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100万人に伝えたい!失敗を乗り超えた話を共有しよう

ゲームを持ち込んで、「面白さは十分わかった、で…」って言われた話

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はじめに

「100万人に伝えたい!失敗を乗り超えた話を共有しよう」にエントリする記事を書こうと過去の経験を引っ張ってきました。

失敗とか乗り越えたとはちょっと違うのですが、製品開発を行う方の参考になれば幸いです。

ゲーム屋のキャリアのはじまり

元々システム屋から、ゲームが好きでゲームが作りたくてゲーム屋に転職したことがある人間です。
ゲームプログラムは個人で勉強はしていましたが、職業としてできる程でもないからと企画職で入りました。

スタート時点で色々間違っていたのですが、なぜ『プログラムは職業としてできる程でもない』と思ったのに『企画は職業としてできる』と思ったのでしょうね。自分の考える企画は最高に面白いという思い込みはクリエィティブでいるためのモチベーションとして必要だと思うのですが、同時に、客観的に価値判断できる自分も頭の片隅に置く必要があると気づいたのは大分立ってからでした。

プログラマーの方々は自分の好きなゲームを作りたくて頑張って勉強していたのに、ぽっと出の何の実績もない若造が『これ面白いから作って』と未熟な言葉で伝えても聞いてくれるわけがないし、話を聞いてもらおうという方が失礼な話だったと反省しています。

ゲームが好きでゲーム屋に入ったら、親切な先輩がいて手取り足取り教えてくれて、程よい課題が用意されて、大した努力もしていない未経験者にゲームを作れるまで育ててもらえるかというとそんなことはなかったわけです。

ただ、幸か不幸か、自分の様な素人でも採用してもらえる会社でしたから、周りもゲーム開発の経験がない方ばかりで、なんでもやらなければなりませんでした手を上げればやらせてもらえましたので、昼も夜もありませんでしたが、最初のプロジェクトが終わる頃には企画もシナリオもプログラムもなんとなくできるようになってました。

そして持ち込みへ

わたしがいたのは小さなゲーム屋で、自社開発ではなく受託業務をメインとしていました。安定してお客様からの仕事があるわけではないので、仕事がない時期は企画書を書いたりプロトタイプを作ったりもしました。
アクション性の高いゲームなどは企画書だけでは面白さを伝えるのが難しいので動くサンプルがあった方がよいでしょうし、持ち込まれる側も完成形が見えた方がいいでしょう。

何一つ制約がない中で自社製品の企画を考えるのはとても大変でした。好きなことをようやく好き放題やれるようになったはずなのに。
受託の仕事と違って、期日や費用などを言い訳にできないし、色々な人が色々なことを言うのを矛盾なく取り入れるのが大変だったのかもしれません。

そんなこんなで仕事の合間をぬって(?)持ち込み用のゲームが完成しました。

ぽっと出の何の実績もない若造の話を聞きたくないと同様、謎のゲームの企画をいきなり持ち込まれても対応に困ると思うのですが、社長のつてで割りと大手のプロデューサーがお話を聞いてくれることとなりプレゼンに行くことになったのでした。

面白さは十分わかった

プロデューサーの方は、物腰も柔らかい感じで随分いい方だなぁと思いました。
一通り説明を聞いて、最後にこう言われました。

「面白さは十分わかった。で、売れる保証は?

当時のわたしにはかなり衝撃的であるとともに大変分かりやすい言葉でした。自分なりに面白いことばかり考えてたのを一言で全否定されているわけですが。

今のソシャゲーの企画が、システムは使いまわしで、IPをどこからともなく集めてきて数字を作るような企画が溢れていることを考えると、随分早くにその考えに至られていてすごいなとなりますが、「おもしろいクリエィティブなものを作りたい」とは随分遠いところにいるよなぁとも思います。

趣味ではなく仕事なのだから、予算や計画があって、投資した分のお金を回収できる売上は必要です。
大きな会社になればなる程所属する人間が多くなり必要な給与も多くなるので、大きな売上が必要です。より多くの人間を何年間も同じ方向を向いて働かせるためには分かりやすい理由が必要です。

それは「面白い」などという曖昧な指標ではなく、「売れる」という分かりやすい指標が必要と考えるのは企業としてはシンプルです。

ただ、「誰にでも簡単に分かる売れる指標」は、それは「コストさえかければ誰にでも模倣可能」となる指標の可能性があり、あまりよい指標ではないかもしれません。

おわりに

今回記事にしたエピソード後、ゲーム屋は辞めて随分時間が経ってから、個人で企画を持ち込んで製品化に至りました。
ゲームは儲からないから足洗ったはずなのですが人生分からないものでした。

こちらの成功体験の振り返りを行ったところ、どうも簡単に再現が可能ではないようで、売れる企画を作るためには、必要条件と十分条件というのがあるのでは?と考える様になりました。

必要条件は書籍や過去の経験から学べるけれど、十分条件には、運の要素や、成功するまで続けられる体力などが含まれていると思っています。

以下、わたしが現時点で必要条件と感じている事項を列挙してまとめとしておきます。
ゲームやアプリの部分は適宜読み替えて頂くと、その他のプロダクトにも応用が効くと思います。

  • 企画をするのに十分なインプットをする
    • 既存のゲームなどをとにかくたくさん遊ぶ
    • 好きなものも嫌いなものも遊ぶ
  • 実績を積む
    • フリーでアプリを作ってリリースする等
    • 数撃たないと見えないものもある
    • 相手から見える「あなたの凄さ」をつくる
  • フィードバックを得る
    • 数字が出ないも重要なフィードバック
    • 厳しい意見も受け止める
    • 独りよがりにならない
  • 最高におもしろい自分は忘れない
    • 売れるもの研究をしていると、自分を忘れがち
  • 世界観をつくる
    • 一言で伝わる企画にはあなたの想いの強さと世界観が必要
  • 企画を聞いてくれる人を探す
    • 予算を握っている人と会話できるようにする

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おまけ2(新卒エンジニア向け記事)

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おまけ5(営業A短編シリーズ)

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エンジニアのためのお仕事問題集

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