はじめに
2026年6月2日、OpenAI がコーディングエージェント Codex の大型アップデート「New Codex」を発表しました。これまで「ターミナルでコードを書く相棒」だった Codex が、成果物をそのまま公開できる Sites、ファイルの特定箇所を指定して指示する Annotations、そして職種別の 6つのビジネスプラグイン を備え、開発者だけでなく業務全般のためのエージェント基盤へと広がりました。
この記事では、エンジニア視点で「何が増えたのか」「実務でどう効くのか」を、公式チェンジログと一次報道に基づいて整理します。
この記事で学べること
- 今回のアップデートで追加された3つの主要機能(Sites / Annotations / プラグイン)の概要
- 各機能がどのワークフローを置き換えるのか
- Codex CLI 0.136.0 で同時に入った開発者向けの変更点
- ChatGPT 統合・利用規模など周辺の動き
対象読者
- Codex / ChatGPT を日常的に使うエンジニア
- AIコーディングエージェントの活用範囲を広げたい方
- チームでの業務自動化に Codex を組み込みたい方
TL;DR
- Sites: Codex の成果物をローカルファイルではなく、ホスト型のインタラクティブWebサイトとして出力できる。まずは Business / Enterprise から提供。
- Annotations: ドキュメントやファイルの「特定の部分」を指定し、その箇所に絞って指示を出せる。
- 6つのビジネスプラグイン: Data Analytics・Creative Production・Sales・Product Design・Public Equity Investing・Investment Banking。職種ごとに外部ツールと連携する。
- 規模: Codex の週間アクティブユーザーは500万人超。2月のデスクトップアプリ公開から6倍以上に成長。
- CLI: Codex CLI 0.136.0 で Sites プラグインのプレビュー、Windows の SSH・サンドボックス対応などが同時に追加された。
OpenAI 自身も今回の発表を「ほぼ何にでも使える Codex(Codex for almost everything)」と表現しています1。
背景: Codex はどこへ向かっているのか
Codex は2026年2月にデスクトップアプリを公開して以降、急速に利用を伸ばしてきました。今回 OpenAI が公表した数字は次のとおりです2。
- 週間アクティブユーザー: 500万人超
- デスクトップアプリ公開(2月)以降の伸び: 6倍超
- ナレッジワーカーが利用者の 約20% を占め、開発者の 3倍速 で拡大中
OpenAI の CRO(最高収益責任者)Denise Dresser 氏は今回の発表で次のように述べています。
AI is becoming capable of doing increasingly meaningful work inside organizations.
(AIは組織の中で、ますます意味のある仕事をこなせるようになってきている)
— TechCrunch(2026-06-02)
つまり今回のアップデートは「コード生成ツール」から「組織の業務を担うエージェント」への布石、という位置づけです。
新機能1: Sites — 成果物をそのまま公開できる
何が変わるのか
これまで Codex の出力は基本的にローカルのファイルでした。Sites を使うと、Codex が作成した成果物を ホスト型のインタラクティブWebサイト としてそのまま出力できます3。「ローカルに HTML を吐いて自分で配信先を用意する」というひと手間が不要になる、というのがポイントです。
連携パートナー
Sites は以下の6つのサービスと連携して提供されます2。
| 連携パートナー(サイト構築・ホスティング・デザイン) |
|---|
| Wix / Base44 / Replit / Lovable / Figma / Emergent |
提供範囲
報道によると、Sites はまず Business / Enterprise 顧客 向けに先行ロールアウトされ、その後に対象を広げていく計画とされています4。
Codex のチェンジログでも 2026-06-02 に「Sites プラグインがプレビュー提供開始」と記録されています5。CLI から試せるようになるかは、利用プラン・ロールアウト状況によって変わります。
新機能2: Annotations — 「ここ」を指定して指示する
Annotations は、ドキュメントやファイルの 特定の部分を指定 し、その箇所に対象を絞ってコマンドやコンテキスト操作を実行できる機能です2。
エンジニアにとっての利点をイメージすると、次のような流れになります。
- 長い仕様書のうち「この段落だけ」を指してリライトを依頼する
- 設計ドキュメントの特定の表だけを対象に整合性チェックをかける
- ファイル全体ではなく注目箇所にコンテキストを限定して、指示の精度を上げる
ファイル全体を毎回コンテキストに載せるのではなく、注目している箇所をピンポイントで扱えるため、指示のあいまいさを減らせるのが狙いです。
現時点(2026-06-03)で Annotations の詳細なAPI仕様は公式に整理された形では公開されていません。本記事では公表されている機能概要の範囲で説明しています。実装詳細は今後の公式ドキュメントを参照してください。
新機能3: 6つのビジネスプラグイン
今回のアップデートの目玉のひとつが、職種別の 6つのビジネスプラグイン です。それぞれが業務で使う外部ツールと連携します4。
| プラグイン | 用途 | 連携サービス例 |
|---|---|---|
| Data Analytics | データ探索・レポート作成 | Snowflake, Databricks, Hex, Tableau |
| Creative Production | キャンペーン素材の生成 | Figma, Canva, Shutterstock |
| Sales | 案件の優先度付け・商談管理 | Salesforce, HubSpot |
| Product Design | プロトタイピング・ユーザーフロー監査 | Figma, Canva |
| Public Equity Investing | 市場分析 | Moody's, FactSet, LSEG, S&P, PitchBook ほか |
| Investment Banking | ピッチ資料作成・企業比較 | — |
エンジニアの視点で注目したいのは、これらが「アプリ内ボタン」ではなく プラグイン として提供される点です。Codex は2026年3月にプラグインの仕組みを導入しており2、今回の6つはその上に積み上がった職種特化のパッケージという位置づけです。自社の業務に合わせてプラグインを選び、外部SaaSと接続する、という構成は MCP のエコシステムを思わせる設計になっています。
ChatGPT への統合
OpenAI は、Codex の機能を 「数週間以内」に ChatGPT アプリへ統合する 計画も明らかにしました4。
ここで誤解しやすいのが、「Codex と ChatGPT が1つのアプリに統合される」という話ではない点です。9to5Mac によれば、これは ChatGPT を強化する ものであり、両アプリを丸ごとマージするわけではないと説明されています4。既存の ChatGPT のワークフローの中で、必要なときに Codex の機能を呼び出せるようにする、というイメージです。
開発者向け: 2026-06-01〜02 の更新
業務向け機能だけでなく、開発者向けの更新も立て続けに入っています。どのバージョンの変更かを区別して整理します5。
Codex CLI 0.136.0(2026-06-01)
-
MCP 依存関係の改善(
rmcpを 1.7.0 へ更新) - Amazon Bedrock カタログ のメタデータ更新
あわせて2026-06-01には Amazon Bedrock 連携 が一般提供(GA)となり、Codex から Bedrock 経由で OpenAI モデルを AWS 管理の認証で利用できるようになりました6。AWS 中心の環境で Codex を組み込みたいチームには見逃せない変更です。
2026-06-02 のその他の更新
- Sites プラグイン がプレビュー提供開始(サイトの作成・デプロイ)— チェンジログの独立エントリ
- ChatGPT for iOS v1.2026.146: Codex に Face ID / パスコードロック を追加、Windows への SSH リモート接続 に対応
このように、CLI・モバイルアプリ・クラウド連携が並行して厚みを増しているのが今回の特徴です。
バージョン番号や提供範囲はロールアウト状況により変動します。手元の環境では
codex --versionで実際のバージョンを確認してください。
まとめ
今回の「New Codex」アップデートを整理すると、次のようになります。
- Sites: 成果物を即座にホスト型サイトとして公開。配信のひと手間が消える。
- Annotations: ファイルの特定箇所に絞った指示で、コンテキストの精度を上げる。
- 6プラグイン: 職種別に外部SaaSと連携し、Codex を業務エージェント化する。
- ChatGPT 統合(数週間以内)と CLI 0.136.0 / Bedrock 連携 が同時並行で進む。
開発者向けツールとしての Codex は、CLI・Bedrock 連携・Windows 強化で着実に厚みを増しつつ、Sites やプラグインで「コードの外側の業務」へと染み出しています。コーディングエージェントが組織のワークフロー基盤になっていく流れを象徴するアップデートと言えそうです。
まずは手元の Codex CLI を最新化し、codex --version で 0.136.0 以降になっているかを確認するところから始めてみてください。
参考リンク
- OpenAI launches new Codex tools for white-collar work — TechCrunch — Sites・Annotations・利用規模・CRO発言で引用
- OpenAI's Codex update lets agents build interactive enterprise workspaces — VentureBeat — Sites の技術背景で引用
- Codex inside ChatGPT app, 6 business plugins — 9to5Mac — プラグイン詳細・ChatGPT統合・提供範囲で引用
- Codex Changelog — OpenAI Developers — CLI 0.136.0 の変更点で引用
- Codex for (almost) everything — OpenAI — 発表全体像で引用
- Amazon Bedrock — OpenAI models, Codex, and Managed Agents GA — AWS — Bedrock連携で引用
-
OpenAI launches new Codex tools for white-collar work — TechCrunch(2026-06-02) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
OpenAI's Codex update lets agents build interactive enterprise workspaces via Sites and role-specific plugins — VentureBeat ↩
-
OpenAI putting Codex inside ChatGPT app everywhere, releasing 6 business plugins — 9to5Mac(2026-06-02) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
Amazon Bedrock — OpenAI models, Codex, and Managed Agents generally available — AWS(2026-06-01) ↩