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「プラクティス」の位置づけを整理してみた

Last updated at Posted at 2023-08-14

まえおき

今回はポエム成分多めです。
「結局のところプラクティスって何なん?」という疑問をお持ちの方にはもしかしたらそのモヤモヤが少し晴れる効能があるかもしれません。僕も同じ疑問を持ち、こう考えたらスッキリしたという結論を記事にしてみたものです。下に貼った絵もどこぞの学者様がまとめてくれたものではなく、僕の脳内ではこういう世界観に落ち着きました、というだけのものですのでその点、ご了承下さい。

最近、アジャイルプラクティス一覧なるものを書き始めたので、であるならば自身のプラクティスに対する向き合い方をクリアにしておかねばなるまい、というのがこの記事の動機です。

プラクティスの位置づけ

practice.jpg

そもそも「プラクティス」とは何を指すか、という定義を一応探してみましたが、これが驚くほど情報が出てきません。というか定義されないからこそ「プラクティス」なんだろうな、と思います。なので自身の言葉でまとめてみます。

プラクティスとは、チームをアジャイルな状態に導くための活動・慣行・技法・ノウハウ・TIPSなどを指す

ここではアジャイル開発の中で具体的なアクションとして実施できるものであればひとまずプラクティスとみなすことにします。ただしプラクティスの特性として以下のようなことも知られています。

プラクティスの目的を理解せずに、ただやるだけでは効果は出ない
別のチームで上手くいったやり方をそのまま真似しても上手くいかない

ということはプラクティスの手順として定められた行動だけでは効果の有無は決まらず、暗黙的な文脈(コンテキスト)によって左右される要素があるということです。この点で、どんな時でも効果があることが学術的に証明されている「方法論」や「理論」とは一線を画します。

次にプラクティスによく似たものとして「パターン」というものがあります。もともと建築学の分野から流れてきた概念ですが、後にそれがシステムの設計パターンに応用されました。パターンは様々な場面で自然と現れてくる型に近いものだと思いますが、プラクティスよりも一段抽象度が高いように感じます。

少し脱線しますが「フレームワーク」はこれらをパッケージ化した複合物であって、その要素を分解すると4つのうちのどれかに当てはまるのではないかと考えています。ちなみにスクラムは心理学や組織論の理論に裏付けられているので、プラクティスというよりむしろ方法論に近いそうです。

プラクティスから方法論へ

この4つの遷移を考えてみます。最初は「プラクティス」から始まり、それを集め、具体性をそぎ落とし、普遍的なエッセンスだけを抽出すると「パターン」になる。「パターン」が研究され、学術的に証明されると「理論」として基本原理が確立する。「理論」に基づきそれを実用可能なやり方に応用すると「方法論」になる。こうして「プラクティス」から「方法論」までたどり着くのではないでしょうか。ただ、そうしてたどり着いた「方法論」の手法が昔ながらの「プラクティス」とほぼ変わらないものだった、というオチはありそうな話ではありますが。

プラクティスを学ぶ理由

そうなると、まだパターンにすら昇華していないプラクティスを学ぶ意味ってどれぐらいあるんだろう、という疑問も湧いてきます。しかし確実性だけを追い求めるならばそもそもアジャイルなんてやってないと思いますし、次々と目の前に現れる不確かな状況に立ち向かうためにはプラクティスという武器が必要だった、というのは必然な気がします。少なくとも誰かの現場では効果があったやり方であり、自分の現場で効果があるとは限らないにせよ、その上に積み上げる方が上手くいく確率は高そうです。

プラクティスの注意点

ではどうしたら自分の現場でも効果的に使えるのか、というポイントを自分なりにまとめてみました。

  • チーム全員が目的を理解し、合意する
  • チームにあったやり方をする
  • プラクティスに頼りすぎない

まず目的に合っていること、チームに合っていること、この2つのマッチングが必要だと思います。またそもそもプラクティスを持ち出すまでもなく、対話によって解決できる問題も多いはずです。アジャイル宣言でも「プロセスやツールよりも個人と対話を」と釘を刺していますし、「Don't Do Agile! Be agile!」という格言もあります。プラクティスをすることがアジャイルではないので、手段が目的化しないように注意が必要です。

何でもかんでも、とにかくプラクティスを試したくて仕方がないという状態を「ワークショップ症候群」と呼ぶそうですが、僕自身にもそんな時期がありました。でも今ふりかえるとそれも必要な経験だったと思います。そうしてあれこれプラクティスを試したからこそ、上記の意味を咀嚼することができたのですから。

まとめ

ごちゃごちゃと書きすぎてしまった気もしますが、まずは「やってみよう」という気持ちが大切ではないかと思います。practiceという英単語には「練習」という意味もありますし。無味乾燥な課題解決策も「プラクティス」という言葉で包んであげると、なんかちょっと楽しそうなイベントに見えてきませんか?


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