はじめに
2026年4月1日、Anthropicは Claude Code v2.1.90 をリリースし、新しいコマンド /powerup を導入しました。これはターミナル内で動作するインタラクティブチュートリアルシステムで、複数のレッスンを通じて Claude Code の隠れた機能をアニメーションデモ付きで学べます(公式ドキュメントにレッスン数の明示はなし)。
同時期にリリースされた v2.1.89〜v2.1.92 には、MCP ツール結果の 500K 文字対応、プラグイン実行ファイルサポート、ヘッドレスセッションの権限延期、Write ツール 60% 高速化など、実務に直結する改善が多数含まれています。
この記事では、/powerup の使い方とレッスン内容を解説した上で、v2.1.89〜v2.1.92 の注目アップデートを網羅的にまとめます。
この記事で学べること
-
/powerupコマンドの起動方法とレッスン構成 - v2.1.90-92 の主要新機能(MCP 結果永続化・プラグイン実行ファイル・権限延期)
- ヘッドレスワークフローを強化する
PermissionDeniedフックと"defer"決定 -
/costのモデル別コスト分析と Write ツールの性能改善
対象読者
- Claude Code を日常的に使用しているエンジニア
- MCP サーバーや自動化パイプラインを構築している方
- 最新の Claude Code 機能をキャッチアップしたい方
前提環境
- Claude Code v2.1.90 以降(
claude --versionで確認) - Claude サブスクリプションまたは API キー設定済み
TL;DR
-
/powerup— 複数レッスンのインタラクティブチュートリアル(v2.1.90、4月1日) - MCP 結果 500K 対応 —
_meta["anthropic/maxResultSizeChars"]で DB スキーマ等を完全転送(v2.1.91) - プラグイン
bin/サポート — プラグインにネイティブバイナリを同梱し Bash から直接呼び出し(v2.1.91) -
"defer"権限決定 — ヘッドレスセッションで外部審査後に再開する新フロー(v2.1.89) -
/costモデル別内訳 — モデルごとのコストとキャッシュ命中率を表示(v2.1.92) - Write ツール 60% 高速化 — タブ・
&・$を含む大ファイル操作が大幅に改善(v2.1.92)
/powerup とは
/powerup は Claude Code に組み込まれたインタラクティブチュートリアルシステムです。ターミナルを離れることなく、アニメーション付きのデモで機能を体験できます。
従来、Claude Code の機能はドキュメントや変更ログを読み込んで把握する必要がありました。/powerup はその学習コストを大幅に削減します。
起動方法
Claude Code セッション内でコマンドを実行します。
/powerup
レッスン一覧がアローキーで選択できる形式で表示されます。レッスンを選択すると、テキスト説明 → アニメーションデモの順で進行し、完了マークを付けて次のレッスンに進めます。
Claude Code /powerup
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Select a lesson:
▶ [1] Context Management — /clear vs /compact
[2] CLAUDE.md Memory System
[3] Plan Mode (Shift+Tab)
[4] Model Selection
[5] Skills & Custom Commands
...
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[↑↓] navigate [Enter] start [q] quit
レッスンの構成
レッスンは難易度別に3ブロックに分かれています(以下はコミュニティの調査に基づく構成例。公式ドキュメントへの記載はありません)。
ビギナーブロック(レッスン 1-6)
| # | レッスン名 | 学べること |
|---|---|---|
| 1 | Context Management |
/clear(完全リセット)と /compact(要約して継続)の使い分け |
| 2 | CLAUDE.md Memory System | プロジェクト・ユーザー・ローカルの3階層メモリ管理 |
| 3 | Plan Mode |
Shift+Tab でプランモード切替、コードを書く前に設計を確認 |
| 4 | Model Selection | セッション中にモデルをリアルタイム切替 |
| 5 | Escape & Interrupt |
Esc キーの動作(1回: 中断、2回: キャンセル) |
| 6 | Auto Mode | 権限設定と自動実行の範囲制御 |
インターミディエイトブロック(レッスン 7-13)
| # | レッスン名 | 学べること |
|---|---|---|
| 7 | Skills & Custom Commands |
/claude/commands/ でスラッシュコマンドを定義する方法 |
| 8 | Hooks (PreToolUse/PostToolUse) | ツール実行前後にスクリプトを挟む自動化パターン |
| 9 | Sub-agent Orchestration |
Agent ツールでサブエージェントを並列起動する設計 |
| 10 | MCP Server Configuration |
claude_desktop_config.json での MCP サーバー設定 |
| 11 | /rewind & Checkpointing | チェックポイントへのロールバックと分岐 |
| 12 | Headless Mode (-p flag) |
-p フラグでスクリプトから Claude Code を呼び出す |
| 13 | Cost Tracking (/cost) | トークン消費とモデル別コストの可視化 |
アドバンストブロック(レッスン 14-18)
| # | レッスン名 | 学べること |
|---|---|---|
| 14 | Remote Control (claude.ai/code) | Web UI からターミナルセッションを制御 |
| 15 | Permission Scoping |
permissions.defaultMode と allowedTools による細粒度制御 |
| 16 | Multi-session Workflows | 複数セッションの並列実行と協調パターン |
| 17 | Extended Thinking | 推論バジェットとコスト最適化 |
| 18 | Agent SDK Integration | Python/TypeScript SDK でのエージェント組み込み |
各レッスンは3〜10分で完了します。完了済みレッスンはチェックマークが付き、いつでも再受講できます。
v2.1.91 の新機能
MCP ツール結果の 500K 文字対応
従来の MCP ツール結果は数千〜数万文字で打ち切られていました。v2.1.91 では _meta アノテーションで上限を最大 500,000 文字まで拡張できます。
ユースケース: データベースの全スキーマ取得、大規模な設定ファイルの一括転送、長大なログファイルの解析など。
MCP サーバー側での設定方法(Python):
from mcp import types
@server.call_tool()
async def get_db_schema(name: str, arguments: dict) -> list[types.TextContent]:
schema = fetch_full_schema() # 大容量のスキーマデータ
return [
types.TextContent(
type="text",
text=schema,
# 最大 500K 文字まで拡張
annotations={
"anthropic/maxResultSizeChars": 500_000
}
)
]
TypeScript 版:
server.setRequestHandler(CallToolRequestSchema, async (request) => {
const schema = await fetchFullSchema();
return {
content: [
{
type: "text",
text: schema,
annotations: {
"anthropic/maxResultSizeChars": 500_000 // 最大値
}
}
]
};
});
maxResultSizeCharsの最大値は 500,000 です。この値を超える指定は無視されます。大容量データを渡す際は、本当に必要な範囲に絞ることでコストを抑えられます。
プラグイン実行ファイル(bin/ ディレクトリサポート)
v2.1.91 からプラグインに bin/ ディレクトリを追加し、ネイティブ実行ファイルを同梱できます。Bash ツールからコマンド名だけで呼び出せます。
プラグイン構造:
my-plugin/
├── .claude-plugin/
│ └── plugin.json # マニフェストは .claude-plugin/ サブディレクトリに配置
├── bin/
│ ├── my-tool # Linux/macOS バイナリ
│ └── my-tool.exe # Windows バイナリ
└── commands/
└── run.md
.claude-plugin/plugin.json:
{
"name": "my-plugin",
"version": "1.0.0",
"description": "my-tool を提供するプラグイン"
}
コマンドファイル (commands/run.md):
# run
my-tool を使ってタスクを実行します。
$BASH: my-tool --input "$ARGUMENTS"
これにより、フルパス指定なしに my-tool だけで呼び出せます。Go や Rust で書いたバイナリを Claude Code のワークフローに直接組み込む用途に適しています。
v2.1.89 の新機能
ヘッドレスセッションの権限延期("defer" 決定)
v2.1.89 では PreToolUse フックに "defer" という新しい決定値が追加されました。ヘッドレスセッション(-p フラグ)でツール呼び出しが発生した際に、外部システムで審査してから再開できます。
典型的なユースケース: CI/CD パイプラインで自動実行中、本番環境へのデプロイコマンドが発生したら Slack で承認を求め、承認後に再開する、といったフロー。
フックスクリプト例 (~/.claude/hooks/pre-tool.sh):
#!/bin/bash
TOOL_NAME=$(echo "$CLAUDE_TOOL_INPUT" | jq -r '.tool_name')
# deploy コマンドのみ延期して外部承認を要求
if [[ "$TOOL_NAME" == "Bash" ]]; then
COMMAND=$(echo "$CLAUDE_TOOL_INPUT" | jq -r '.input.command')
if echo "$COMMAND" | grep -q "deploy\|kubectl apply\|terraform apply"; then
# Slack に承認要求を送信
curl -s -X POST "$SLACK_WEBHOOK" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d "{\"text\": \"承認待ち: \`$COMMAND\`\nSession: $CLAUDE_SESSION_ID\"}"
# defer を返すことでセッションを一時停止
echo '{"decision": "defer"}'
exit 0
fi
fi
セッション再開方法:
# 承認後に --resume で再開、フックが再評価される
claude -p --resume "$SESSION_ID" "承認が完了しました"
PermissionDenied フック
Auto モードで権限が拒否された際に発火する新フックです。{retry: true} を返すとモデルに再試行を促せます。
設定例 (~/.claude/settings.json):
{
"hooks": {
"PermissionDenied": [
{
"matcher": "Bash",
"hooks": [
{
"type": "command",
"command": "/path/to/permission-handler.sh"
}
]
}
]
}
}
ハンドラスクリプト:
#!/bin/bash
TOOL=$(echo "$CLAUDE_TOOL_INPUT" | jq -r '.tool_name')
COMMAND=$(echo "$CLAUDE_TOOL_INPUT" | jq -r '.input.command // empty')
# 特定のコマンドパターンは retry を許可
if echo "$COMMAND" | grep -q "^git "; then
echo '{"retry": true}'
exit 0
fi
# それ以外は拒否を維持
echo '{}'
/permissions の「Recent」タブで拒否されたコマンドを確認し、r キーで再試行することも可能です。
フリッカーフリーレンダリング
CLAUDE_CODE_NO_FLICKER=1 環境変数を設定すると、alt-screen レンダリングで画面のちらつきを抑制できます。長時間セッションや動画収録時に有効です。
# .bashrc / .zshrc に追加
export CLAUDE_CODE_NO_FLICKER=1
v2.1.92 の新機能
/cost のモデル別・キャッシュ別コスト分析
v2.1.92 から /cost コマンドで、モデルごとのコストとキャッシュ命中率を確認できます(サブスクリプションユーザー向け)。
/cost
Session Cost Breakdown
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Model Tokens Cache Hit Cost
─────────────────────────────────────────────────
claude-opus-4-6 82,400 71.3% $0.92
claude-sonnet-4-6 124,800 84.2% $0.38
claude-haiku-4-5 18,200 91.0% $0.02
─────────────────────────────────────────────────
Total 225,400 80.1% $1.32
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
キャッシュ命中率が低い場合、CLAUDE.md の構造や会話の進め方を見直すことでコストを削減できます。
/release-notes のインタラクティブ版選択
/release-notes が静的表示からインタラクティブなバージョン選択に変わりました。
/release-notes
Select version:
▶ v2.1.92 (April 4, 2026) — 現在
v2.1.91 (April 2, 2026)
v2.1.90 (April 1, 2026)
v2.1.89 (April 1, 2026)
v2.1.88 (March 28, 2026)
...
Write ツール 60% 高速化
タブ、&、$ を含む大きなファイルの差分計算が約 60% 高速になりました。シェルスクリプト、YAML、Terraform ファイルなどのコスト大きな操作が改善されます。
特に CI/CD 設定(.github/workflows/*.yml)や Infrastructure as Code ファイルを扱う際の体感速度が向上します。
Bedrock セットアップウィザード
ログイン画面の「3rd-party platform」からインタラクティブな Bedrock セットアップウィザードにアクセスできます。AWS 認証、リージョン設定、認証情報の検証、モデルのピン留めをステップ形式でガイドします。
forceRemoteSettingsRefresh ポリシー設定
エンタープライズ向けの新ポリシー設定です。起動時にリモートのマネージド設定を強制取得し、取得失敗時は起動を中止します(fail-closed セキュリティモデル)。
// 管理者側の managed-settings.json
{
"forceRemoteSettingsRefresh": true,
"policies": {
"allowedTools": ["Bash", "Read", "Write"],
"disableSkillShellExecution": true
}
}
削除された機能
v2.1.92 で以下のコマンドが削除されました。
| 削除コマンド | 代替手段 |
|---|---|
/tag |
— |
/vim |
/config → Editor mode でトグル |
アップデート適用方法
# npm でインストール済みの場合
npm update -g @anthropic-ai/claude-code
# バージョン確認
claude --version
# → Claude Code v2.1.92
まとめ
v2.1.89〜v2.1.92 の主要な改善をまとめます。
| 機能 | バージョン | 実用的な効果 |
|---|---|---|
/powerup 複数レッスン |
v2.1.90 | 見落としていた機能を体系的にキャッチアップ |
| MCP 500K 文字対応 | v2.1.91 | DB スキーマ全体を Claude に渡して精度向上 |
| プラグイン bin/ | v2.1.91 | Go/Rust バイナリをプラグインとして配布可能 |
| defer 権限延期 | v2.1.89 | CI/CD パイプラインに人間の承認ステップを追加 |
| PermissionDenied フック | v2.1.89 | 拒否されたコマンドを動的に再評価 |
| /cost 詳細内訳 | v2.1.92 | モデル選定のコスト最適化に活用 |
| Write 60% 高速化 | v2.1.92 | 大きな設定ファイル編集が快適に |
まず /powerup を実行して、自分が見落としているレッスンを確認することをお勧めします。
参考リンク
- Claude Code Changelog — 公式変更ログ
- MCP Tool Results Specification — MCP 仕様(ツール結果セクション)
- Claude Code Hooks Reference — フック設定リファレンス
- Claude Code Plugins Guide — プラグイン開発ガイド
公開情報・公式ドキュメントをもとに構成しています。