はじめに
新社会人の皆さんもそうでない皆さんもこんにちは。
この記事を読む方々は将来に漠然とした不安を抱えている方かと思いますが、いかがでしょうか?わたしは抱えています。
このエントリーでは、そんな不安を払拭するための生存戦略を考えます。
考察に利用するデータは政府が公開している信用できるデータを利用していますが、わたしの個人的考察については必ずしも正しいとは限りませんがそのつもりで読んでいただければと思います。
まずは情報収集
戦略を考えるには現在の状況についての情報をできるだけ多く集める必要があります。情報が足りていない状況で何かを判断するのは大変危険です。例えば最近は見かけない広告で 『フルリモート週3日出社副業で80万円収入』 といったものがありましたが、情報がなければ、それがどのような性質のものかを判断することもできないかと思います。
最近ではWebでググったり、ChatGPTに質問したりしてなんらかの見解を得ることもできますが、未来予測をするためには長期的な推移のデータを眺めるのがよいのではないかなと思っています。
今回は、わたし達が今置かれている状況を把握したいので、政府の統計データを色々見てみることにします。
自分の仮説をプレゼンする際にも、信頼できるデータ(エビデンス)が存在していると説得力が高まると思いますので情報収集をする習慣をつけるのは良いことかと思います。
漠然と課題認識
ヒット作を飛ばして億万長者(死語?)になりたいのか、定年まで波風立てずに植物の心のような人生を送りたいのかで、解決すべき課題は異なると思います。
今回は後者の課題解決を目指すことにして、以下のようなデータを収集しグラフ化しました。
- e-Stat : 労働力調査 / 基本集計 全都道府県 長期時系列データ : 年齢階級(5歳階級)別労働力人口及び労働力人口比率
-
総務省 : トップページ > 関係情報 > 調査研究報告書(毎年継続している調査) > ICTの経済分析に関する調査
- 1IT投資(日本)
- 2IT投資(米国)
- 9雇用(日本)
- 総務省(2022)「令和3年度 ICTの経済分析に関する調査」:図表3-1-3-1 我が国の情報化投資の推移
作成したグラフは以下のようなものになります。
※以下のサイトに実際のグラフも置いておきました。
統計グラフ一覧
元々資料でグラフも提供されているのですが、円グラフで推移をアニメーション表示するなどすると状況がより理解できるだろうと考えて再作成しています。
Chart.js を利用すると簡単にきれいなアニメーショングラフを作成できて便利ですね。
媒体広告費のグラフは『インターネットつよい』という見方ではなく 『実際には国内で流れていたお金がアップルやグーグルに流れた』 という見方をするとかなり深刻な事態であることが読み取れますが、今回の考察には含めないことにします。1
着眼点と仮説
ここから先に進む前に、一旦 『統計グラフ一覧』 を見て、なんでもいいので何かを読み取ってみて 『なんらかの仮説』 を立ててみてください。
この先はわたしの考察が続きますが、『他人と同じものを見て、より多くのものを読み取って、より生存率が高まるであろう判断をして行動する』ということの積み重ねが生存率を上げることになると思います。
ひょっとしたら、わたしが野垂れているけれども、読んでいる皆さんが生存しているという未来もあるかもしれません。
着眼点:人口推移
『少子高齢化社会』という単語を聞くと、子供と高齢者の問題の様に聞こえるのですが、実は会社にいる人全員が均等に年をとることで社会集団の性質が変わることがないかに着目してみました。
着眼点:IT投資額の推移
人月単価や昇給について何か読み取れることがないかと、IT投資額の推移と総額に着目してみました。
仮説を立てるにあたって
以下のようなことをぼんやり考えながらグラフを眺めました。
- なんとなく管理者不足を感じる。人口構成の問題?
- 年齢相応に昇給したい
- 昇給するためには人月単価の上昇が不可欠
- 上昇させる方法は?
- 外貨稼げる?
現状の把握や未来についての仮説は立ちましたでしょうか?
『これから皆さんには、お金を奪い合ってもらいます』
突然どこかで見たようなデスゲームのようなアオリですが、人月単価を上昇させる方法について考えるとそのような考えが頭をよぎります。
まずは、JUASの以下資料で人月単価の相場を確認しておきましょう。
(出典 : IT価格相場運営プロジェクト 研究成果報告書 2章 FP単価の算出 3. 人件費単価の計算(1/3))
企業規模・役割・地域によって単価が異なるようですが、66.8万円 ~ 158万円 といった単価になるようでした。2
さてここで、IT投資額の推移と、IT従事者の人口から、ざっくり一人当たりの人月を求めてみましょう。
2021年時点で、ソフトウェアに対する投資は、9兆円程度、IT従事者は120万人程度でした。
単純に割り算して、なおかつ 12 で割ると一人当たりの人月単価が求まりそうです。
9,000,000,000,000 / 1,200,000 = 7,500,000 [円]
7,500,000 / 12 = 625,000 [円/人月]
IT予算をIT従事者の人数で均等割したところ、62万5千円 となりました。
この計算には、サーバーの維持管理等、ハードウェアの費用は含まれていません。また、営業費等の経費等も含まれていません。
4割位を会社に持っていかれるとすると 37.5万[円/月] (450万[円/年]) が手元に残る計算になるでしょうか?
2011年から2021年にかけて予算が7兆円から9兆円まで上がっているので、向こう10年で同程度の成長をするならば、10年間で 100万円程度年収が上がることは期待できますが、誰かが年収1,000万円を達成しようと思うと、他の誰かの年収を平均値より下げる必要がありそうということが推察されます。
2030年に最大80万人不足するITエンジニア
一部で噂になっている 怪文書があります。
平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)- IT 人材需給に関する調査 -
調査報告書 : みずほ情報総研株式会社
2021年時点で、ITエンジニアが120万人しかいないのに80万人が不足するとはものすごい数字です。
これは、『従来型IT』から『先端IT』に業務内容が変化していくため、『先端IT』の業務を行える人が不足するという趣旨のようでした。
シンプルに数字だけ見ると、4割相当の人員を新たに調達するのは少子高齢化社会的でなくても難しい様に感じます。今いる人間すべてが4割程度生産力を高める必要があると考えるとまぁまぁしっくりきますが、4割給料が上がるのかというとそうでもないのだろうなというのも見え隠れしていてなかなか難しい問題です。
おわりに
今見えている危険(?)をざっくり書き出してみました。
そこから導き出される(?)個人的な生存戦略としては、お客様やメンバーと連携できるコミュニケーション能力を身に着けて、要件定義から実装までこなせるようになるのがよいのかなと思いました。
『先端IT』で必要なスキルは業務時間中には学べず、独学でやれる範囲にも限りがありますが、『従来型IT』の業務に含まれることは業務時間中に会社のメンバーと共に学べる可能性が高いと考えるからです。
漠然とした不安に対処しようとすることはとても困難です。日々情報を収集し、将来に備える努力をすることが重要かと思っています。
おまけ0
おまけ1(新卒エンジニア向け手紙)
おまけ2(新卒エンジニア向け記事)
おまけ3(パイセン向け記事)
おまけ4(...は難しいシリーズ)
おまけ5(営業A短編シリーズ)
おまけ6(エンジニアのためのお仕事問題集)
2030年にIT人材が最大79万人不足するとのことで、学習用の資料をgitで無料公開してます(不定期更新)。
よろしければどうぞ。