プラクティス名(別名)
用語集 (ユビキタス言語、共通言語、メタファー)
プラクティスの目的・狙い
- コミュニケーションの齟齬を防止する(チーム内の共通認識形成)
- 設計書やコード内の用語を統一する
- 新規メンバーの参入障壁を下げる
どんな時に使うか
- チーム内やステークホルダーとの会話で認識齟齬が頻発する
- 同じ用語でも人によって意味するものが異なる
- 逆に意味するものが同じでも人によって呼び方が異なる
実施手順
- 用語集の書式と掲載場所を定め、周知する(必ず全員がアクセスできる場所に置く)
- 業務用語/技術用語/アジャイル用語など会話を円滑にするための基礎知識を持ち寄る
- チーム内またはユーザとの会話の中で登場した新出語は、都度、用語集に追記する
- 複数の呼称がある用語はどれかに統一し、チームの共通言語を形成する
- 定期的に新出語を周知する(定例会議の中などで共有の場を設ける)
アレンジ例
- 用語の和名/英名を併記し、コードの関数名/変数名/クラス名などのネーミングに利用する
(=DDDにおけるユビキタス言語の考え方) - 解説が欲しい用語をリクエストとして記入し、分かる人が意味を回答する(プル型運用)
- チーム内でしか通用しない方言/通称/略語/比喩なども追記する
(=XPでは複雑な概念を別のものに例えて理解しやすくする「メタファー」というプラクティスがある) - 有識者にドメイン知識を解説してもらい、それを用語集に追記する
アンチパターン
- 特定の人しか用語集に追記していない(一方通行&負荷集中)
- 用語を共有する場が無く、追記してもチームに浸透しない
- 専門用語をムリに使う(→「レトロスペクティブ」が馴染まなければ普通に「ふりかえり」でよい)
参考情報
用語集の作り方についてはこの記事がとても分かりやすかったのでオススメです。
こぼれ話(私的コメント)
アジャイル初心者にとって最初の壁となるのが耳慣れない専門用語。それを解消するための用語集を作っている時に、ふと、これを一通り説明したらそれだけで新人向けオリエンテーションになるな、と気づきました。用語集って昔からある定番の手法なので、あまりプラクティスという印象が無かったのですが、よくよく考えてみるとチームの成長とともに育っていく生きたナレッジで、アジャイル開発との相性も良さそうだと改めて認識した次第です。