プラクティス名(別名)
Tシャツ見積り (T-shirt sizing、アフィニティ見積り、サイレントグルーピング、相対見積り)
プラクティスの目的・狙い
- 迅速にタスクの作業量/総量を見積もる
- どの要件が重め/軽めなのか所感を共有する
どんな時に使うか
- 短時間で概算見積りを行う必要がある時
- 初期段階で要件が未確定(または変わる可能性が高い)のため、精緻に見積もれない時
- 他の見積り手法を使うといつも議論が長引いて、時間がかかってしまう時
実施手順
- ユーザストーリーが書かれたカードとボード(XS/S/M/L/XL)を用意する
- 見積り基準とするユーザストーリーを1つ選び、Mサイズに置く(=リファレンスストーリー)
- 全員で手分けして残りのカードを基準と比較しながら、各エリアに移動させる
※この作業は黙って行い、深く悩まずに直感で見積る - 全てのカードが配置されたら、バランスを見て、違和感がある箇所はカードを移動する
※この作業も黙って行い、1人1枚ずつ順番に行う - 誰もカードを移動する人がいなくなったら見積りは終了
サイズ | リファレンスと比較して |
---|---|
XS | すごく小さい |
S | 小さい |
M | だいたい同じ |
L | 大きい |
XL | すごく大きい |
リファレンスストーリーは中規模のサイズで、作業内容が明確にイメージできるものを選ぶとよい
サイズ調整の段階で、何度も同じエリアを往復するカード(互いに譲らない)が発生した場合は一旦、中間に配置しておき、後で話し合いで解決するようにします
アレンジ例
- より迅速に見積るため「XS」「XL」を無くし「S/M/L」の3段階にする
- より詳細に見積るため「XXS」と「XXL」を足し、7段階とする
(なお人間特性上それ以上は細かくしない方がよい) - サイズを一定のルール(変換表)でストーリーポイントに変換する
例:XS=1sp、S=3sp、M=5sp、L=8sp、XL=13sp
アンチパターン
- カードを移動する段階で相談や議論をはじめてしまい、結局、短時間で終わらない
参考情報
sekinetさんの記事ではより詳しく解説されています。Tシャツ見積りのメリデメや数値見積りとの比較など、より詳しく知りたい方にオススメです。
こちらの動画も絵と動きで直感的に理解できるので、分かりやすいです
こぼれ話(私的コメント)
同じMサイズ表記のTシャツでも、日本製と海外製では結構大きさが違ったりしますよね。まぁそれでもTシャツだとなんとか着れてしまうという、そこらへんのユルさというか気楽さがこの見積り手法のイメージとぴったり一致していて好きです。あくまでもTシャツ見積りであって、Yシャツ見積りではない、という。
なお一般的には基本の3サイズ「S/M/L」に「XL」(エピック?)を足した4段階が多いようですが、個人的には「XS」があった方がMサイズを中心に全体のバランスを見やすいと思うので、本稿では5段階を採用しました。開発の初期段階ではXSと言い切れるほど明確な要件は少ないかもしれませんが。