFが外れてしまう為、PTFを適用する為の手順について解説していきます。
次回の記事はこちらになります。
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