移動体通信におけるサービス品質の体系化
小川清()渡辺尚(**)
名古屋市工業研究所()静岡大学(**)
はじめに
正確性、信相手相手が正移動による移動体通信におけるインタネット利用に伴い、様々な通信規約が提案されている。これらの通規約のサービス品質を評価するためには、多くの指標を考えることができる。本研究では,ソフトウェア分野において検討されてきたソフトウェア製品の品質体系を,移動体通信のサービス品質に適応することを検討した。
1 ISO/IEC9126
ISO/IEC9126は,ソフトウェアの品質に関する体系的な定義である。これを通信サービスの評価に用いることにより,移動体通信のサービス品質の体系化を試みた。
機能性,信頼性,使用性,効率性,保守性,移植性,利用時の品質特性に区分されている。れらの品質特性を,さらに副特性に細分化している。本研究では,これらの特性,副特性について,デジタル無線通信,経路制御,無線通信における経路制御の3つの観点で,実際の品質に関連する事項を整理した。なお各品質特性に副特性として含まれる規格適合性は,別途考慮することとした。
ISO/IEC9126におけるソフトウェア製品の能力を,デジタル無線の能力,インタネットにおける経路制御の能力,移動体通信における経路制御の能力と読み替えて評価項目を列記した。
2 能性
機能性は,要求に合う機能で、合目的性,正
確性,相互運用性,機密性がある。
機能性デジタル経路制御移動体経路
ヾ正しい。しい。
ータカ
正しい。
経路制御の
正確さ
相互運用インタネッ他の経路他の経路制
性
トとの相互制御規約御規約との
運用が可との相互相互運用可
能
運用可能能
機密性受性,設定権限不必要な経
不正変更の機密,権路制御の傍
可能性,限付き経受,不正変
妨害性,路制御情更,妨害をで
正当利用報
3信頼性
きなくする。
信頼性は,実行水準を維持するもので、成熟
性,障害許容性,回復性がある。
信頼性デジタル無経路制御移動体経路
線
制御
成熟性、一ドウェ故障時の同左
ソフトウ経路の確
ア,通信保
、による故
障回避
障減少性
障害許ェールセ同左
容性
、フェー丿
ソフト
回復性平均回復時同左
平均故障間
4使用性
同左
同左
無線
制御
合目的性に縛ら相手に辿り移動中も経
ない着ける路制御
StructureofQuaIityofServiceonMobile
digitalnetworkandroutingprotocol
OGAWAKiyoshi(),
NagoyaMunicipal
lndustl、ial
lnstitute(),ShizuokaUniversity(**)
使用性は,理解性,習得性,運用性,注目性
がある。注目性は,経路制御が自動的に行うこ
とを前提とし,考慮しないこととした。
使用性デジタル経路制御移動体経路
無線
制御
理解性直感的操通信規約同左
の単純さ
習得性
運用性
注目性
平均習得経路制御同左
時間の設定
平均操作運用上設同左
時間定の変更
可能性
同い
5 効率性
効率性は,時間効率性と資源効率性がある。
効率性デジタル経路制御移動体経路
無線
制御
時間効率通信速度新たな経同左(頻度は
性
利用可能有効時間同左
時間内の制御
省電力省資源同左
身体的安信頼性、使同左
全性用性
必要通信高速経路同左
達成率制御
路制御に高い)
に要する
時間
資源効率周波数あ経路制御同左
性
たりの通に使用す
信速度る通信比率
6 保守性
保守性は,修正能力で、解析性,変更性,安定
性,試験性がある。
保守性デジタル経路制御移動体経路
無線
制御
解析性
変更性
安定性
試験性
定
音比測各経路での同左
追跡
ソフトウェ動的経路制同左
無線御
、測事故ループ回避同左
回数
測定装置試験方法ハンドオフ試
(traceroute)験
7 移植性
移植性には,環境適用性,設置性,共存性,
置換性がある。
移植性デジタル経路制御移動体経路
無線
制御
環境適応環境の定新たな環新たな機器
性
設置性
共存性
置換性
義と範囲境の追加の追加への
への対応対応
ンテナ個別の環同左
の設置性境でのカ
の無線異なる経同左
との共存路制御と
の共存
上位機種上位互換同左
への置換規約
8 利用時の品質
利用時の品質には,有効性,生産性,安全性,
満足性がある。
利用時のデジタル経路制御移動体経路
品質
有効性
生産性
安全性
満足性
無線
制御
9 まとめ
具体的に,デジタル無線,経路制御,移動体経路制御について,各品質特性,副特性を記述してみると,多くの視点が必要であることが理解できる。
各項目間に,必ずしも直交性があるとは言えない。例えば,共存性と相互運用性は,同一の指標と考えることもできる。共存性はTCPとUDPのようにIPの上で共存するもの。相互運用性は,カプセル化するものとされるものとの関係と理解すると別の指標であることが分かる。
具体的な例示があると指標の違いが理解しやすくなる。
10 今後の課題
各項目には,測定法に関する記述,関連する測定項目など,必ずしも画一的な記述にはなっていない。また、経路制御、移動体経路制御の評価項目には、通信規約に直接関係する事項と、実装に依存する部分と、設定などの運用に関係する部分とがある。
今回対応づけした評価項目に基づき,個々の通信規約を評価し,強み,弱み,リスクを分析するとともに,実際の測定法,測定値またはシミュレーションによる計算値の組み合わせ方法を検討し、個々の通信規約の評価に用いたい。
参考文献
[l] ISO/IEC9126 JISX0129)ソフトウェア製品品質
[2] CDMA方式と次世代移動体通信システム,小川明監修,トリケップス社