はじめに
このたび、2025年5月19日〜22日の4日間、現地で「2025 Microsoft Build」に参加してきました。私はエンジニアではありませんが、一般の立場から見た最新技術(特にAI)やエネルギーに関する気づきを、みなさんとシェアできればと思います。よろしくお願いします。
エネルギー以外のトピックについてもいくつかのセッションに参加しました。
ここでは個人的な記録として、簡単に感想をまとめます。
When they don't speak engineer, try visualizing it
Lucidのシニアコンサルタントが登壇し、自社のビジュアルツールを活用してどのようにコミュニケーションを改善するかについて話しました。
Lucidは、ビジュアルコラボレーションに特化したソフトウェアプラットフォームを提供しているアメリカの企業です。強みは「IT業務(フローチャート・ER図・クラウド構成図)特化」と「リアルタイムでのドキュメント設計・システム可視化」にあり、GoogleやAmazon、Nikeなどのグローバル企業でも採用されています。日本国内では主にSIer企業が導入しているようです。
Table Talks: Women in IT
世界各地から約20名の女性エンジニアやPM(プロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャー)が集まり、2つのテーブルに分かれてキャリアや仕事について語り合いました。
ソフトウェア開発の世界では、国を問わず依然として男性が圧倒的に多い環境です。
そのような男性中心の業界でどのようにキャリアを築き、生き抜いていくかについても意見が交わされました。自分の考えをしっかり伝えることや、困ったときはマネジメント層に積極的に相談することなどが大切だという話が印象的でした。
余談ですが、Microsoft Buildの期間中、一度も女性トイレで並ぶことがありませんでした。女性参加者の比率が非常に低いことを改めて実感しました。
Imagine Cup Finalist: Argus, Empowering people with low vision with AI
Microsoft Imagine Cupのファイナリスト(優勝チーム)のセッションでした。Microsoft Imagine Cupとは、Microsoftが主催する学生向けのテクノロジーコンテストです。今回の優勝者は、Stanford Universityの学生チームで、MicrosoftのAI技術を活用して視覚障がい者向けのソリューションを開発しました。
AI技術を活用することで、人間の思考に近い分析ができ、正確な情報を利用者に伝えられる点が最大の特徴です。さらに、デザイン性やソフトウェア更新、ハードウェア設定、プライバシー問題なども考慮したサービスであり、将来性は非常に期待できると感じました。
Beyond the Game: How AI and Data Are Powering the Future of Sports
このセッションでは、スポーツ分野におけるAI活用の事例が紹介されました。
従来は数週間かかっていたスポーツ選手のスカウト業務も、AIの活用によって数分に短縮され、実際の試合中にも戦術の改善に役立てられることが説明されました。
また、「The Hub」のエリアでは、実際にスカウトで使用されている機材を体験することもできました。
Content Creation: Using Stability AI's Visual Models for Marketing
このセッションでは、マーケティング分野におけるAI活用の事例が紹介されました。
これまでモデルや商品を実際に撮影して背景と組み合わせる必要があった素材も、商品画像さえあれば利用シーンに合わせたビジュアルを生成できるようになっています。
これはマーケティングや映像産業にとって革新的な進歩である一方で、デザイナーやフォトグラファーの仕事が奪われる可能性があるという側面もあると感じました。
さらに、偽造映像やフェイク動画が社会問題化するリスクも無視できなくなると考えています。
感想
AIの活用によって、私たちの社会はこれまでにない高度な利便性を享受できるようになりました。しかしその一方で、AIの悪用による社会問題や、多くの仕事機会が失われることに対して、懸念の声を上げる人もいます。
私個人としては、AIを活用することで医療や環境などの社会課題を解決できる可能性に強い関心を持っています。たとえば視覚障がい者や聴覚障がい者向けのソリューションは、これまで選択肢がなかった方々に新たな世界を開くことができる素晴らしい取り組みです。
一方で、多くのサービスが開発され利用者が増えていく中で、AIによるエネルギー消費の課題も無視できなくなっています。自然電力グループの一員として、この課題にも真剣に向き合っていきたいと考えています。