はじめに
生成AIを業務で活用する機会が増え、プロンプトエンジニアリングを体系的に学びたいと思い、Prompt Engineering Professional(PEP)検定を受験しました。
私は普段、ソフトウェアエンジニアとしてAndroidアプリ開発を行っていますが、最近は業務でも生成AIを利用する機会が増えています。
この記事では、
- なぜ受験したのか
- 試験の内容
- 勉強方法
- 実際に受けた感想
- これから受験する人へのアドバイス
を紹介します。
PEP検定とは
PEP(Prompt Engineering Professional)検定は、日本プロンプトエンジニアリング協会が実施している、生成AIの活用スキルを認定する資格です。プロンプト設計だけでなく、LLMの基礎知識、RAG、ファインチューニング、AIエージェント、法律・倫理まで幅広く出題されます。
受験した理由
生成AIは毎日使っていますが、
- 「何となく使えている」
- 「体系的に理解できている自信がない」
という状態でした。
業務でもAIを活用したシステムを検討する機会が増えてきたため、一度知識を整理したいと思い受験しました。
勉強方法
勉強は、公式学習資料を読むだけでなく、自分専用の単語帳の作成と、AIを活用した実践的な問題演習で知識を定着させることを意識しました。
1. Geminiを活用した単語帳(BestFlip)の作成
まず、公式学習資料をGeminiに読み込ませ、資料内に登場する専門用語とその解説をCSV形式で出力しました。そのCSVをBestFlipに読み込み、単語帳を作成して通勤時間や空き時間に繰り返し学習しました。
単語帳として整理することで、「知っているつもり」だった用語と、本当に理解できている用語を切り分けながら効率よく学習を進められたと感じています。
2. Geminiによる「オリジナル模擬問題」での反復演習
ある程度用語が頭に入った段階で、Geminiに実際の試験形式に沿った4択の例題を作成してもらい、対話形式で解くセルフ模試を実施しました。
単に問題を解くだけでなく、以下のようなアプローチで思考力を鍛えました。
- あえて難易度を指定する:「標準〜応用レベルで問題を作って」と指示し、本番のひっかけ問題にも対応できる応用力を養成
- 誤答の理由まで深掘りする:正解して終わりではなく、不正解だった選択肢(例:「データ・ポイズニング」と「データ・コンタミネーション」の違い、「類似性」と「依拠性」の違いなど)について「なぜ誤りなのか」をGeminiに解説させ、紛らわしい概念を徹底的に整理
この「問題作成→解答→解説による概念整理」のサイクルを回したことで、単なる暗記にとどまらない本質的な理解が得られ、本番での得点力に直結したと実感しています。
3. ChatGPTとの対話による内部処理の体系的理解
また、特に理解が難しかったLLMの内部処理については、ChatGPTと対話しながら学習しました。
例えば、
- Transformer
- Self-Attention
- PEFT
- LoRA
- VAE
- 拡散モデル
といった、普段の生成AI利用ではあまり意識することのない内部的な仕組みについて、「なぜその技術が必要なのか」「他の手法と何が違うのか」を質問しながら理解を深めました。
単に用語を暗記するのではなく、AIとの対話を通して疑問点をその場で解消できたことで、知識を体系的に整理できたと感じています。
試験を受けた感想
受験前は、「生成AIに関する用語や定義をどれだけ理解しているか」を問われる試験だと思っていました。
もちろん用語の知識も必要ですが、実際に受験してみると、それ以上に状況に応じて適切な技術や手法を選択できるかを問う問題が多い印象でした。
例えば、
- 社内文書を参照しながら最新情報を回答させたい場合は、RAG・ファインチューニング・プロンプトエンジニアリングのうち、どの手法を選択すべきか
- ユーザーとの対話履歴を考慮しながら複数の処理を実行するシステムでは、AIエージェントがどのような役割を果たすのか
- モデルの知識そのものを学習させたい場合と、外部データを参照させたい場合では、どの技術を採用すべきか
- Chain of Thought(CoT)やTree of Thoughts(ToT)などのプロンプト技術について、それぞれどのような特徴があり、どのような場面で有効なのか
といったように、実際のユースケースを想定した問題が多く出題されました。
また、内部処理についても単なる用語の暗記ではなく、
- Self-Attentionは何を実現する仕組みなのか
- PEFTやLoRAは、どのようなケースで有効なのか
- 拡散モデルやVAEは、それぞれどのような用途に適しているのか
など、「仕組み」と「ユースケース」を結び付けて理解しているかが問われる問題が多かったと感じました。
出題傾向(私が受験した回)
あくまで私が受験した回での体感ですが、各学習資料からの出題数はおおよそ以下のような割合でした。
| 学習資料 | 出題数 |
|---|---|
| 1. 生成AIと大規模言語モデルの基礎知識 | 普通 |
| 2. プロンプトエンジニアリングの基本概念と技術 | とても多い |
| 3. 生成AIの実務への活用 | 多い |
| 4. 生成AIモデルのカスタマイズ手法 | 普通 |
| 5. 生成AI利用時における倫理・リスク管理・法律上の考慮事項 | 少ない |
| 6. AIエージェントとコンテキストエンジニアリング | 普通 |
特に第2章 プロンプトエンジニアリングの基本概念と技術からの出題が多く、CoT(Chain of Thought)やToT(Tree of Thoughts)などのプロンプト技術の特徴や使い分けを理解しておくことが重要だと感じました。
また、第6章「AIエージェントとコンテキストエンジニアリング」は比較的新しく追加された内容だったため、出題数も多いのではないかと予想し、試験直前に重点的に復習しました。しかし、実際には他の章と比べて突出して多いという印象はなく、全体としてバランスよく出題されていました。
一方で、私が少し油断していたのが生成AIサービスの名称です。
「具体的なサービス名までは出題されないだろう」と考え、学習資料第3章に掲載されていた音楽生成AIや動画生成AIなどの代表的なサービス名はあまり覚えずに受験しました。しかし、実際には想像していたよりも多く、サービス名を問う問題が出題されました。
合格だけであれば大きな影響はないかもしれませんが、満点を目指すのであれば、第3章に掲載されている代表的なサービス名にも一通り目を通しておくことをおすすめします。
総じて、試験対策としては用語を暗記するだけでなく、「この課題にはどの技術を選ぶべきか」「なぜその手法が適しているのか」という観点で理解を深めておくことが重要だと感じました。
学んで良かったこと
個人的には、次の3点が特に勉強になりました。
1. RAGとファインチューニングの使い分け
以前は何となく理解していましたが、
- 最新情報を参照させたいならRAG
- モデル自体に専門知識や出力スタイルを学習させたいならファインチューニング
というように、それぞれの役割や適用場面を整理できました。
2. AIエージェントの考え方
最近話題になっているAIエージェントについても体系的に学ぶことができました。
単にLLMへプロンプトを送るだけではなく、
- Plan(計画)
- Act(実行)
- Observe(観察)
- Reflect(振り返り)
といった流れでタスクを実行する仕組みを理解できたことで、「AIエージェント」と「チャットAI」の違いが明確になりました。
3. プロンプトだけが改善方法ではない
以前は、
「生成AIの精度が悪い=プロンプトを改善する」
という発想になりがちでした。
しかし今回学習したことで、
- Few-shot Prompting
- Chain of Thought(CoT)
- Tree of Thoughts(ToT)
- RAG
- ファインチューニング
- AIエージェント
など、課題に応じて最適なアプローチを選択することが重要だと理解できました。
まとめ
受験前は「生成AIの用語を覚える試験」というイメージを持っていましたが、実際には生成AIを実務でどのように活用するかという視点が重視された試験でした。
特に、RAG・ファインチューニング・AIエージェント・プロンプト技術など、それぞれの特徴やユースケースを理解しているかが問われるため、単なる暗記ではなく「なぜその技術を選ぶのか」を意識して学習することが大切だと感じました。
これから受験される方は、公式学習資料を一通り読むだけでなく、自分なりに用語を整理したり、ChatGPTやGeminiを活用して疑問点を深掘りしたりしながら学習すると、理解が深まり試験対策にも役立つと思います。
この記事が、これからPEP検定を受験する方の参考になれば幸いです。