プラクティス名(別名)
タスクボード (スクラムボード、カンバン)
プラクティスの目的・狙い
- タスク状況の可視化
- フロー効率の向上(負荷分散、ボトルネック解消)
どんな時に使うか
- 誰が、何をやっていて、どこまで終わっているのかを見えるようにしたい時
- 優先度の高いPBIから1つ1つ順番に終わらせていくことが出来ていない時
実施手順
- ボードを縦にToDo/Doing/Doneの3つのレーンに区切る(Doingは工程別にさらに細分化してもよい)
- タスクを優先度の高い順にToDoレーンに並べる
- タスク状況に応じてカードをToDo→Doing→Doneと移動させる(必要な情報は適宜カード内に追記)
- 朝会など、一日一回はチーム全員でボードを眺めて話す機会を設ける
- Doingのまま何日も動かないカードがあったり、特定のエリアにカードが滞留するようであれば、課題があるサインなので、チームで対策を話し合う
物理ボードの場合はホワイトボードや壁面を区切って付箋を貼り、タスクボードをつくります。電子ボードの場合はmiroのようなホワイトボードツールを使うか、Redmineなどのタスク管理ツールを使います。いずれの場合もチーム自身が作成することが大切で、アジャイルコーチなどが1人で作成してしまうことは避けた方がよいです。
アレンジ例
- 同時に着手できるタスク数に上限を設ける(WIP制限)
- 色でタスクの種類や緊急度が分かるようにする
- タスクのサイズ(S/M/L)によって、カードの大きさも変える
- 何らかの要因で作業が進められない時、その理由を別の付箋に書いて上に貼る(=ブロッカー)
- タスク完了時に、スムーズに進んだかどうかで感情(笑顔/真顔/泣き顔)を示すスタンプを押す
- 保留/備忘/調査/アイデアなどを書き留めておくためのエリアを欄外に設ける(パーキングロット)
- 次スプリントに向けた準備タスクや、余裕があったら先行着手したいタスクも書き出す
- Doingのレーンを日付単位に細分化し、プランニング時点でカードを着手予定日に配置しておく(=着手遅延が分かりやすい)
- 担当者毎のスイムレーン(行)を設け、個人の空き状況を可視化する
- 担当者毎にアバター(マーカーやアイコン)を用意し、作業中のタスクカードの上に置く(使えるアバターは1人2つまで、のようにルールを設ければWIP制限にもなる)
アンチパターン
- 付箋に書かれた文字が小さくて読めない
- 仕掛中(Doing)のタスクが多すぎて、どれもなかなか完了(Done)にならない
- タスクの作業者が先に決まっていて柔軟なアサインができない(属人化やボトルネックになりがち)
- カード更新のタイミングがメンバーによって異なり、ボードを見ても最新状況が分からない
- カード化されない隠れタスクが横行している
参考情報
より詳細なカンバンの使い方/作り方についてはRyuzeeさんのブログに豊富に掲載されています。(さすがの情報量!)
AgileStudioさんの解説サイトにもボードイメージやツールが紹介されています。
書籍『カンバン仕事術』
こぼれ話(私的コメント)
冒頭に掲示した画像はスクラムでタスクボードを使う場合のイメージです。スプリント期間をとくに区切らず、日々発生するタスクを継続的にフローとして管理するいわゆる"カンバン方式"の場合は、ボードのレイアウトも多少、変化します。
チームメンバーの多くがテレワークの場合は、電子ボード一択ですが、もしも全員が同じ部屋に集まって作業できる環境であれば物理ボードもオススメです。テレワーカーが少数なら写真をとって共有する手もあります。また物理ボードと電子ボードの併用という選択肢もありますが、そうするとボードの同期が大変・・・と思いきや、意外とそうでもないようです。
物理ボードのメリット
・顔を上げればすぐに見れる(アプリを開くより早い)
・物理的な制約でカード枚数が自ずと制限される(電子ボードだと無限に起票できてしまうため冷蔵庫になりやすい)
・付箋1枚に書ける情報量が自ずと制限される(電子カードだと長い文章も記入できてしまう)
・担当者が手で付箋を移動しながら、話すと状況が伝わりやすい
・完了させたタスクを付箋の枚数で実感することができる
・ボードの前に皆が自然と集まるようになるので、チームに一体感が生まれる
物理ボードだとバーンダウンチャートなども手書きになるので手間だと思われるかもしれませんが、チームにとっては実際に手を動かした方が進捗を明確に意識することになるので、むしろ望ましいと思います。
物理ボードのデメリットとしては時間が経つと付箋が剥がれてしまうことがある、という点でしょうか。まぁ、この点も滞留タスクの自動消去機能が備わっていると思えば、許せる気がしませんか?