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AI エージェントの品質を決めるのはプロンプトではなく“振る舞い定義ファイル”だった

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Last updated at Posted at 2026-02-24

はじめに

Cursor、GitHub Copilot、kiro-cli など、生成AIを活用した CLI ツールが増える中で
「振る舞い定義ファイル(rules.md)」という概念が急速に広がっています。

主要AIツールの振る舞い定義ファイル一覧

ツール名 種類 振る舞い定義ファイル パス 公式情報ソース
Kiro CLI CLI rules.md(慣例) .kiro/steering/ 配下 https://github.com/kirodotdev/Kiro
Cursor IDE .mdc(Project Rules) .cursor/rules/ https://docs.cursor.com/context/rules
Claude Code AIコーディング CLAUDE.md プロジェクト直下(多くは root) https://docs.anthropic.com/claude/docs/claude-code
GitHub Copilot IDE copilot-instructions.md .github/copilot-instructions.md https://docs.github.com/en/copilot/customizing-copilot/adding-custom-instructions-for-github-copilot

ただし、最初に明記しますが

このファイルには業界で統一された正式名称は存在しません。

英語圏でも Rules FileInstructions FileBehavior Definition File など
複数の呼び方が混在しており、標準化されていないのが現状です。

本記事では便宜上、
「振る舞い定義ファイル」
と呼びます。

振る舞い定義ファイルとは?

振る舞い定義ファイルは、生成AI CLI や AI エージェントに対して

  • どう振る舞うべきか
  • 何をしてよいか/してはいけないか
  • どんな口調で話すか
  • どんな形式で返すか
  • 例外時にどう対応するか

といった 行動仕様 を記述するファイルです。

rules.md(サンプル)

このファイルは kiro-cli における 振る舞い定義ファイル の例です。
AI がどのように振る舞うかを Markdown で定義します。

## 役割
- あなたは本プロジェクト専用の AI CLI アシスタントです
- 正確で再現可能な支援を提供してください

## 基本方針
- 出力は簡潔かつ実用的にする
- 実行可能なコマンドや具体例を優先する
- 不確実な内容は断定しない

## 出力ルール
- コマンドは必ずコードブロックで出力する
- 手順が複数ある場合は番号付きリストを使う
- エラー時は「原因」「対処方法」を分けて記載する

## 禁止事項
- 破壊的なコマンド(例:`rm -rf /`)を提案しない
- 権限昇格が必要な操作は必ず注意喚起する

## 例外対応
- 情報が不足している場合は質問する
- 判断できない場合は「不明」と明示する

※ 本サンプルは kiro-cli における rules.md の一例です。
実際の解釈や挙動はツールやバージョンによって異なる可能性があります。

振る舞い定義ファイルを導入するメリット

1. 出力が安定し、AI の“揺れ”が減る

LLM は同じ入力でも出力が揺れやすいですが、
振る舞い定義ファイルでルールを固定すると 再現性が大幅に向上 します。

  • 出力フォーマットが毎回同じ
  • 不要な雑談が減る
  • 危険なコマンドを生成しなくなる
  • 例外時の対応が統一される

CLI の品質が一気に上がるポイントです。

2. チーム開発で「AI の仕様」を共有できる

AI の振る舞いは個人のプロンプトスキルの差で大きく変わるので、属人化しやすいのが大きな問題です。

振る舞い定義ファイルを導入すると

  • 仕様を Markdown で共有できる
  • Pull Request でレビューできる
  • 変更履歴を Git で追える
  • 新メンバーがすぐ理解できる

といったメリットがあり、プロンプトスキルに依存しないAIの振る舞いを実現できます。

3. プロジェクト固有の観点をレビューに反映できる

rules.md があると、「このコードに対してこの観点でレビューを行う」 という基準が明確になります。
したがって、AI を使ったレビューでも プロジェクト固有の観点を反映したレビューが可能 になります。

  • CLI の E2E テスト
  • 出力フォーマットの検証
  • 危険コマンドの拒否テスト
  • 例外時のレスポンス確認

これにより、目的に沿った一貫性のあるレビューが実現できます。

4. LLM のバージョンアップに強くなる

GPT-4 → GPT-5 のようにモデルを変更すると、
AI の振る舞いが変わってしまう問題がよく起きます。

しかし振る舞い定義ファイルがあれば、

  • どの振る舞いが仕様で
  • どの振る舞いがモデル依存か

が明確になるため、移行コストが大幅に下がります。

5. プロンプトをコードから切り離せる(疎結合化)

プロンプトをコードにベタ書きすると、

  • 修正が難しい
  • 再利用しにくい
  • バージョン管理しづらい

といった問題が発生します。

振る舞い定義ファイルに切り出すことで、

  • 設計者は Markdown で編集
  • 開発者はコードに集中
  • CLI 起動時に読み込むだけ

という 役割分担が可能 になります。

6. AI エージェントの“人格”を自由に設計できる

振る舞い定義ファイルは制約だけでなく、
AI のキャラクターや専門性を設計するためのファイル でもあります。

  • 口調(丁寧・フラット・技術寄り)
  • 専門領域(DevOps、セキュリティ、データ分析など)
  • 禁止事項(危険コマンド、推測回答)
  • 出力形式(JSON、YAML、CLI フォーマット)

これらを明確に書くことで、
プロダクトの世界観に合った AI を作れる ようになります。

まとめ

振る舞い定義ファイル(rules.md)は、生成AI CLI において

  • 出力の安定化
  • チーム開発の効率化
  • テスト容易性の向上
  • モデル変更への強さ
  • プロンプトの疎結合化
  • AI の人格設計

といった多くのメリットをもたらします。

AI エージェントを“プロダクト”として扱うなら、
振る舞い定義ファイルは必須のコンポーネント と言えます。

導入も比較的簡単に行えるのでぜひ試してみてください。

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