はじめに
2026年6月30日、Anthropicは新モデル「Claude Sonnet 5」をリリースしました1。実はこの記事を執筆している Claude Code のセッション自体が、すでに claude-sonnet-5 で動いています。リリース当日に「移行して何が変わったか」を実際のモデルIDレベルで確認できたので、公式発表の要点と合わせて実測ベースでまとめます。
この記事で学べること
- Claude Sonnet 5 の料金・コンテキストウィンドウ・既定
effortの公式仕様 - Sonnet 4.6 → Sonnet 5 で API コード上どこが変わるか(モデルID・effort指定)
- コスト試算の組み方(公開時点では料金改定日を見越す想定でしたが、改定は実施されず現在は固定単価です)
対象読者
- Claude API / Claude Code を業務で使っているエンジニア
- モデル移行のたびに料金・仕様差分を毎回手で調べているチーム
2026-10-02 追記(再検証): 公式の Pricing ページを再確認したところ、Sonnet 5 の $2 / $10 は導入価格ではなく標準価格になり、2026-09-01 に予定されていた $3 / $15 への改定は実施されないと明記されていました。公開時点の本文は「2026-09-01 以降は $3 / $15」としていたため、該当箇所(TL;DR・公式発表の表・コスト試算スクリプト・まとめ)を訂正しています。あわせて、同日時点の最新世代は Claude Sonnet 5.5(
claude-sonnet-5-5・$2 / $10)で、Sonnet 5 は Legacy 扱いです。
TL;DR
- Sonnet 5 のモデルIDは
claude-sonnet-5(日付なしのピン留めスナップショット)。コンテキストウィンドウは1Mトークン、最大出力は128kトークン2。 - 価格は入力 $2 / 出力 $10(100万トークンあたり)。公開時点では「導入価格は2026年8月31日まで、9月1日以降は入力 $3 / 出力 $15」と案内されていましたが、この値上げは実施されず、$2 / $10 が標準価格になりました(2026-10-02 訂正)3。
- Claude API・Claude Code 上では
effortパラメータの既定値がhighになりました(Opus 4.8 は claude.ai を含む全サーフェスでhigh既定、Sonnet 5 は API と Claude Code 限定)2。明示的に effort を指定していないコードは、何もしなくても挙動が変わる可能性があります。 - 公式は「Opus 4.8 に近い性能を、より低価格で」と位置づけており、知識作業のベンチマークでは Opus 4.8 を上回ったという発表もある1。
価格とモデルIDの関係(2026-10-02 時点の整理)
公式発表の要点(出典付き)
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| リリース日 | 2026年6月30日 | 1 |
| モデルID(Claude API) | claude-sonnet-5 |
2 |
| コンテキストウィンドウ | 1Mトークン | 2 |
| 最大出力 | 128kトークン(Message Batches APIではベータヘッダーで300kまで拡張可) | 2 |
| 価格(現行・標準価格) | 入力 $2 / 出力 $10(100万トークンあたり)。公開時点で予告された2026-09-01の $3 / $15 への改定は実施されない(2026-10-02 訂正) | 3 |
| 利用可能プラン | Free・Pro(デフォルトモデル)、Max・Team・Enterprise、Claude Code、Claude Platform | 1 |
| Extended thinking | なし(Adaptive thinkingは対応) | 2 |
| 信頼できる知識のカットオフ | 2026年1月 | 2 |
Claude Sonnet 5 is built to be the most agentic Sonnet model yet. It can make plans, use tools like browsers and terminals, and run autonomously at a level that, just a few months ago, required larger and more expensive models.
— Introducing Claude Sonnet 5(2026-06-30)
ベンチマークの具体的な数値(SWE-bench等)については、二次メディアの間で報告値にばらつきがあり、本記事執筆時点で Anthropic 公式ページは比較グラフのみを掲載し具体的なスコアを明記していません。正確な数値は Anthropicのシステムカードで確認することをおすすめします。
移行で実際に変わるコード
1. モデルIDの差し替え
Sonnet 4.6 から Sonnet 5 への移行は、モデルIDを書き換えるだけで完了します。
import anthropic
client = anthropic.Anthropic()
# Before: Sonnet 4.6
# model = "claude-sonnet-4-6"
# After: Sonnet 5(日付なしのピン留めスナップショット)
model = "claude-sonnet-5"
response = client.messages.create(
model=model,
max_tokens=1024,
messages=[{"role": "user", "content": "Hello, Sonnet 5"}],
)
print(response.content[0].text)
2. effort パラメータの既定値変化に注意
Sonnet 5 は Claude API・Claude Code 上で effort の既定値が high になりました2。レイテンシやコストに敏感なバッチ処理では、明示的に effort を指定しておくのが安全です。
response = client.messages.create(
model="claude-sonnet-5",
max_tokens=1024,
output_config={"effort": "medium"}, # 既定の high のままだと処理時間・出力トークンが増える可能性がある
messages=[{"role": "user", "content": "コードレビューして"}],
)
3. コスト試算スクリプト(2026-10-02 訂正版)
公開時点では、導入価格 $2 / $10 は2026年8月31日までの期間限定で、9月1日から $3 / $15 になると案内されていました。このため当初は、月次コストを見積もるときに改定日で単価を切り替えるスクリプトを紹介していました。2026-10-02 に公式の Pricing ページを再確認したところ、値上げは実施されず $2 / $10 が標準価格になっていたため、単価を固定した形に訂正します。
INPUT_PER_MTOK = 2.0 # USD / 100万入力トークン(標準価格)
OUTPUT_PER_MTOK = 10.0 # USD / 100万出力トークン(標準価格)
def sonnet5_cost(input_tokens: int, output_tokens: int) -> float:
return (input_tokens / 1_000_000) * INPUT_PER_MTOK + (output_tokens / 1_000_000) * OUTPUT_PER_MTOK
# 例: 入力50万トークン・出力10万トークン
print(sonnet5_cost(500_000, 100_000)) # 2.0
旧版のスクリプトは日付で単価を切り替える実装で、2026-10-02 に同じ入力(入力50万・出力10万トークン)で実行すると
3.0USD を返しました。現行の公式価格で計算した2.0USD と食い違うため、旧版の日付分岐は削除しています。
ハマりポイント
ポイント1: claude-sonnet-4-5-20250929 のような旧形式IDは残るが、Sonnet 5 は日付なし形式
Claude 4.6世代以降のモデルIDは日付なしのピン留めスナップショットになっており、claude-sonnet-5 のように見た目はエイリアスに似ていますが実体は固定版です2。「日付がないから常に最新に追従する」と誤解してCIのモデル固定設定を外すと、将来Anthropicが後継モデルを出した際に意図せず動作が変わらない(=Sonnet 5に固定され続ける)点に注意してください。
ポイント2: Bedrock / Google Cloud のモデルIDは微妙に異なる
AWS Bedrockでは anthropic.claude-sonnet-5、Google Cloudでは claude-sonnet-5 とほぼ同じですが、Claude Platform on AWS は Claude API と同じ claude-sonnet-5 を使う一方、Bedrockのネイティブエンドポイントはプレフィックス付きの形式になります2。マルチクラウド構成では環境ごとにモデルID解決処理を分けておくと安全です。
著者視点の発見ポイント
実際に試したところ、最も実感したのはベンチマーク数値そのものより「effort既定値の変更」という地味な差分でした。筆者はこの記事を claude-sonnet-5 のセッションの中で執筆していますが、Opus系の effort 既定がプラットフォーム全体に及ぶのに対し、Sonnet 5 は Claude API と Claude Code に限定される、という非対称な仕様変更は公式ブログの本文だけでは気づきにくく、モデル比較表の脚注を読んで初めて把握できました。料金や性能比較は各メディアが速報するため後追いで把握できますが、こうした「既定パラメータの非対称な変更」はAPIを直接叩いているチームでないと見落としやすいポイントです。移行作業のチェックリストには、料金とコンテキストウィンドウだけでなく effort のようなパラメータ既定値も必ず含めることをおすすめします。
まとめ
- Sonnet 5 への移行はモデルID差し替えだけで動くが、
effort既定値の変化はコード上に表れないため見落としやすい。 - 公開時点では「導入価格は2026年8月31日までの時限措置」と案内されていましたが、2026-10-02 時点の公式 Pricing ページでは $2 / $10 が標準価格になっています。価格は告知後に変わりうるため、コスト試算は単価をハードコードせず、定期的に公式ページで確認してください。
- ベンチマークの具体的数値は二次情報源でばらつきがあるため、性能比較は公式システムカードを一次情報として確認します。
参考リンク
- Introducing Claude Sonnet 5 — リリース概要・価格・対応プランの引用元
- Models overview - Claude Platform Docs — モデルID・コンテキストウィンドウ・effort既定値の引用元
- Claude Sonnet 5 System Card — 詳細なベンチマーク・安全性評価
- Anthropic Pricing — 最新の料金体系
-
Introducing Claude Sonnet 5(2026-06-30) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
Models overview - Claude Platform Docs(2026-06-30時点) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
-
Anthropic Pricing(2026-10-02 再確認。リリース時の価格セクションは Introducing Claude Sonnet 5 の導入価格〜2026-08-31、標準価格2026-09-01〜 という案内) ↩ ↩2