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【プラクティス紹介】1分でさらっと分かる「ワーキングアグリーメント」

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プラクティス名(別名)

ワーキングアグリーメント (W.A、Work Agreement、Team Agreement)

プラクティスの目的・狙い

  • メンバー間の無用な摩擦(ストレス)を軽減し、全員が気持ちよく働ける環境を整える
  • チームメンバーとして期待される行動、望ましい振る舞いの判断基準を揃える
  • 意見の相違を円滑に処理するプロセスを定める

どんな時に使うか

  • 新規チームにおいて、まだメンバーの認識や行動がバラバラで、心理的安全性が低い時
  • 既存チームにおいて、メンバー間のコラボレーションを促進し、生産性をより高めたい時

実施手順

  1. ファシリテータがW.Aの目的を説明し、全員合意の上でルール化する、という原則を伝える
  2. 具体的な行動例を考える前に観点を挙げてもらう(=どのへんをルール化したいか?)
  3. 観点毎に具体的な行動例を挙げてもらう(付箋などに書き出す)
  4. 重複する意見は集約/選定し、相反する意見はどちらかに決める
  5. 最終的にW.Aとしてルール化するものを全員で選ぶ(目安として10個以下)
  6. 合意できないルールがないことを最終確認し、目につくところに掲示する
  7. 定期的に見直す(十分、浸透したものは外す)

観点はメンバーや熟練度によって変わってきます。全てを事細やかにルール化するのではなく、問題になりそうなポイントに焦点を絞りましょう。

ルールは「~を気をつける」といった記述だとスローガンになってしまい、守れているかどうかが判断できません。「ダブルチェックする」のように具体的な行動例として記載しましょう。

以下はW.Aの例です(観点:行動例)

  • チームポリシー:全員が笑顔でいられるチームにする
  • マインド:アウトプットよりアウトカム
  • コミュニケーション:リアクションとフィードバックを返す
  • 会議:アジェンダを作成し、事前共有する
  • オンライン会議:zoomは原則カメラON
  • 出社方針:毎週水曜日はチーム出社日とする
  • 生活習慣:1時間毎に休憩をとろう
  • 勤務時間:10-16時をチームのコアタイムとする
  • 残業方針:原則「しない」を前提に、2h以上残る時は周囲に言う
  • 勤怠連絡:予定休は(できれば)1週間前には周知する
  • 意見の衝突:1時間議論しても結論が出ない時は日を改める
  • 問題解決:30分考えても解決しない問題は有識者に聞く
  • スクラムイベント:朝会は元気な挨拶から始める
  • 計画と見積:作業時間のキャパは8割で計算する
  • コーディング:プルリクは4時間以内に返信する
  • コミット:1日の終わりにプッシュする
  • ペアプロ:ドライバーは30分毎に交代する
  • モブワーク:最初に今日のゴールと時間制限を決める
  • テスト方針:結合テストはコード書いた人とは別の人が行う
  • ドキュメント:作成要否はチームの多数決で決める
  • 更新頻度:チーム定例前に各自タスクボードを最新化しておく
  • 情報共有:議論は人数を絞ってよいが、結論はチーム全員に伝達する
  • ルール見直し:レトロスペクティブの最後にW.Aを再確認する
  • 方針決定:欠席者2名以下の場合は一旦、チーム合意とみなす
  • ペナルティ:ルール違反者は後日おやつ神社にお布施する

アレンジ例

  • 逆に最初に行動例を挙げてもらい、それらをグルーピングすることで観点を導く
  • スクラムイベントなど具体的なシーンごとに行動例を考えてみる
  • チーム憲章、インセプションデッキ、アジャイル宣言といった方針書をインプットにする

アンチパターン

  • リーダーやマネージャが一方的に決めてチームに押し付ける
  • 最初に決めたままで、メンテされずに時間の経過とともに形骸化する
  • 累積したルールが多くなりすぎて、覚えていられなくなる

参考情報

定番、AgileStudioさんのサイト

初心者に優しいとも坊さんの「Hello Scrum」サイトにも例が豊富に載っています

ワーキングアグリーメント用のキャンバスもあるようですが、個人的にはもっとシンプルな方が好みです

こぼれ話(私的コメント)

Aさんは予定休の周知をいつも直前に行っていました。何日も前に言われても覚えていられないだろうという配慮からです。一方、Bさんは常々もっと前もって言ってほしいとストレスを感じていました。こうしたちょっとした期待のズレが積み重なると、チームの和が壊れてしまうことにもなりかねません。このケースではどちらの考え方が正解ということではなく、単純に決め事が1つあれば解決する問題です。
どういった行動を「正解」と考えるかは人それぞれで、年齢/性格/所属/立場/経験などによっても変わってきます。メンバーが多様化している現代だからこそ、W.Aのようなワークスタイルを揃えるプラクティスの重要性も増してきているように感じます。

余談ですが、Working Agreementを直訳すると「労働協約」となってしまい大分意味が変わってしまうので要注意です。最初、僕もWorking Agreementと聞いた時は労使協定の類かと思ってしまいました。


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