はじめに
2026年3月、GoogleはAIクリエイティブツール「Flow」を大幅にリデザインし、これまで別々に提供されていたWhisk(画像コラージュ)とImageFX(画像生成)をFlowに統合しました。Nano Banana 2による高品質画像生成と、Veo 3.1による動画生成を1つのワークスペースで完結できる、統合AIクリエイティブスタジオへと進化しています。
この記事で学べること
- Google Flowの全体像と2026年3月リデザインの変更点
- Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image)とVeo 3.1の主要機能
- Flowの新機能(投げ縄ツール、アセットグリッド、タイムラインエディタ)
- Whisk・ImageFXからの移行方法
- 料金体系とGoogle Workspace連携
対象読者
- AIを活用したコンテンツ制作に関心のあるエンジニア・クリエイター
- 画像生成・動画生成ツールの導入を検討している方
- Google AI エコシステムの最新動向を追いたい方
TL;DR
- Google FlowがWhisk・ImageFXを統合し、画像生成から動画生成・編集までを1つのワークスペースで完結できるようになった
- 画像生成にはNano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image)、動画生成にはVeo 3.1が採用されている
- 無料プランでも画像生成が可能。動画生成は月100クレジットの無料枠あり
- 投げ縄ツール、アセットグリッド、タイムラインエディタなどの新しい編集機能が追加された
Google Flowとは
Google Flowは、Googleが提供するAIクリエイティブスタジオです。labs.google/fx/tools/flow からアクセスできます(flow.google からリダイレクトされます)。
2026年2月25日のアップデートで、従来は別々のGoogle Labsプロジェクトとして提供されていたWhisk(画像コラージュツール)とImageFX(AI画像生成ツール)がFlowに統合されました。これにより、画像の生成・編集からアニメーション化・動画生成までを一貫して行えるワークスペースに進化しています。
統合の背景
従来のGoogle AI画像・動画ツールは以下のように分散していました。
| ツール | 機能 | 状態(2026年3月以降) |
|---|---|---|
| ImageFX | テキストからの画像生成 | Flowに統合 |
| Whisk | 画像を素材として再構成 | Flowに統合 |
| Flow | 動画生成・編集 | 統合プラットフォームに |
2026年3月以降、Whisk・ImageFXの既存プロジェクトやアセットをFlowに転送するオプトイン移行が開始されています。
Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image)
FlowのコアとなるAI画像生成モデルがNano Banana 2です。正式名称は「Gemini 3.1 Flash Image」で、従来のNano Banana Proの高品質出力をFlashアーキテクチャの速度で実現しています。
主要スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 解像度 | 512px〜4K |
| キャラクター一貫性 | 最大5キャラクター |
| オブジェクト精度 | 1ワークフローあたり最大14オブジェクト |
| API価格 | $0.045/枚(512px)〜$0.151/枚(4K) |
| 提供先 | Geminiアプリ、Google検索、Flow、Gemini API、Vertex AI |
特徴
- 精密な指示追従: プロンプトの内容をより厳密に反映した画像を生成する
- 高速生成: Flashアーキテクチャにより、Pro相当の品質を高速に出力
- リアルタイム情報の反映: Geminiから最新情報を取得し、より正確な画像を生成
- テキスト描画の改善: マーケティングモックアップやグリーティングカードなどのテキストを含む画像の精度が向上
API経由でのアクセス
エンジニアやチーム向けには、Gemini API(Google AI Studio)およびVertex AIからプログラマティックにアクセスできます。バッチ画像生成やカスタムアプリケーションへの組み込みが可能です。
# Gemini API での画像生成(Python)
from google import genai
client = genai.Client()
response = client.models.generate_images(
model="gemini-3.1-flash-image-preview",
prompt="A minimalist tech blog hero image with blue accent",
config=genai.types.GenerateImagesConfig(
number_of_images=1,
),
)
上記のコードサンプルは公式ドキュメントの記述に基づく参考例です。パラメータ名やモデルIDは、利用時に公式APIリファレンスで最新仕様を確認してください。
Veo 3.1 — 動画生成モデル
Flowの動画生成を担うのがVeo 3.1です。Veo 3の後継モデルとして、映像品質とクリエイティブコントロールが強化されています。
主要スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 出力解像度 | 720p / 1080p |
| フレームレート | 24fps |
| アップスケーリング | 4K対応 |
| マルチクリップ | 複数クリップの自動トランジション生成 |
| キャラクター一貫性 | シーン間でのキャラクター一貫性を維持 |
| オーディオ | 動画コンテンツに同期した音声生成 |
動画生成の主な機能
- カメラコントロール: パン、ズームなどのカメラワークをテキスト指示で制御
- クリップ延長: 既存のクリップを延長し、シーンの続きを自動生成
- キーフレームインジェクション: ImageFXで生成した画像をキーフレームとして動画生成をガイド
- エクスポート形式: MP4、WebM、個別フレームシーケンスに対応
Flowの新編集機能
2026年3月のリデザインでは、以下の編集機能が追加されました。
投げ縄(Lasso)ツール
画像の特定部分を選択し、テキストコマンドで操作できるツールです。
- 画像内の特定のオブジェクトを選択して削除
- 選択した領域に新しい要素を追加
- 部分的なスタイル変更や色調調整
従来の画像編集ツールと異なり、選択範囲に対して自然言語で指示を出せる点が特徴です。
アセットグリッド
生成した画像・動画を管理するための新しいライブラリ機能です。
- コレクション: 関連するメディアを「コレクション」にグループ化
- 検索・フィルタ: アセットの検索、フィルタリング、ソートが可能
-
@参照: プロンプト内で
@を使って特定のファイルを参照
タイムラインエディタ
動画クリップを直感的に編集するためのタイムライン機能です。
- 生成したクリップのトリミング・並べ替え
- 複数クリップのシーケンス化
- 自動トランジション生成
- 各クリップへのオブジェクト追加・削除
Whisk・ImageFXからの移行
2026年3月以降、WhiskとImageFXからFlowへのオプトイン移行が開始されています。
移行手順
- labs.google/fx/tools/flow にアクセスしてサインアップ
- Flowの設定画面から「プロジェクト移行」を選択
- Whisk・ImageFXの既存プロジェクトとアセットが自動的にFlowライブラリに転送される
プロジェクト構造の変更
移行にあたり、制作フローが変わります。
| 項目 | 旧(Whisk/ImageFX) | 新(Flow) |
|---|---|---|
| 制作方式 | プロンプト → 即時生成 | プロジェクト作成 → アセット追加 → 生成 |
| アセット管理 | 各ツール独立 | 統合アセットグリッド |
| 画像→動画 | ツール間コピー | ワークスペース内で直接連携 |
| エクスポート | 個別ダウンロード | MP4/WebM/フレームシーケンス |
料金体系
個人ユーザー
| プラン | 画像生成 | 動画生成 | 主な制限 |
|---|---|---|---|
| 無料 | 利用可能 | 月100クレジット | 基本的な生成機能のみ |
| Google One AI Premium | 利用可能 | 拡張クレジット | フルツールセットにアクセス |
Google Workspace(法人)
| アドオン | 月額クレジット | 対象 |
|---|---|---|
| AI Expanded Access | 拡張利用枠 | ビジネス/エンタープライズ/教育プラン |
| AI Ultra Access | 25,000クレジット/ユーザー | 大規模動画制作チーム向け |
2026年3月1日以降、Workspaceで高度なAI機能にアクセスするには、AI Expanded Access以上のアドオン購入が必要です。
開発者向けのAPI活用
Flowの画像・動画生成能力はAPIとしても利用できます。
Gemini API(画像生成)
Nano Banana 2はGemini API経由でプログラマティックにアクセスでき、以下のユースケースに対応します。
- バッチ画像生成
- カスタムアプリケーションへの組み込み
- 自動化ワークフローへの統合
提供プラットフォーム:
- Google AI Studio: 個人開発者・プロトタイピング向け
- Vertex AI: エンタープライズ向けの本番運用
料金目安(API)
| モデル | 入力トークン | 出力トークン | 画像生成 |
|---|---|---|---|
| Nano Banana 2(512px) | — | — | $0.045/枚 |
| Nano Banana 2(2K) | — | — | $0.067/枚 |
| Nano Banana 2(4K) | — | — | $0.151/枚 |
| Gemini 3.1 Flash-Lite | $0.25/100万 | $1.50/100万 | — |
まとめ
Google Flowの2026年3月リデザインにより、以下の変化が起きています。
- ツール統合: Whisk・ImageFXがFlowに統合され、画像生成から動画制作までを1つのワークスペースで完結可能に
- モデル強化: Nano Banana 2で高品質画像生成、Veo 3.1で高品質動画生成を実現
- 編集機能: 投げ縄ツール、アセットグリッド、タイムラインエディタなどの実用的な編集機能を追加
- 段階的な料金体系: 無料プランから企業向けまで、利用規模に応じたプランを提供
- API対応: Gemini API・Vertex AIからプログラマティックにアクセス可能
AI画像・動画生成ツールが個別の実験的プロジェクトから統合プラットフォームへと移行する流れは、2026年のAIクリエイティブツール全体のトレンドとも一致しています。