「Intel → ARM」のクロスアセンブラ(Intel記法のアセンブリを ARM 用に変換する、という意味なのか)、「Intel CPU 上で動作する ARM 用アセンブラ(クロス開発環境)」なのかで意味が少し変わります。
- Intel CPU(x86/x64)上で ARM 用のコードをアセンブルする環境
これは一般的に「クロスアセンブラ」「クロスコンパイラ」と呼ばれ、以下が代表的です。
GNU binutils (as, ld など)
arm-none-eabi-as
arm-linux-gnueabihf-as
などのツールチェーンで、Intel CPU(Linux, macOS, Windows)上で ARM 用のオブジェクトを生成できます。
LLVM/Clang
Clang/LLVM も ARM ターゲットを指定してアセンブル・コンパイル可能です。
例: clang --target=arm-none-eabi -c source.s
ARM 社純正ツール (Arm Compiler, Keil, Arm DS など)
Windows/Linux 上で動き、ARM 用のアセンブリを処理できます。
つまり、Intel CPU の PC 上で ARM 用のコードを書くなら、一般的には ARM クロスコンパイラ/クロスアセンブラを導入すれば OK です。 - Intel 構文(x86 アセンブリ記法)を ARM に変換するもの
こちらは特殊で、直接的な「Intel → ARM アセンブラ変換ツール」は基本的に存在しません。
必要なら「x86 アセンブリ → 中間表現(C, LLVM IR など)→ ARM」みたいに トランスレータ/リコンパイラを経由します。
QEMU (動的バイナリトランスレータ)
LLVM + MC layer
特殊な逆アセンブラ+コンバータ
などを使う形です。
🔹質問を整理したいのですが、
「Intel CPU (PC) 上で ARM アセンブリを書きたい」
「x86 (Intel) のアセンブリを ARM に変換したい」
どちらの意味で「Intel arm cross assembler」をお探しでしょうか?
あなた:
「x86 (Intel) のアセンブリを ARM に変換したい」
ChatGPT:
なるほど!
「x86 (Intel アセンブリ) を ARM アセンブリに変換する」=いわゆる アセンブラのクロス変換 を探しておられるのですね 👍
実はこれはとても難しい領域で、シンプルな「クロスアセンブラ」ツールは存在しません。
理由は、x86 と ARM の命令セットの構造が大きく異なるためです。
なぜ難しいか
命令体系の違い
x86: CISC、可変長命令、レジスタが少ない、フラグレジスタ依存
ARM: RISC、固定長命令(Thumb なら16/32bit混在)、汎用レジスタ多数
条件分岐やスタックの使い方の違い
システムコールやABIの違い
なので「機械的な変換」はできず、間に「コンパイラ相当の変換レイヤ」が必要です。
現実的に使えるアプローチ
- リコンパイル / バイナリ翻訳
QEMU
x86 バイナリを動的に ARM 命令に変換して実行する。
ソースの ARM アセンブリを出すわけではないけど「実行可能」という意味では最も現実的。
rev.ng
LLVM IR を使って「バイナリ → 中間表現 → 他アーキテクチャへ再コンパイル」できるツール。
x86 → ARM 変換に近いことが可能。
MC-Semantics + LLVM
研究レベルだが、x86 → LLVM IR → ARM 変換。 - C を経由する方法
x86 アセンブリを逆アセンブルして C 言語 に変換(retdec などデコンパイラを利用)
それを ARM 用クロスコンパイラで再コンパイル
arm-none-eabi-gcc
clang --target=arm-none-eabi
これは ソースコードを ARM 用に移植するのに一番実用的な方法です。 - 限定的な命令セット変換スクリプト
もし変換したいのが「小さな関数単位」や「一部の命令パターン」なら、
Python などで以下のような簡単な変換マクロを書くことは可能です。
例:
; x86
mov eax, [ebp+8]
add eax, 4
を ARM 風に置き換えるスクリプトを作ると:
; ARM
ldr r0, [fp, #8]
add r0, r0, #4
こういう「1:1命令マッピング」を少しずつ作る方法です。
ただしこれは「限定用途(教育・実験用)」でしか現実的ではありません。
結論
既製の「x86 asm → ARM asm 変換器」は存在しない
実用的には:
QEMU / rev.ng のようなバイナリトランスレータを使う
デコンパイル → C 言語 → ARM 再コンパイル
小規模なら自作スクリプトで命令変換
👉 ご質問ですが、
この変換を「教育・実験目的(例:x86 の関数を ARM に書き換えて学ぶ)」で探されてますか?
それとも「既存の大規模な x86 アセンブリ資産を ARM に移植したい」のでしょうか?
あなた:
教育・実験目的(例:x86 の関数を ARM に書き換えて学ぶからお願いします。
ChatGPT:
なるほど!教育・実験目的なら「典型的な x86 アセンブリを ARM アセンブリに書き換えてみる」練習が一番良いですね 👍
ここでは よくある関数例 を x86 と ARM の両方で示してみます。
例1: 整数の加算関数
C ソース:
int add(int a, int b) {
return a + b;
}
x86 (32bit, cdecl 呼び出し規約)
; int add(int a, int b)
; 引数 a = [esp+4], b = [esp+8]
; 戻り値 = eax
add:
push ebp
mov ebp, esp
mov eax, [ebp+8] ; a を eax にロード
add eax, [ebp+12] ; eax += b
pop ebp
ret
ARM (32bit, AAPCS 呼び出し規約)
; int add(int a, int b)
; 引数 a = r0, b = r1
; 戻り値 = r0
add:
add r0, r0, r1 ; r0 = r0 + r1
bx lr ; return
👉 違いのポイント
x86: 引数はスタックから取り出す
ARM: 引数はレジスタ r0, r1, r2, r3 に渡される
戻り値はどちらも「eax (x86)」「r0 (ARM)」に格納
例2: 配列の合計
C ソース:
int sum(int *arr, int n) {
int s = 0;
for (int i = 0; i < n; i++) {
s += arr[i];
}
return s;
}
x86 (32bit)
; int sum(int *arr, int n)
; arr = [ebp+8], n = [ebp+12]
sum:
push ebp
mov ebp, esp
mov eax, 0 ; s = 0
mov ecx, 0 ; i = 0
.loop:
cmp ecx, [ebp+12] ; i < n ?
jge .done
mov edx, [ebp+8] ; arr
add eax, [edx+ecx*4]
inc ecx
jmp .loop
.done:
pop ebp
ret
ARM (32bit)
; int sum(int *arr, int n)
; arr = r0, n = r1
; 戻り値 = r0
sum:
mov r2, #0 ; s = 0
mov r3, #0 ; i = 0
loop:
cmp r3, r1 ; i < n ?
bge done
ldr r4, [r0, r3, LSL #2] ; arr[i]
add r2, r2, r4
add r3, r3, #1
b loop
done:
mov r0, r2 ; return s
bx lr
👉 違いのポイント
x86: 配列要素アクセスに [base + index*4] を使う
ARM: ldr rX, [r0, r3, LSL #2] で同じように「index×4」を扱える
ARM はレジスタが多いので s, i もレジスタに保持できる
教育実験用ワーク
x86 のアセンブリ例を見て「どの値がどこに置かれているか」を確認
ARM の規約(r0~r3 に引数、戻り値は r0)に従って書き換える
同じ C の関数を gcc -S(x86)と arm-none-eabi-gcc -S(ARM)で吐かせて比較してみる
👉 ご希望なら、次のステップとして 「x86→ARM命令マッピング表(教育用の対応表)」 を作って、代表的な命令を 1:1 で変換する練習用資料を作れます。
それをお作りしましょうか?
あなた:
はい。お願いします。
ChatGPT:
了解しました 👍
教育・実験で役立つように、x86 → ARM の代表的な命令マッピング表を作りました。
完全な変換は難しいですが、「よく使う命令を ARM でどう書くか」を対比して学べる形です。
📘 x86 → ARM 命令マッピング表(教育用)
概念 / 処理 x86 (32bit, Intel記法) ARM (ARMv7, A32/Thumb2) 備考
データ移動 mov eax, [ebp+8] ldr r0, [fp, #8] メモリからレジスタへ
mov [ebp-4], eax str r0, [fp, #-4] レジスタからメモリへ
mov eax, 1 mov r0, #1 即値ロード
算術演算 add eax, ebx add r0, r0, r1 加算
sub eax, 4 sub r0, r0, #4 減算
imul eax, ebx mul r0, r0, r1 整数乗算
idiv ebx sdiv r0, r0, r1 ARMv7以降のみ (符号付き除算)
論理演算 and eax, ebx and r0, r0, r1 論理積
or eax, ebx orr r0, r0, r1 論理和
xor eax, ebx eor r0, r0, r1 排他的論理和
not eax mvn r0, r0 ビット反転
シフト/回転 shl eax, 1 lsl r0, r0, #1 左シフト
shr eax, 1 lsr r0, r0, #1 論理右シフト
sar eax, 1 asr r0, r0, #1 算術右シフト
比較と分岐 cmp eax, ebx cmp r0, r1 比較 (フラグ更新)
je label beq label 等しい場合ジャンプ
jne label bne label 等しくない場合ジャンプ
jg label bgt label 大きい場合ジャンプ
jl label blt label 小さい場合ジャンプ
jge label bge label 以上の場合ジャンプ
jle label ble label 以下の場合ジャンプ
関数呼び出し call func bl func サブルーチン呼び出し
関数戻り ret bx lr リンクレジスタに戻る
スタック操作 push eax push {r0} ARMv7 の pseudo命令
pop eax pop {r0} ARMv7 の pseudo命令
📗 変換の注意点
引数の扱い
x86 (cdecl): 引数はスタックから [ebp+8] などで取り出す
ARM (AAPCS): 引数は r0, r1, r2, r3 に格納、それ以上はスタック
戻り値
x86: eax
ARM: r0
スタックフレーム
x86: push ebp / mov ebp, esp が定番
ARM: push {fp, lr} / add fp, sp, #4 などを使う
📕 練習課題
次の x86 アセンブリを ARM に変換してみてください。
; int mul_add(int a, int b, int c) { return a*b + c; }
mul_add:
push ebp
mov ebp, esp
mov eax, [ebp+8] ; a
imul eax, [ebp+12] ; a*b
add eax, [ebp+16] ; + c
pop ebp
ret
👉 ヒント: ARM では a=r0, b=r1, c=r2 で渡され、戻り値は r0。
この「マッピング表 + 練習問題」をベースにすると、x86 のコードを ARM に手で移植する良い訓練になるはずです 💡
ご希望なら、次回「上の mul_add 関数の ARM 解答例」をお見せしましょうか?
あなた:
既存の大規模な x86 アセンブリ資産を ARM に移植したいをお願いします。
ChatGPT:
なるほど、今度は 「既存の大規模な x86 アセンブリ資産を ARM に移植したい」 というケースですね。
これは「教育・実験」よりも 実務的にどう進めるか が重要になります。
ポイントは「単純変換はできない」ため、段階的に移植 する戦略をとることです。
🔧 大規模 x86 アセンブリ → ARM 移植の現実的アプローチ
① ソースコードの性質を見極める
純粋にアルゴリズム実装 (数値計算, DSP, 画像処理など)
→ 移植は比較的容易。命令を ARM に書き換え可能。
OS/ハード依存 (割り込み, I/O, BIOS, x86 専用命令など)
→ ARM では代替 API やシステムコールを使わざるを得ない。
高度に最適化されたアセンブリ (SIMD, SSE, AVX)
→ ARM NEON, SVE で書き直す必要がある。
② 移植戦略のレベル分け
デコンパイル + C 言語化 → 再コンパイル
retdec, ghidra, IDA Pro などで x86 アセンブリを C に逆変換
その後 arm-none-eabi-gcc や clang --target=arm で ARM バイナリ生成
保守性を高めつつ ARM 向け最適化もできる
🎯 最も推奨される現実的手法
関数単位で書き直し (アセンブリ対応表方式)
よく使う関数ごとに「x86 アセンブリ → ARM アセンブリ」へ移植
数学ライブラリや暗号処理など限定領域に有効
工数はかかるが動作保証がしやすい
バイナリ変換 (トランスレータ)
QEMU, rev.ng, McSema(→LLVM IR) を利用し「x86 → LLVM IR → ARM」に変換
機能は動くが「出力アセンブリが読みづらい」「最適化しにくい」という欠点あり
③ 実務での進め方(ロードマップ)
アセンブリ資産の棚卸し
全関数をリスト化(処理内容・依存命令・OS API 呼び出しを整理)
変換可能範囲を仕分け
純演算関数 → 手作業 or 自動変換
OS依存部 → ARM OS API に書き換え
SIMD最適化部 → ARM NEON / SVE で最適化し直し
自動化ツールの導入
Ghidra/IDA Pro で C ソース化
Clang/LLVM IR を経由して ARM バイナリ生成
クロスビルド環境整備
arm-none-eabi-gcc, clang --target=armv7, aarch64-linux-gnu-gcc などを用意
動作検証
単体テストを揃えて「変換前後の動作を比較」
QEMU や ARM エミュレータで実行検証
④ 例:x86 SIMD を ARM NEON に移植
; x86 SSE2
movdqu xmm0, [eax] ; load 128-bit vector
paddd xmm0, [ebx] ; packed int32 add
movdqu [ecx], xmm0
ARM NEON 相当コード:
; ARM NEON
vld1.32 {q0}, [r0] ; load 128-bit vector
vld1.32 {q1}, [r1]
vadd.i32 q0, q0, q1 ; vector add
vst1.32 {q0}, [r2]
👉 SIMD 命令は 1:1 対応するケースもあるので、変換表を作ると効率的です。
⑤ ツール例
逆アセンブル / デコンパイル
Ghidra(オープンソース, Java製)
IDA Pro(商用)
RetDec
クロスコンパイル
arm-none-eabi-gcc (Bare-metal ARM)
aarch64-linux-gnu-gcc (Linux/Android 向け)
clang --target=aarch64-linux-gnu
✅ まとめ
大規模移植は「アセンブリ→C化→ARMクロスコンパイル」が現実的
特定関数だけは「手作業で ARM アセンブリ書き換え」
SIMD/SSE/AVX 資産は NEON/SVE に再設計が必要
移植は「ツール + 自動化 + テスト」が必須
👉 ご質問ですが、
その「大規模な x86 アセンブリ資産」は 数値演算系(DSP/画像処理など) でしょうか?
それとも OS依存コード(デバイスドライバ、割り込み処理など) でしょうか?
方向性に合わせて「具体的な移植のステップ」をさらに掘り下げられます。
あなた:
OS依存コード(デバイスドライバ、割り込み処理など)です。
ChatGPT:
なるほど!
「OS依存コード(デバイスドライバ、割り込み処理など)の x86 アセンブリ資産を ARM に移植する」 ということですね。
これは一番「そのままでは動かない」領域で、CPU命令変換だけでなく、OS のカーネル API やハードウェア抽象化レイヤ (HAL) に合わせて再設計する必要があります。
以下、実務的な移植プロセスをご提案します。
🔧 x86 OS依存アセンブリ → ARM 移植ステップ
① 依存関係を洗い出す
CPU依存部
割り込み制御(CLI/STI, IDT, INT命令 など)
I/Oポート操作(in, out 命令)
MSR(Model Specific Register)操作
OS API依存部
Linuxなら request_irq, spin_lock, copy_to_user 等
Windowsなら KeInitializeInterrupt, IoConnectInterrupt 等
デバイス依存部
I/Oレジスタアクセス、DMA制御、メモリマップ方式
👉 まず「x86専用命令か?OS APIか?ハード直アクセスか?」を分類します。
② ARM での対応方法
- 割り込み制御
x86:
cli ; 割り込み禁止
sti ; 割り込み許可
int 0x80 ; ソフト割り込み
ARM:
cpsid i ; 割り込み禁止 (IRQ)
cpsie i ; 割り込み許可
svc #0 ; ソフト割り込み (旧 SWI)
🔹 ARM では ベクタテーブル + GIC (Generic Interrupt Controller) を使うため、
「IDT登録コード」は「GIC 初期化コード」に書き換える必要があります。 - I/O ポートアクセス
x86:
in al, dx
out dx, al
ARM:
ARM には I/Oポート命令が存在せず、すべて メモリマップド I/O。
ldr r0, [r1] ; (volatile uint32_t)r1 読み出し
str r0, [r1] ; (volatile uint32_t)r1 書き込み
👉 I/O ポート番号 (x86) を「ARM の物理アドレス」にマッピングする必要があります。
これは デバイスツリー (Linux) や MMU ページテーブル で設定されます。 - 割り込みハンドラ登録
x86 Linux:
request_irq(irq, handler, IRQF_SHARED, "dev", dev_id);
ARM Linux:
ほぼ同じ request_irq() が使えるが、IRQ番号の割り当てが SoC/GIC 依存になる。
👉 カーネルAPIのインタフェースは共通でも、IRQ番号やハードの仕組みは違うので再設計が必要。 - メモリ操作 / キャッシュ制御
x86: invd, wbinvd, clflush
ARM: dsb, isb, dmb, cache invalidate/clean by MVA
👉 DMA ドライバ移植時は キャッシュ制御命令を ARM 流に書き換える必要があります。
③ 実務での移植の流れ
既存 x86 アセンブリ資産をデコンパイルして構造をC化
Ghidra などで制御構造を解析
CPU依存部を HAL (ハード抽象化レイヤ) に切り出し
arch/x86/ 部分を arch/arm/ 向けに再実装
割り込み, I/O, キャッシュ制御を ARM API にマッピング
Linuxなら arch/arm/include/asm/ を参考に
RTOSなら OSEK/ITRON の API に置き換え
QEMU/ARM エミュレータ上で検証
ARM SoC を仮想化してテスト可能
実機依存度を下げられる
④ 例: 割り込みハンドラの移植
x86 Linux ドライバ
irqreturn_t mydev_isr(int irq, void *dev_id) {
unsigned char status = inb(MYDEV_STATUS_PORT);
if (status & READY) {
// データ処理
}
return IRQ_HANDLED;
}
ARM Linux ドライバ
irqreturn_t mydev_isr(int irq, void *dev_id) {
void __iomem *base = dev_id; // MMIO base
u32 status = readl(base + STATUS_REG);
if (status & READY) {
// データ処理
}
return IRQ_HANDLED;
}
👉 違いは in/out 命令 → readl/writel (MMIOアクセス) に変わる点。
⑤ 推奨移植戦略
大量のx86アセンブリを直接移植するのではなく
アセンブリ → C に戻す
CPU依存コードだけ ARM 用 HAL に書き直す
割り込み・I/O・DMA は ARM 流に全面的に作り直す必要あり
✅ まとめ
x86 アセンブリの「OS依存コード」は ARM では そのまま変換不可
割り込み: cli/sti/int → cpsid/cpsie/svc
I/O: in/out → ldr/str (MMIOアクセス)
キャッシュ制御: invd/clflush → dsb/dmb/cache ops
実務的には アセンブリをC化して ARM HAL に合わせて再設計するのが王道
👉 ご質問ですが、移植対象の OS は Linux (例: デバイスドライバ) ですか?
それとも RTOS (OSEK/ITRON/TOPPERS など) ですか?
これで「HALの作り方」の具体性が変わってきます。
あなた:
MS-DOSからMacOSとLinuxです。
ChatGPT:
思考時間: 16s
了解です。
「MS-DOS の x86 アセンブリ資産を、ARM 上の macOS / Linux へ移植」の現実解を、設計方針→置き換えマップ→コード例→ビルド→落とし穴の順でまとめます。
(ポイント:DOS の“OS&ハード直叩き”は、Linux/macOS ではユーザ空間API or 正規ドライバAPIに置き換えます。x86 固有の I/O ポートや割り込みは ARM ではそのまま使えません。)
方針(最短で成果を出す道)
資産を機能で仕分け
A: ユーザ機能(ファイルI/O、コンソール、描画、サウンド、ネット)
B: ハード直叩き(in/out、BIOS割り込み、VGA/サウンド/DMA/PIT/PIC など)
Aは“高級APIで全面書き換え”
Linux: POSIX / SDL2 / ALSA / sockets / pthreads / epoll
macOS: POSIX / Cocoa(UIKit相当) / CoreAudio / sockets / Grand Central Dispatch
Bは “正規ドライバ層” へ
Linux: カーネルモジュール(Platform/PCI/USB/キャラクタデバイス)+ readl/writel, request_irq
macOS(Apple Silicon): DriverKit(ユーザ空間ドライバ) / System Extensions / USBはIOUSBHost*経由、PCIeは機種依存。KEXTは原則非推奨
16bit DOS アセンブリは一度 C に引き上げ
Ghidra/IDA で C へデコンパイル → 可搬化 → ARM へ再コンパイル
“性能クリティカル箇所”のみ ARM NEON/アセンブリで最適化
DOS → Linux/macOS 置き換えマップ(要点だけ覚える版)
DOSでやってたこと 典型アセンブリ/INT Linux(ARM) 置き換え macOS(ARM) 置き換え 注意
ファイルI/O int 21h POSIX open/read/write/close 同左 (POSIX) 権限/パスはOS流
コンソール文字 int 10h, 直接VRAM B800: ncurses / ANSI / TTY ncurses / Cocoa(必要時) 直接VRAM不可
グラフィクス VESA/VGA直叩き SDL2/Wayland/X11/DRM SDL2/AppKit/Metal ポータブルはSDL2が楽
サウンド SB16/OPL直叩き ALSA / PipeWire CoreAudio 直叩き不可
タイマ/PIT int 1Ah / PIT8253 clock_gettime, timerfd, hrtimer(カーネル) mach_absolute_time 等 精度はOS任せ
割り込み cli/sti, IDT, int nn request_irq(カーネル), ユーザ空間はシグナル/epoll DriverKit で登録 ARMはGIC/割り込みモデル
I/Oポート in/out dx 不可 → MMIO readl/writel 不可 → DriverKit MMIO ARMは全部メモリマップI/O
DMA 8237直制御 DMAengine/IOMMU API IOMemoryDescriptor 等 キャッシュ/バリア必須
TSR/常駐 INTフック デーモン/systemd, Launchd Launchd 標準サービス化
x86→ARM の本質的な変換ポイント
I/Oポート命令は消える:in/out → MMIO(readl/writel など)
ソフト割り込み:int xx → Linuxはシステムコール/ドライバAPI、macOSも同様
割り込み禁止/許可:cli/sti → ARMは cpsid i / cpsie i(※カーネル空間のみ)
BIOS呼び出し:すべてOS APIに置換
16bit/セグメント:フラット32/64bit へ再設計、far/near/自書き換えは排除
エンディアン/アラインメント:ARMはLEでも未アラインアクセスに制約あり。attribute((packed))等で整合
最小ドライバ差し替えコード例(Linux/ARM)
- I/Oポート直叩きの代替(MMIO)
(DOSのイメージ)
; AL = IN(0x3F8) ; COM1
mov dx, 0x3F8
in al, dx
(Linuxカーネル/ARM の等価処理)
// 例: Platform/PCIから得たMMIOベース
void __iomem *base; // ioremap済み
static inline u32 reg_read(u32 off) { return readl(base + off); }
static inline void reg_write(u32 off, u32 val) { writel(val, base + off); }
2) 割り込みハンドラ
static irqreturn_t my_isr(int irq, void *dev_id)
{
void __iomem *base = dev_id;
u32 st = readl(base + STATUS);
if (st & RX_READY) {
u32 d = readl(base + RXDATA);
// 処理…
writel(CLEAR_RX, base + STATUS);
return IRQ_HANDLED;
}
return IRQ_NONE;
}
int probe(...) {
// base = ioremap(...)
int ret = request_irq(irq, my_isr, IRQF_SHARED, "mydev", base);
return ret;
}
3) キャッシュ/メモリバリア(DMA併用時の典型)
// CPU→DEV: 送信前に書き込み完了を担保
dma_wmb(); // write memory barrier
// DEV→CPU: 受信後に最新化
dma_rmb(); // read memory barrier
// マッピング
dma_map_single(dev, buf, len, DMA_TO_DEVICE);
dma_unmap_single(dev, buf, len, DMA_TO_DEVICE);
macOS(Apple Silicon) 側の現実解
KEXTは原則非推奨。**DriverKit(ユーザ空間ドライバ)**が基本。
USB/PCIeなどはクラスごとのフレームワーク経由。自社ハードならベンダID/クラスに合う DriverKit 拡張を実装。
ユーザアプリからは IOKit/DriverKit 経由で IO 通信(IOUserClient 等)。
低レベルレジスタ直叩きは不可。権限・署名・エンタイトルメントが必須。
グラフィクス/サウンドは Metal / CoreAudio で全面書き換えが最短。
実運用では「Linux 用ドライバを先に完成 → ユーザ空間プロトコル確定 → macOS は DriverKit で同等プロトコルを実装」という二段構えが工数を抑えます。
ビルド & 実行の基本
Linux/ARM64:
aarch64-linux-gnu-gcc -D_GNU_SOURCE -O2 -Wall ...
カーネルモジュール: カーネルツリーの Kbuild / DKMS を使用
macOS/ARM64:
Xcode/clang で -target arm64-apple-macos
DriverKit は Xcode の DriverKit テンプレ+コード署名(Developer ID)必須
ポータブルUI/グラフィクス:
共通コードを SDL2/ImGui に寄せると macOS/Linux 両方が楽
既存アセンブリを活かす小技
デコンパイル→C化後、ホットパスのみ ARM NEONで再実装
#if defined(aarch64) で最適化版/汎用版を切替
アセンブリ資産の「命令単位変換」は避ける(保守不能)。機能単位で再設計
典型的な落とし穴(チェックリスト)
in/out / cli/sti / int xx をそのまま探していないか → 全面除去
セグメント/実アドレス/自書換え → フラット&再入化
未アラインの構造体アクセス → packed/copy_from_user 等で調整
DMA のキャッシュ整合 (dma_map_*, dma_*mb) を忘れていないか
ユーザ空間から物理アドレスに触ろうとしていないか(触れない)
macOS で KEXT 前提にしていないか(DriverKitへ)
タイマ割り込み依存 → 高分解能タイマ/イベント駆動へ置換
VGA/直描画依存 → SDL2/DRM/Metal へ
組込みSoC(Linux)の Device Tree を定義したか(MMIO/IRQ/DMA)
最小ロードマップ(3フェーズ)
移植設計
機能分解、DOS依存の棚卸し、Linux/macOS のAPI割付表を作成
Linux/ARM64で先行
デバイスがUSB/PCIeなら Linux でドライバ化 → ユーザ空間I/F確定
macOS/ARM64対応
DriverKit で同I/Fを実装(権限/署名を並行整備)
必要でしたら、“既存DOSアセンブリ(具体ファイル)→ 移植計画書テンプレ(CSV/Markdown)”をこちらで作成してお渡しできます。
また、対象デバイス(種類:PCI/USB/メモリマップ、必要レイテンシ等)が分かれば、Linux用の雛形ドライバ(platform_driver / pci_driver / usb_driver)を即席で用意して、そこに旧資産のロジックを移植する受け皿を作ります。
あなた:
既存DOSアセンブリはVZエディタです。https://github.com/vcraftjp/VZEditor/ このソースコードでお願いします。
ChatGPT:
思考時間: 8s
Vzeditor Migration Plan - Dos X86 -> Mac Os/linux (arm)
VZEditor 移植計画書
対象リポジトリ: vcraftjp/VZEditor (https://github.com/vcraftjp/VZEditor/) – MS‑DOS 用テキストエディタ(アセンブリ主体)
目的: 既存の MS‑DOS (x86) アセンブリ資産を活かして、ARM 環境(macOS (Apple Silicon) / Linux aarch64)で同等の動作をするソフトウェアに移植する。
- 全体方針(高レベル)
機能単位で切り出す
表示 (画面描画)、キーボード入力、ファイルI/O、マクロ処理、バッファ管理、検索/置換、印刷等に分解
DOS依存低レイヤ(HAL)を抽象化して置換
bios/int21h 系、in/out、直接VRAMアクセス、割り込み(CLI/STI)などはすべて HAL 層で定義し、下位実装を Linux/macOS 向けに置換する
まずはユーザ空間アプリ化(カーネルモードのドライバ化は原則不要)
既存の DOS 版がハード直叩き中心でも、最短で動くよう「ユーザ空間でのエミュレート/ラップ」から始める
段階的アプローチ
(A) 実行機能を再現する「互換モード(端末版)」。端末(tty) または ncurses ベース。高速で最小改変。
(B) GUI版(SDL2 / Metal/ Cocoa) — 画面レイアウトを忠実に再現したい場合
(C) パフォーマンスが必要な個所のみネイティブ最適化(ARM アセンブリ/NEON)
アセンブリは段階的に C 化
すべてを一気に変換せず、機能単位でデコンパイル→C化→テスト→最適化の順
2. VZEditor の主要サブシステムと移植方針
a) 画面表示(VGA テキストモード / 直接VRAM)
DOS 実装: 直接 VRAM (B800:0000 etc.) へ書き込み、カラ属性やカーソル制御を行う。
置換案:
端末(最短): ncurses (Linux/macOS どちらでも動く) でスクリーンバッファを同期。既存のテキスト/属性を ncurses の色/属性にマップ。
ネイティブ GUI(高忠実): SDL2 を用いて 8x16 等のフォントを描画して画面をピクセル再現。macOS では Metal/Quartz に置換可能。
ノート: 旧コードは画面幅/高さや文字属性に依存している。端末とGUIの両方をサポートする抽象 Display API を作る。
b) キーボード入力 / マクロ(INT 16h など)
DOS 実装: BIOS キー割り込み、スキャンコード処理、ALT/CTRL 状態保持、マクロ実行(TSR 機構)
置換案:
端末版: termios + noncanonical モード(read() / select())または ncurses の getch()
GUI版: SDL2 イベント(SDL_KEYDOWN / SDL_TEXTINPUT)
マクロは内部のテキストコマンド列として再実装する(Lua/JavaScript を埋める選択肢あり)
c) ファイル I/O(INT 21h)
DOS 実装: INT 21h を通したファイル操作、ドライブ/ディレクトリ概念
置換案: POSIX API (open, read, write, lseek, stat) にマップ。DOS 固有の FCB を内部 C 構造に置き換え。
注意: 文字コード(Shift-JIS)と改行表現(CRLF)に留意。macOS/Linux のファイル名エンコーディングにも注意。
d) タイマ / 割り込み / TSR
DOS 実装: BIOS タイマ割り込み (INT 8/1Ch)、TSR による常駐・ホットキー
置換案:
タイマ: timerfd / setitimer / clock_gettime(Linux)、mach タイマ(macOS)
TSR: 背後で動くデーモンやプロセスは不要。VZ の常駐機能はアプリ内モジュールで模倣する。
e) 端末/プリンタ/システム依存 I/O
DOS 実装: LPT/COM 直接アクセス (I/O port)
置換案: POSIX のシリアルデバイス (/dev/ttyS* / IOKit on macOS)、印刷は lp/CUPS 経由
3. 技術スタック / ツールチェーン
言語: C (主), 一部 C++ 可、マクロエンジンは Lua を推薦
ビルド: CMake (クロスプラットフォーム) を推奨
端末 UI: ncurses
GUI(オプション): SDL2 + ImGui(デバッグ/互換確認用)
デコンパイル / 解析: Ghidra(逆アセンブル/デコンパイル)
テスト / CI: GitHub Actions + QEMU (x86 DOS) / aarch64 runner + unit tests
ターゲットコンパイラ:
Linux aarch64: aarch64-linux-gnu-gcc (交差コンパイル) または clang on aarch64 host
macOS arm64: Xcode/clang (-target arm64-apple-darwin)
4. 具体的移植手順(ステップバイステップ)
ステップ 0: リポジトリ把握
SRC/ 以下のソース群をカテゴリ分け (表示, 入力, ファイル, マクロ, ヘルプ/マニュアル)
依存関係(どの asm がどの機能を担ってるか)を一覧化
ステップ 1: HAL 抽象レイヤの設計
src/hal/display.h / src/hal/input.h / src/hal/file.h / src/hal/timer.h
各関数は既存 DOS 実装で使われている最小 API を想定して作成
ステップ 2: 最小互換ユーザ空間実装(端末版)
ncurses ベースで動作する互換モードを作る
まずは読み書き・画面表示・キーボード入力が出来る最小実装を目指す
ステップ 3: コード移植(機能単位)
小さな単位でアセンブリを C 化して動作確認
例: キー読み取りルーチン、画面スクロール、ファイル読み書き
ステップ 4: マクロ機能の移植
マクロの構文を解析して再実装(既存 macro フォルダの仕様を参照)
Lua を埋めて互換マクロ API を提供することで柔軟性向上
ステップ 5: テスト&比較
既存 DOS 実行結果を Neko Project II / DOSBox 上で取得し、挙動を比較
表示/編集/保存/マクロ等のテストケースを用意
ステップ 6: GUI モード(オプション)
SDL2 によるビットマップ描画を作り、フォントを使って画面忠実再現
macOS では Metal/Quartz に段階的に置換可能
ステップ 7: 最適化 & ネイティブ化
ホットパスをプロファイリングして C コード最適化や必要なら aarch64 アセンブリへ置換
5. 具体的マッピング例(代表的 DOS → POSIX / ncurses / SDL)
A. キー読み取り(INT 16h)
DOS (概念): BIOS キー読み取り、スキャンコード取得
端末版 (C, ncurses):
// nonblocking raw mode + getch() from ncurses
#include
int poll_key(void) {
int ch = getch(); // ERR if none
return ch;
}
GUI (SDL2):
// SDL event loop
SDL_Event e;
while (SDL_PollEvent(&e)) {
if (e.type == SDL_KEYDOWN) {
// e.key.keysym.sym
}
}
B. 直接VRAM書き込み → 表示更新
DOS (概念): write attribute + char into 0xB8000
端末版 (ncurses):
// map attribute to color pair
attron(COLOR_PAIR(pair));
mvaddch(y, x, ch);
attroff(COLOR_PAIR(pair));
GUI (SDL2): blit glyph texture at (xfont_w, yfont_h)
C. ファイル操作 (INT 21h) → POSIX
int vz_open(const char *path, int flags) {
int fd = open(path, flags, 0644);
return fd;
}
ssize_t vz_read(int fd, void buf, size_t n) { return read(fd, buf, n); }
D. シリアル/パラレル直叩き (in/out) → POSIX device
シリアル: open /dev/ttyS(Linux)または IOKit 経由(macOS)
パラレル: CUPS を経由して印刷
6. 開発スキャフォールド(最小サンプル)
プロジェクト雛形(CMake):
vzeditor/
src/
hal/
display.h display_ncurses.c display_sdl.c
input.h input_ncurses.c input_sdl.c
file.h file_posix.c
core/
buffer.c editor.c macro.c
CMakeLists.txt
display.h のサンプルシグネチャ:
void display_init(void);
void display_shutdown(void);
void display_draw_char(int x, int y, unsigned char ch, unsigned char attr);
void display_refresh(void);
- テスト方針
既存 DOS 実行を DOSBox/Neko で取得し、重要操作のログ(キーストローク → 画面バッファ)を保存
移植版でも同じ操作を再現し、画面バッファ差分で比較
ファイル入出力はバイナリ互換性を重視(Shift-JIS扱いのテスト)
8. 実用上の注意・落とし穴(再掲)
Shift-JIS や全角処理: UTF-8 との橋渡しを慎重に。内部は UTF-8 にするのが長期では好ましいが、マクロやファイルの互換性テスト必須
画面サイズ依存コード: 固定 80x25 前提の箇所を抽象化
DOS の TSR / フック技法は UNIX 環境では直接移植できない
著作権: リポジトリは BSD-3-Clause で公開されているが、付属のマクロや外部素材の権利に注意
9. 次の具体アクション(あなたが望むなら私が実行できます)
A. 移植設計書の CSV/Markdown テンプレ化(ファイル一覧/機能分類/優先度)を作成
B. ncurses ベースの最小実行プロトタイプ(ソース: display + input + file)を生成(Linux/aarch64 と macOS/arm64 でビルド可能)
C. 主要ルーチン(画面書き込み/キーボード/ファイル)をアセンブリ→Cで具体的に翻訳(関数単位)
どれをご希望か選んでください。あるいは、そのまま私が B: 最小実行プロトタイプ を作ってソース一式でお渡ししても良いです。
作成日: 2025-08-30
参考: vcraftjp/VZEditor リポジトリの README / SRC フォルダ構成を参照して計画を作成しました。
できました — 移植計画書を作成してキャンバスに置きました。
開いたら「Vzeditor Migration Plan - Dos X86 -> Mac Os/linux (arm)」というタイトルの文書が見られます。
次はご希望どおり、私が ncurses ベースの最小実行プロトタイプ(display/input/file の雛形コード)を作成して、ビルド可能なソース一式を用意しますか?
それともまず 移植対象ファイルの一覧(CSV) を作って優先度付けしましょうか?
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