プラクティス名(別名)
あんどん (ソフトウェアあんどん)
プラクティスの目的・狙い
- 「止めて、直す」を徹底することで、障害影響を極小化する
どんな時に使うか
- 人知れずビルドが壊れている、といったことがよく発生する
- さらにそれを復旧させるのに時間がかかる(原因調査、影響調査、etc...)
実施手順
- 受け入れテストを自動化し、毎日定時にバッチ実行する
- ビルドエラーが出たら「あんどん」を灯す
- 「あんどん」が灯ったら、作業の手を止め、状況を共有し、全員で原因を究明する
- 問題が解消するまではビルドに他のコードを追加してはならない
- 問題が解消したら「あんどん」を消灯し、通常の仕事モードに戻る
「あんどん」はパトランプや旗、アラーム、チャットの緊急通知など現場の全員がすぐ気づけるサインであれば何でもよい
問題が起きるたびに製造ライン全体をストップさせるのは一見効率が悪いように思えるが、エラー発生後に別のコードが載ってきて問題が複雑化する事態を防げるため、結果的には少ない労力で問題を取り除ける。エラー状況もその場で全員に共有されるため二次障害も起こりにくい。
背後にある考え方として「欠陥のムダ = 欠陥の大きさ × 欠陥の滞在時間」という計算式があり、滞在時間を短くすることで影響を最小限に抑える。
アレンジ例
- 「あんどん」が灯ったら、全員モブプロエリアに集合する
アンチパターン
- 「あんどん」が灯っているのに、問題解決に協力せず、自分が担当中の作業を黙々と続ける
参考情報
オブジェクト倶楽部(後にオブラブに改名) 「見える化によるプロジェクトファシリテーション」
http://objectclub.jp/download/files/pf/ProjectFacilitation20051124.pdf
こぼれ話(私的コメント)
「あんどん」という名称の由来はTPS(トヨタ生産システム)から。製造ラインの誰でも異常を見つけたら、ボタンを押してラインを止めることができる。一旦「止めて、直す」ことで欠陥品が次工程に流れずに済むため影響が少ない。海外でも「Andon System」の名で知られている。その考え方をソフトウェア開発に応用したのが「ソフトウェアあんどん」となる。