(引用元: A successful Git branching model >> nvie.com)
ブランチ
git flowでは、
- main
- release
- develop
- feature
- hotfix
というように、ブランチを分けて開発を進める*。ブランチを切り替える時には、commit前の変更をgit stashコマンドで一時保存しておく*。そうしないと、切り替える時に変更が上書きされることがある。
ブランチ名
新しい機能を追加するときには、featureブランチを切る。その時のブランチ名は、feature/<機能名>
とすると分かりやすい。
機能の追加時以外にも、issueに対処するときにもfeatureブランチを切る。その時のブランチ名は、feature/<issue id>
とする。また、一つのfeatureブランチで複数のissueに対応する時には、feature/<issue id1>,<issue id2>_...
とする。例えば、feature/#7,#8
など。こうすることで、GitHub上でブランチ名がissueへのリンクとなる。
issueに対処するためにブランチを切った場合は、切ったその場でGitHubにpushする。これは、他の人に自分がissueに対処していることを知らせるためである。こうすることで、仕事の重複を防ぐことができる。
releaseにバグが見つかった場合には、hotfixブランチを切るのだが、この場合にも先ほどと同じ命名規則を適応する。つまり、ブランチ名は、hotfix/<issue id>
とする。
featureブランチの新規作成
手順
- ローカルで、featureブランチをdevelopブランチから切る
- featureブランチをGitHubに上げ、featureブランチのupstreamブランチ*を設定する
例
例えば、feature/Aブランチを作るときは、
まずは手順1を行う。
git checkout -b feature/A # feature/Aブランチを作り、checkoutする
git pull -f develop # developブランチと同じ状態にする
次に手順2を行う。
# feature/AブランチをGitHubに上げ、新しく作られたリモートブランチをローカルのfeature/Aブランチのupstreamブランチとして設定する
git push -u origin feature/A
注意
developブランチからfeatureブランチを切る時には、
git checkout develop
git pull
を実行して、developブランチを最新の状態に更新するのを忘れないように。
ブランチの取り込み
既にfeatureの開発ブランチがリモートにあり、それに参加する場合などに行う。
手順
- リモートブランチをfetchして、リモートトラッキングブランチを作る
- リモートトラッキングブランチから、ローカルブランチを切る
- ローカルブランチのupstreamブランチ*を設定する
例
例えば、リモートレポジトリoriginのfeature/Aブランチをローカルに取り込むときは、
手順1と2は、一度に行える。
# リモートトラッキングブランチを作り、そこからローカルブランチを作る
git checkout -b feature/A origin/feature/A
次に手順3を行う。
# upstreamブランチを設定する
git branch -u origin/feature/A feature/A
ブランチ間操作
新しい機能を追加する時には、
- developブランチからfeatureブランチを切る
- featureブランチで開発をする
- developブランチにmergeする
- releaseブランチにmergeする
- mainブランチにmergeする
という流れが普通だ。
ここで、feature/Aブランチで開発している時にfeature/Bブランチで開発中の機能を使いたいと思った時、どうするかが問題になる(なった)。
まず前提として、featureの開発は他のfeatureとは独立して行うのが基本だ。この場合は、feature/Aブランチとfeature/Bブランチの間に、出来るだけ結合を作りたくないということだ。
対処法は、以下の優先順位で決定すると良い。
1. feature/B -> develop -> feature/A
手順
- feature/Bブランチをdevelopブランチにmerge
- developブランチをfeature/Aブランチにmerge
例
まず手順1から始める。
git push origin feature/B # feature/BブランチをGitHubに上げる
GitHubでfeature/Bブランチからdevelopブランチにpull requestする。その後、承認とmergeを行う。
git branch -d feature/B # feature/Bブランチを削除する
git push origin :feature/B # feature/BブランチをGitHub上から削除する
次に手順2を行う。
git checkout feature/A # feature/Aブランチに入る
git pull origin develop # developブランチをmergeする
備考
feature/Bブランチは、developブランチにmergeした後に開発を続けても良いし、止めても良い。
2. feature/B -> feature/A
手順
- feature/Bブランチをfeature/Aブランチにmerge、もしくは、feature/Bブランチのcommitをfeature/Aブランチからcherry-pick
例
git checkout feature/A # feature/Aブランチに入る
git merge feature/B # feature/Bブランチをmergeする
備考
feature/Bブランチは、feature/Aブランチにmergeした後に消してはならない。というのも、そこで消してしまうと、feature/Bブランチはfeature/Aブランチに取り込まれたことになり、feature同士の独立性が保たれないからだ。
feature/Bブランチは、開発を続けるかdevelopにmergeしてから消す。とはいえ、developにmergeしてから消す、すなわち開発が終わっているなら、feature/B -> develop -> feature/Aの方法で対処する方が良い。こちらの方が意味的に自然。
mergeもしくはcherry-pickと書いたが、feature同士の独立性を考えるとmergeの方が良いかも。また、merge commitのコメントでは、feature/Bのどの機能が必要だったのかを詳しく書く。
絶対にやってはいけないのは、rebaseを使うことだ。rebaseを使うと、commitのネットワークは以下のようになる。
見てわかるように、feature/Aはdevelopから切られたブランチではなくなっている。一見良さげだが、これを繰り返すとブランチが乱立して収拾がつかなくなる。featureブランチは、あくまでdevelopブランチから別れたブランチでなければならない。このように決めることで、開発がスムーズに進む。時として、制約は自由をもたらすのだ。
注意
この他にも、feature/Bブランチの内容をfeature/Aブランチにコピーすることが考えられるが、これは避けた方が良い。というのも、feature/Aブランチの内容とfeature/Bブランチの内容が混ざったcommitをfeature/Aブランチにすることになりかねないからだ。こうなると、feature同士の独立性が破綻する。
Commit
commitは、意味的なまとまりと構造的なまとまりの両方を考えて、実行単位を決める。細かすぎるとlogが見にくくなるし、荒すぎるとバージョン管理する意味がない。最近は、エディターなどの機能で、自動でcommitを探してくれるので、細かくする弊害は取り除かれつつあるかも。なので、少し細かめと思うくらいにすると良い。
Commitの署名
commitにはgpg鍵で署名をする*。署名がきちんとできているかは、GitHubの画面でVerifiedと表示されるかで判断できる。
Commitメッセージ
commitメッセージの一行目はタイトルとする。タイトルは、
- Add:
- Delete:
- Replace:
- Fix:
- Refactor:
のどれかで始める。AddとFixを両方やった場合はどうするのかと思うかもしれないが、その場合は、commitを分けるべきである。
タイトルのxxx:
以降は大文字で始め、終わりにはピリオド(.)をつける。例えば、Refactor: Optimize the sort algorithm.
など。そして、二行目は空行にし、メッセージの本文は三行目から書く。
commitが何らかのissueに対処するものであるなら、タイトルは通常通り書き、二行目は空行、commitメッセージの三行目にIssue: <issue id>,[<issue id>,... ].
と書き、四行目も空行、メッセージの本文は五行目から書く。例えば、三行目にはIssue: #7,#8.
と書く。
例えば、
Refactor: Optimize the sort algorithm.
Issue: #7,#8
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というようなメッセージを書く。
Commitの取り消し
GitHubに上げる前であれば、
git reset --soft <commit id>
で取り消せる。
GitHubに上げた後なら、
git revert <commit id>
git push
でcommitを打ち消すcommitを作ることによって、擬似的にcommitを取り消す*。
Pull request
リクエストが何らかのissueへの対処なら、タイトルにはIssue: <issue id>,[<issue id>,...].
と書き、メッセージの一行目にもIssue: <issue id>,[<issue id>,... ].
と書く。その後一行あけて、メッセージの本文を書く。
タイトルの方は、pull requestの時点ではリンクにならない。だが、pull requestをmergeするときのメッセージの一行目になり、そこではリンクとなるのでこうしている。
自動テスト
CircleCIやtravisなどの自動テストができるツールを導入する。そして、push時などに自動でテストが走るようにする。これにより、GitHubのブランチ(特に、mainブランチ)にバグが入り込んだ時に、いち早く発見できる。
ただし、これはあくまでセーフティーネットとしての利用にとどめる。つまり、push前には必ずテストを実行するようにする。
その他
upstreamブランチ
ローカルブランチは、一つのリモートブランチと関連づけることができる。このリモートブランチをupstreamブランチという。
確認方法
あるブランチがどのリモートブランチと対応しているかは、git branch --vv
コマンドで確認できる。
例えばgit branch --vv
コマンドの結果が
hoge 10b2c33 [origin/fuga]
の場合、ローカルブランチhogeは、リモートリポジトリoriginのリモートブランチfugaと対応していると理解する。
正確には、ここで出ているorigin/fugaはリモートトラッキングブランチを表している。リモートトラッキングブランチというのは、リモートブランチの内容をローカルに保存してあるブランチのことで、git fetchコマンドで更新されるブランチ。その名前が<remote repository>/<remote branch>
なので、そこからリモートリポジトリ名とリモートブランチ名が分かる。
他にも、.git/config
ファイルを見ても分かる。
例えば、
[branch "hoge"]
remote = origin
merge = refs/heads/fuga
という内容であった場合、ローカルブランチhogeはリモートリポジトリoriginのfugaブランチと対応していると分かる。
設定方法
upstreamブランチを設定する方法は、
- git branch -uコマンドを使う
- git push -uコマンドを使う
の二つがよく使われる。git branchを使う方法は、ローカルブランチに既存のリモートブランチを対応させる時に使う。
例えば、ローカルブランチhogeをリモートリポジトリoriginのブランチfugaに対応させるには、
git fetch origin fuga # リモートトラッキングブランチを作成/更新する
git branch -u origin/fuga hoge
とする。
一方、git pushを使う方法は、リモートリポジトリに新しくブランチを作る時に使う。
例えば、ローカルブランチfugaをもとにして、リモートリポジトリoriginにhogeブランチを新規作成し、それをfugaと対応づけるには、
git push -u origin fuga:hoge
とする。
通常は、ローカルブランチとリモートブランチの名前は同じにする。その場合には多少省略できて、
git push -u <remote repository> <branch name>
で良い。
GitHub上のリモートブランチの削除
GitHub上のリモートブランチを削除するには、
git push origin :<branch name>
とする。
:<branch name>
はrefspecsと呼ばれるもの*で、<src>:<dst>
という意味である。この場合は、<src>
が空なので<dst>
も空になる。そのため、リモートブランチは削除される。
git push -fコマンド
ローカルブランチをGitHubに上げた後にcommitをやり直したい時、通常はgit revertコマンドを使って、commitを打ち消すcommitを作ることで対処する。しかし、GitHub上のリモートブランチに誰も触っていないことが確実なら、git pullコマンドでもcommitの変更を行える。
例えば、ローカルブランチをGitHubに上げた後に、直前のcommitを取り消したいと思ったら、
git reset --soft HEAD^
git push -f
を実行することで、ローカルブランチに加えて、GitHub上のリモートブランチも変更することができる。
ただし、変更するcommitが含まれているGitHub上のリモートブランチを、誰かがpullしていたりする時には使ってはならない。これを実行すると、その人のローカルブランチとGitHub上のリモートブランチの整合性を壊すことになるからだ。そのため、使用するときは十分に注意する。
git stashコマンド
あるブランチの開発中に、別のブランチの手直しをしたくなった時には、git stashコマンドを使ってcommit前の変更を退避させる必要がある。そうしないと、他のブランチに切り替えた時に変更が失われることがあるからだ。
例えば、feature/Aブランチの開発中にfeature/Bブランチに手を加えたくなったときは、
git stash save -u # feature/Aブランチのcommit前の変更を退避する
git checkout feature/B # feature/Bブランチに入る
... # feature/Bブランチで作業をする
git checkout feature/A # feature/Aブランチに戻る
git stash pop # feature/Aブランチの状態を復元する
というようにする。
ここで、git stashコマンドに-u
オプションをつけるのを忘れないこと。このオプションで、indexに登録前の(ie. untrackedな)変更も退避することを支持している。オプションをつけ忘れると、indexに登録されていない変更は失われるかもしれない。そして、そうやって失った変更は復元することができないので、もう一度書き直すしかなくなる(実体験)。
一部のファイルだけ退避させたい場合は、
git stash push -u <filename>
とする。
参考
- git flow
- commitの署名
- Signing commits (GitHub公式)
- githubで使うGPG鍵の作成
- refspecs