前回の記事では、デジタル主権とソブリンAIについて書きました。
これらのトピックは、いずれも
- 日本人や日本のデータを守る
- 日本人や日本企業が安心してAIを使える環境を作る
- その基盤として Workspace.jp を構想する
という話です。しかし、ここで次の課題が見えてきます。それは 「ソフトウェアを安心して入手できる仕組み」 です。
このような仕組みが確立されたとしても、スパイウェアなどが使われてしまっては意味がありません。そこで提案したいのが Marketplace.jp という構想です。
Marketplace.jpとは何か
Marketplace.jp は、Workspace.jpに包含される仕組みであり、
- 日本の国民や企業が安心してソフトウェアを購入・利用できる
- 公共性の高いソフトウェア流通基盤
ものです。これは特定企業のストアではなく、かといって国や政府によって運営されるものではありません。イメージとしては東京証券取引所のような仕組みです。
つまり、
- 民間主体
- しかし公共性が高い
- 一定の審査基準
- 透明性の高いルール
その基準を満たしたソフトウェアだけがMarketplace.jpに登録されます。
なぜ必要なのか
現在、ソフトウェアは様々な場所から入手できます。
- 各社の公式サイト
- 海外のアプリストア
- GitHubなどのOSS
- 不明なダウンロードサイト
これは自由で便利な反面、次の問題があります。
セキュリティリスク
- マルウェア
- バックドア
- 情報送信型アプリ
- 不正なアップデート
法的リスク
- ライセンス違反
- 知的財産の問題
- 海外法令との衝突
信頼性の問題
- 誰が作ったのか分からない
- 更新が止まる
- サポートがない
つまり、安心してソフトウェアを入手できる共通基盤がないというのが現状です。
Marketplace.jpの役割
Marketplace.jpは日本におけるソフトウェア流通の「市場」です。
そこでは
- ソフトウェアの販売
- 無料ソフトの配布
- オープンソースの公開
を行うことができます。ただし、一定の基準を設ける必要があります。
登録ソフトウェアの要件(例)
Marketplace.jpに登録するためには 例えば次のような条件を満たします。
開発者の透明性
- 開発主体の明示
- 法人または個人の認証
セキュリティチェック
- マルウェア検査
- 不正通信の検査
- 更新機構の検証
ライセンスの明確化
- 商用ライセンス
- OSSライセンス
- 利用条件
データ利用の透明性
- 外部通信の有無
- 収集データの内容
- 保存場所
OSやプラットフォームを超える
更に、Marketplace.jpの特徴は OSに依存しないことです。
現在のアプリストアは、
- iOS
- Android
- Windows
- macOS
といった プラットフォームごとに分断されています。しかしMarketplace.jpはこれらを横断的に扱う市場になします。
つまり、
日本でコンピュータを使う人が
OSに関係なく安心してソフトを入手できる場所
とするわけです。
悪意あるソフトを締め出す
Marketplace.jpの最大の役割は悪意あるソフトウェアの排除です。
例えば次のようなソフトです。
- スパイウェア
- 仮想通貨マイナー
- 個人情報送信ソフト
- 不正広告ソフト
現在、これらは 普通のダウンロードサイトに紛れていて、被害が続出しています。
そこで、Marketplace.jpでは
- 審査
- セキュリティ検査
- コミュニティレビュー
によって、これら悪意のあるソフトウェアが排除されます。
Workspace.jpとの連携
このMarketplace.jpは 前回書いた Workspace.jp と連携します。
イメージとしては
-
Workspace.jp
→ 日本のデジタル基盤 -
ソブリンAI
→ 日本主権のAI -
Marketplace.jp
→ 日本のソフトウェア市場
という構造です。
Workspace.jpから直接
- アプリを導入
- AIツールを追加
- 業務ソフトを購入
できるようになります。これはMicrosoft365 + AppSourceのようなイメージに近いですが、
あくまでも特定の企業やプラットフォームに依存するのではなく、日本の主権のもとで運営される市場とするのです。
日本のソフトウェア産業にもメリット
Marketplace.jpは
ユーザーだけでなく、開発者にもメリットがあります。
信頼性
Marketplace.jpに登録されていること自体が
信頼の証になります。
販売チャネル
日本全国の企業・自治体に
ソフトウェアを販売できます。
OSS支援
オープンソースも登録可能です。
- 寄付
- サポート契約
- 商用版
といった形で持続可能な開発が可能になります。
デジタル主権の最後のピース
ここまで整理すると
構造は次のようになります。
| 分野 | 構想 |
|---|---|
| デジタル基盤 | Workspace.jp |
| AI | ソブリンAI |
| ソフト流通 | Marketplace.jp |
この3つが揃うことで、日本人が安心してデジタル社会を使える基盤が完成します。
最大の課題はやはり人材
このような仕組みを作り、維持するには 多くの技術者が必要です。
- Linux
- セキュリティ
- クラウド
- AI
- OSS
これらを理解する人材です。だからこそ以前書いたLinux部構想が重要になります。
中学・高校から オープンソースに触れる文化を作る。それが長期的には 日本のデジタル主権を支えることになります。
おわりに
インターネットは本来、 自由でオープンな世界でした。
しかし現在は、
- 巨大プラットフォーム
- 国家間のデータ競争
- AI覇権
という新しい時代に入っています。だからこそ、
- Workspace.jp
- ソブリンAI
- Marketplace.jp
という 日本のデジタル基盤 を長期的に考える必要があります。これは一企業のプロジェクトではありません。国家レベルの社会インフラの議論です。そしてそれを支えるのは、技術を理解する人材です。
未来のデジタル社会を守るために、今から議論を始める価値は十分にあると思います。