はじめに
2025年10月14日に Windows 10 のサポートが終了しました。
私は,個人利用のパソコンで Windows Update にExtended Security Updates(ESU)登録リンクが表示されないために,セキュリティアップデートができない状態に陥りました。
生成AIの力を借りながら,無事に解決できたので,同じような状況(商用パソコンと誤認識されESUリンクが表示されない)で困っている方の参考になればと思い,情報を共有します。
注意
- この記事は「私の環境で解決した記録」です
- すべてのケースで有効とは限りません
- レジストリ操作を含みます。慎重に行い、自己責任でお願いします
この記事の内容
- リンクが出ないパソコンの環境・状況
- ConsumerESUキーによるESU適格性の理解
- 商用デバイス判定を解除するまでの手順
今回のパソコンの状況
- 個人所有のパソコン
- 過去に職場アカウントで利用したことがある
- Windows Update は最新状態
- しかし ESU登録リンクが表示されない
リンク不表示の原因確認
個人向けESUは「適格性チェック」に通らないとリンクが表示されないようです。私のパソコンでは 「商用デバイス(Commercial device)」と誤認識 され不適格となっていました。
適格性チェック結果は、次のレジストリキーで確認できます。
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows\ConsumerESU
このキーの構成とデータ値の意味は次通りです(※生成AIから)。
| 値 | ESUEligibility(段階) | ESUEligibilityResult(結果・理由) |
|---|---|---|
| 0 | 不明/機能無効 | — |
| 1 | 不適格(Ineligible) | 3=非消費者エディション 4=商用デバイス 5=管理者でない 6=子供アカウント 7=地域制限 など |
| 2 | 適格(Eligible) | 1=成功(Success) |
| 3 | 登録済(DeviceEnrolled) | — |
| 5 | 登録済(Microsoftアカウント経由) | — |
| 8 | 主アカウントで登録が必要 | — |
これからわかるようにESUの登録リンクが表示されるためには,
ESUEligibility:2
ESUEligibilityResult:1
となる必要があります。私のパソコンは,
ESUEligibility:1
ESUEligibilityResult:4
となっており,商用デバイスと判断されESU不適格となり,ESU登録リンクが表示されないことがわかりました。
レジストリの確認方法
- レジストリエディタを使う
- コマンドプロンプトから操作する
の2つの方法を使いました。レジストリエディタはGUIで安心感がありますが,繰り返して操作するときにはちょっと面倒です。レジストリの取り扱いに慣れてきたら,コピペで済むコマンド操作を主に使いました。
コマンドプロンプト(コマンドウィンドウ)を管理者権限で開いてください。
1. スタートメニューで「コマンドプロンプト」を検索
2. 右クリック→「管理者として実行」
3. 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」→「はい」
以下のコマンドを実行します。
reg.exe query "HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows\ConsumerESU"
最初のHKEY_CURRENT_USERをHKCUと短縮して記述できるようです。
reg.exe query "HKCU\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows\ConsumerESU"
短くなるので,以下はHKCUを使います。また,今後の作業では,サブコマンドとしてqueryの他にexportとdeleteを使います。
解決までの実際の作業
個人のパソコンが「商用デバイス」と認識された理由としては,職場のアカウントでアプリやデータを取り扱ったこと(当然,職場のセキュリティポリシーに従った範囲内の使用)があるためと予想されます。残った影響を消去すことで,ESU適格性チェックに合格することを目指します。
以下の順で作業を行いました。
1. ConsumerESUキーの削除
2. パソコン状態の修正
・ 職場アカウントの削除
・ 一部レジストリキーの削除または確認
3. 再起動(変更反映)
4. ESU適格性チェック実行
5. ConsumerESUキーの再確認
「2」の作業にあわせ,他の作業を繰り返すことになります。
ConsumerESUキーの削除
作業結果の確実に判断するために,ESU適格性チェック結果のキーを毎回削除します。
まずはバックアップ
reg.exe export "HKCU\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows\ConsumerESU" ConsumerESU.reg
最後のConsumerESU.regは,保存するファイル名なので変更可能です。同じキーの削除を繰り返す場合には,保存は最初だけでよいと思います。
削除
reg.exe delete "HKCU\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows\ConsumerESU" /f
"/f"オプションは,確認メッセージを表示しない指示になります。そのため,このコマンドを実行すると即座に削除されます。確認しながら進めたい場合は外すと良いと思います。
確認
reg.exe query "HKCU\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows\ConsumerESU"
出力が次のようなら削除は成功です。
エラー:指定されたレジストリキーまたは値が見つかりませんでした
職場アカウントの削除
1. 設定 → アカウント → 「職場または学校にアクセスする」
2. 残っている職場アカウントを選択し、「切断」
3. パソコンを再起動
ESU適格性チェックの実行
再起動後,管理者権限のコマンドプロンプトで実行します。
ClipESUConsumer.exe -evaluateEligibility
これで適格性が再評価されます。
もしエラーが出る場合は、「ClipESUConsumer.exe 実行できない」といったキーワードで調べるか、生成AIに相談してみてください。
再び ConsumerESUキーを確認します。
reg.exe query "HKCU\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows\ConsumerESU"
次のように表示されれば成功です。
ESUEligibility:2
ESUEligibilityResult:1
プチ情報
私は2台のパソコンを作業しました。1台は職場のアカウントを削除済みでしたが不適格の状態でした。もう1台は職場のアカウントが残っており,職場のアカウントを削除しただけで適格となりました。
登録リンクが表示された!
適格と判断されたら,もう一度,再起動して,Windows Updateの画面を確認してください。以下のリンクが現れるはずです。

表示されない場合は、「更新プログラムのチェック」をもう一度押してみてください。
お詫び
適格となっても登録リンクが表示されなかった場合については,この記事でカバーできていません。申し訳ありませんが,他をお探しください。
関係レジストリの確認・削除
もし,これまでの修正で適格性チェックが不適格の状況が変わらなければ,更に以下を試します。
プチ情報
生成AIの指示で作業を進めただけで,レジストリキーの意味や役割はよくわかっていませんでした。ダメもとで,生成AIを信じて作業を続けて解決できました。やり続けて本当によかったと思います。生成AI有り難う。
Managementキーの削除
存在する場合には削除します。
reg.exe query "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Management"
私のパソコンでは存在しませんでしたが、環境によっては残っていることがあるようです。存在する場合はバックアップ(export)→ 削除の手順で進めます。
Enrollmentキーの確認
次のキーをレジストリエディタで開きます。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Enrollment
レジストリエディタの立ち上げ方
1. タスクバーの検索にregeditと入力
2. 表示されたレジストリエディタをクリック
3. 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」→「はい」
GUIDや組織名を示すサブキーがあれば、それが職場アカウント関連の可能性があります。キーを開いてデータも確認してください。私の環境では職場に関係するID名をデータの中に含んでいたキーを削除したところ適格となり,Windows Updateの画面に無事,登録リンクが表示されました。
プチ情報
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Enrollmentキーの中は,英数字の羅列の名前のキーやパスばかりでしたが,配下のパスやキーを一つずつ開いて職場に関係する語句がないか探しました。希望を持って,データの中まで確認してください。
最後に
生成AIに聞いても「10月14日以降に日本では順次対応予定」などとしか答えてくれず途方に暮れていましたが、いろいろなページを見ることで「商用利用」「ConsumerESUキー」というキーワードにたどり着きました。その後は,生成AIを活用しながらどうにか解決することができました。
この記事で解決しなかった方も、諦めなければきっと前進できると思います。健闘と幸運を祈ります。
補足
途中の試行錯誤では,いろいろなことをやりました。私は無関係でしたが,
製品名に「Enterprise」や「Education」と表示されている場合
は,個人向けのESUの対象外となるそうです。もし,関係しそうなら,確認してください。