はじめに
文章力を上げるには読み書きの量が大事だという話はよくでてくるのですが、「いや別に書きたいことないし」 「ネタがないから続かないし」 って思いませんか?
わたしは思います。
文章教室という結城浩先生のサイトが楽しく文章の読み書きの練習ができてよいのですが、残念なことに長いこと新しい問題が供給されていないようです。
仕方なく本屋で読み書きの問題集の様な本も探しているのですが、考え方を身につけるのに良さそうな本はあるのですが、そのまま読み書きの量を増やすことに使えそうな本は見つけられていません。
また、『新聞の社説みたいなのを要約するといい』という話もありますが、これは要約をしてみても誰がレビューをするのか問題があり却下です。
といったところで、GPT先生に練習問題をくださいとお願いしてみることにしました。
お願いプロンプト
こちらになります。
文章の要約の練習がしたいので、30行ぐらいの論旨が散漫な文章をください。
まとめやヒントや解説はまだ出さないでください。
分かりにくい文章をどうやって作らせるかに試行錯誤しました。ヒントや解答をセットで出されないように2行目で念押しをしてます。
難易度は行数等の指示で変えられると思います。
「キャンプの話をお願いします。」などと好きなテーマを追加してもいいかもしれませんが、AC61の話など最新の話題は知らないのが残念ですね。
GPT先生の出題例
もちろん、論旨が散漫な文章を提供します。以下はその例です。
"近年の環境問題に対する国際的なアプローチは複雑であり、さまざまな国が異なるアプローチをとっています。一方で、科学的な証拠は環境変化の深刻さを示しており、対策が急務です。経済的な要因も環境政策に影響を与えており、持続可能な経済モデルの探求が求められています。一方で、環境保護活動には資金とリーダーシップが必要です。さらに、技術革新も環境問題に対する解決策の一部となっており、新たなエネルギー源の開発やクリーンテクノロジーの普及が進んでいます。しかし、これらの取り組みには課題も多く、国際的な協力が不可欠です。環境問題は人類全体に影響を与える重要な課題であり、持続可能な未来のためには緊急の行動が必要です。"
いつも理路整然としたGPT先生とは思えない文章です。
一つ一つの文章は整っているにも関わらずに全体を通してみると何を言いたいのかがさっぱり分かりません。
要約の問題としてはかなり良問と感じましたがいかがでしょうか?
要約=理解と整理+アウトプット
ここで、この文章の構造をよく見ると、この文章を要約することで、わたし達の業務において重要な能力が鍛えられることが見えてきます。
様々な部署を回ってきたであろうエクセルの要件定義資料。他の担当者が書いた部分との整合性は気にせずに自分の担当分を記入したであろう要件定義資料を思い浮かべてください。
異なる利害関係を持つ担当者がそれぞれの要求を書いた資料は、ChatGPT先生が例題に出してくれた文章の様な構造になる可能性があると思いませんか?
要約は、そういったものを理解したり整理したりした結果を アウトプット する行為だからです。
頭の中で理解して整理するだけではなく、要約した結果をアウトプットして見える化することで、他の担当者との要件の調整がスムーズになることもあると思います。
そういった意味では、要約力は、どんな仕事をする上でも必要になる基本的なスキルと言えるでしょう。
回答例
この様なエントリーを書いてますが、わたしも修行中の身です。回答を書くのにエライ時間かかってしまいました。(笑)
日頃読み書きしない文章だったのでだいぶ勉強になりました。
要約すると以下でよいですか?
====
環境問題は、科学的な証拠から深刻と示されている問題です。
問題の解決には、資金、リーダーシップ、および新たなエネルギー源の開発やクリーンテクノロジーの普及といった技術革新などが必要です。
人類全体が、国際的な協力をもって、持続可能な未来に向けて緊急の行動を取る必要があると言えるでしょう。
はい、提供された要約は原文の主要なポイントを簡潔にまとめており、正確に要約されています。原文の内容を要約したものとして適切です。
GPT先生がレビューしてくれるのがポイントが高いですね。普通に嬉しいです。
指摘される時も、人間に指摘されるより痛みが少ないのでオススメです。
おわりに
ChatGPT先生は常々壁打ちに便利だなとは思っていたのですが、要約力を上げるのにも使えそうというのはかなり便利だなと思いました。
遠くない未来のITエンジニアの仕事は、案件の小型化が進んだ結果、AIに仕事を取られるのではなくて、1人の人間が担当する範囲が広がることになり、 外部設計や要件定義などにも時間を取られる様になり、開発をする時間が減るからそこはAIでうまいことやるようになるのかなという気もします。
そうした未来に向けて、要約力を上げておくことはエンジニアの生存戦略としては有効だと思いました。
おまけ0
おまけ1(新卒エンジニア向け手紙)
おまけ2(新卒エンジニア向け記事)
おまけ3(パイセン向け記事)
おまけ4(...は難しいシリーズ)
おまけ5(営業A短編シリーズ)
おまけ6(エンジニアのためのお仕事問題集)
2030年にIT人材が最大79万人不足するとのことで、学習用の資料をgitで無料公開してます(不定期更新)。
よろしければどうぞ。
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アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン。フロム・ソフトウェアのロボットゲーム。身体は闘争を求める ↩