「結論から報告しろ」
様々なビジネス書にもドヤ顔1で書かれていますし、その様に報告してもらいたいのはその通りですが、この発言をすることによって結論から報告してもらえるようになったことはあまりない気がしています。
皆さんや皆さんの周りの人はどうでしょうか…?
少し客観的にこの話の構造を考えると『自転車に乗れない人に 「自転車に乗れば目的地に簡単に早く着くよ」 というアドバイスをしている』様な構造に思えてきます。
できる人から見ると当然できて然るべきなのでカジュアルにアドバイスをしていますが、できない人から見ると何が悪いかさっぱり分からないからできない。
トヨタ式なぜなぜで詰めても、本人の中にそれを実行するための何かがないため、メンタルが傷む事はあってもカイゼンされることはない。
…ということで今回は「結論から報告する」ために何が必要かを探りつつ訓練法を紹介してみたいと思います。
そもそも結論とは?
[名](スル)
1 考えたり論じたりして最終的な判断をまとめること。また、その内容。「調査の―を出す」
2 論理学で、推論において前提から導き出された判断。終結。断案。⇔前提。
引用元:goo辞書
調べてみたらよく分からなくなりましたが、日常業務で登場する「結論」は以下の様に感じます。
- 自分と相手の間に何らかのトピックがあって
- その中で、報告する時点で一番重要なこと
こちらの想定で考察を進めてみましょう。
『思った通り』のトピックの認識が同じ奇跡
多くのケースでは、『そもそも何らかのトピックの認識が自分と相手で異なっていて』 自分なりに一番重要と思っていることを伝えたにも関わらず 『結論から報告しろ』 と一蹴されている様に感じます。
逆に言うと、トピックが 『思った通り』 伝わっている人からの報告は必ずしも結論から報告していないかもしれないけれども目くじらを立てて『結論から報告しろ』と言わなくてもなんとなく修正されていってる気がします。
ベン図で表すとこんな感じでしょうか。
あまり意識することはないと思いますが、わたし達の会話は経験によって補われている部分が大きいです。
類似した案件を経験している人には話が伝わる可能性が上がる一方、未経験の新人には話が伝わる可能性が下がっていると思います。
にも関わらず、聞く側は当然理解できると思って話を聞いてしまいます。当然理解したと思っていれば、その場で質問が出ることはないです。問題が出た際に「なんで聞かなかったの?」と問い詰めると「質問できる程理解できていなかった」というところまでがテンプレ2かと思います。
話す方も聞く方も話が伝わることはむしろ奇跡と思っておいた方が余計な軋轢を生まなくてよいかもしれません。
トピックの理解と整理(二次元整理法)
とは言え、令和の世の中のIT業界で毎回奇跡が起きることを祈って仕事をするのはあまりセンスのよい行いとは言えないでしょう。
ということで、トピックの理解に有効と思われる方法を紹介してみたいと思います。
(二次元整理法)
- エクセル方眼紙(各セルの横幅を縮めて方眼紙状にしたエクセルシート)を用意する
- スプレッドシート等、オンラインで同時編集できることが望ましい
- トピックに含まれる要素を箇条書きする
- ホワイトボードの様に縦横自由に使う
- 内容が近いものは近くに書く
相手から依頼を受けた時点で依頼内容を細かい箇条書きに分解して書き出し、縦横に配置して整理する方法です。
『1次元ではなく2次元で考える』、『簡単に編集ができる』の2点を満たせればエクセルやスプレッドシートである必要もありません。3
長々と前フリを書いて仰々しい名前を付けた4割には「エクセル方眼紙を使おう」しか言ってないのですが、現状が上手くいっていないのであれば何かカイゼンしないといけませんが、大変なことは長続きしないので簡単にできることをやりましょうという考え方ですね。
自転車には練習をしないと乗れるようにならないです。「練習していたらある日乗れるようになったが、結局何で乗れるようになったか分からない」という経験もあるかと思いますが、トピックの理解と整理も同じく地道な訓練によって、 ある日突然劇的にカイゼンされる性質のもの だと思っています。
まとめ
意識の高いビジネス書を読んだり、先輩に指摘されたりして「結論から報告」することを考えるのは必要なことだと思いますが、トピックを理解・整理して結論にたどり着くには訓練が必要です。
今回は訓練の手法として二次元整理法を紹介してみました。慣れてくれば脳内でも整理ができることが増えて、いちいち書き出さなくても「結論」を見繕うことができるようになりますし報告以外でも役に立ちます。もしよろしければ試してみてください。