プラクティス名(別名)
Fun Done Learn (FDL、ファンダンラーン)
プラクティスの目的・狙い
- チームの活動や目標、そこから得られた学びをふりかえる
- 「楽しさ」に注目することでチームからポジティブな意識を引き出す
どんな時に使うか
- レトロスペクティブがいつも暗い雰囲気(反省会)になってしまう時
- やったこと(事実)に終始してしまい、それに対するメンバーの感情が見えない時
実施手順
- ボード上にFun/Done/Learnの3つの円を重なりあうように描く
- 各自、出来事や感想等を付箋に書き出し、各エリアに貼っていく
- 全員でボードを眺めながら、話し合い、気づきを共有する
エリア | 意味 |
---|---|
Fun | 楽しかったこと、面白かったこと、興味深かったこと |
Done(Deliver) | 達成できたこと、意識的に行ったこと |
Learn | 学んだこと、気づいたこと、印象に残ったこと |
欄外 | 上記以外のこと(円の外側もエリアの1つです) |
話し合いの観点(例):
- どんな傾向があるか? それは何を意味しているか?
- どうしたらFunをもっと増やせるか?
- 価値の高いDoneがはどれだったか?
- 何をしたらLearnにつながるか?
アレンジ例
- 付箋を書いた人が内容を説明し、別の人が付箋を適切なエリアに分類する
- 貼られた付箋の中で共感できるものにドット投票する
アンチパターン
- Fun/Done/Learnの意味を厳密に定義しすぎる(=自由度が狭まり、発想を妨げる)
- 欄外の付箋を無駄な作業だったと決めつける
参考情報
本手法の考案者、安井力さんの記事。原典はこちら。
「ふりかえり」と言えばこの方、森一樹さんによる実践レポート
参考書籍(FDLについて4ページほど解説が載っています)
こぼれ話(私的コメント)
FDLは2018年のScrum Coaches Retreat in Okinawaというイベントの中でTeam Almost Doneの皆様と開発した手法とのことで、日本発祥のプラクティスです。これまでもKPTやYWTなどいくつかの観点を軸にふりかえりを行う手法はたくさんありましたが、「FUN」という感情面に着目している点が本手法の特色です。やってみると自然とチームの意識が「もっと楽しくやるには?」「学びにつなげるには?」とポジティブな方向に向かいます。良い意味でチーム全体の雰囲気をふわっと掴めるのですが、反面、特定の問題点を掘り下げたり、具体的な改善アクションにつなげるには向かないので、そこは別の手法を組み合わせる必要があります。レトロがいつもお通夜になってしまう時はFDLを試してみると良いかもしれません。