はじめに
本記事では、UI・UXデザイン方面でつよつよになりたい筆者が、UI・UXデザインに取り組んでいくなかで身に染みて感じたことを書いています。
自我を捨てた方がいいんじゃなかったんですか!?
以前こんな記事を書いていた筆者。
https://qiita.com/kamikawa_m/items/fa6a78a9a8ea55fb562b
使いやすいUIにするには既存の良いUIをベンチするのがよさそうです。
しかし、UIデザインも「デザイン」。
一般的には他人が作ったデザインを丸パクリして自分のデザインにしようもんなら大炎上です。
下手すると訴状が会社もしくは筆者のおうちに届いてしまいます。
とはいえ、用途や媒体が似ているアプリケーションにおいては、UIデザインの幅は限られてくると思います。
たとえば、
「右上の×ボタンで閉じられる」
「画面左にナビゲーションがあって、ナビゲーションで選択した内容を画面右の表示領域で表示する」
などのUIデザインは、世の中一般のアプリケーションで割とよく見るものです。
これらを採用することが「パクリだ!」と言われてしまったら、「ユーザーにとって直感的でわかりやすいUI」を作ることがとても難しくなります。
デザイン的に完全オリジナルで、かつユーザーにとって直感的に使いやすいUIを提案し続ければよい話ですが、それはいばらの道だと思います。
しかし、かくいう筆者も、一生懸命考えたUIデザインが構成から色や、何から何まで知らない人に丸パクリされていたら嫌です。
UIデザインの権利については、どのように考えるべきなのでしょうか。
ちょっと調べてみました。
著作権法的には?
著作権法によると、著作物の定義は以下です。
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
UIデザインは、美術的なデザインというよりは、ユーザーにとって使いやすいデザインであることが主眼です。
よって、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは言いづらいことが多いと思います。
また、著作権では色やレイアウトは保護されません(アイデアの範囲)。
その他、著作権には複製権や翻案権というものがあります。
簡単にいえば、複製権は著作物をまるまるコピーする権利、翻案件は著作物を翻訳・改変等して新たな著作物を作る権利です。
完全にコピーしたデザインを作れば複製権の侵害に、ちょびっとだけ変えたデザインを作れば翻案権の侵害になります。
しかしこちらについても、以下のような判例があります。
著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから,既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,翻案には当たらないと解するのが相当である。
つまり創作性のないデザイン、「普通に考えたらそういうデザインになり得るよね」という実用的なUIデザインであれば、他のアプリのUIデザインと似ていても著作権侵害とはみなされにくいのではないかと思います。
意匠法的には?
2020年に意匠法で保護される範囲が拡大し、画面デザインも意匠として保護されるようになりました。
(それまでは物品に組み込まれた画面デザインのみを保護しており、クラウドなどに保存されてインターネットを介して表示される画面デザインは保護されていませんでした。)
とはいえ、意匠法では以下のような意匠は保護されないようです。
物品の機能を確保するために不可欠な形状若しくは建築物の用途にとつて不可欠な形状のみからなる意匠又は画像の用途にとつて不可欠な表示のみからなる意匠
デザインが、その画面にとって必要な要素しか含んでいない場合には意匠権が認められない、となると、ありふれたデザイン(=よくあるUIデザイン)については意匠権は認められにくいのでは?と思いました。
さいごに
正しい解釈ができているかはわかりませんが、UIデザインに関しては創作性が認められにくいということはわかりました。
とはいえ、あまりにもそっくりデザインなのは、法的にギリギリ大丈夫だったとしても、自身および所属する会社のモラルを疑われることになりかねないと思います。
ベンチは大事だけど何から何までそっくりにしたらダメ、という認識を持っておく必要はあると感じました。
法律の解釈等、もし誤りがあればそっと教えていただけますと幸いです。
参考
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著作権法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048 -
意匠法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000125