はじめに
「毎晩バックログを整理してほしい」「PRが開くたびにコードレビューを自動実行したい」「監視アラートが来たら即座に原因調査と修正PRを作ってほしい」——そうしたタスクを、自分のマシンを起動しておかなくても自動実行できる仕組みが Claude Code Routines です。
Routinesは2026年4月にClaude Code v2.1.105〜v2.1.113のアップデートでリリースされたcloud agent機能です。スケジュール・GitHub Events・APIエンドポイントという3種類のトリガーを組み合わせて、Claude CodeをAnthropicが管理するクラウドインフラ上で自律実行させられます。
この記事で学べること
- Routinesの基本概念とアーキテクチャ
- スケジュール・GitHub Events・APIトリガーの設定方法
- 実践的なユースケース(PRレビュー自動化・アラート連携等)
- 注意点と利用制限
対象読者
- Claude Codeを使っているエンジニア
- CI/CDパイプラインにAIエージェントを組み込みたい方
- 繰り返し作業を自動化してメンテナンスコストを下げたい方
前提条件
- Claude.aiのPro・Max・Team・EnterpriseいずれかのサブスクリプションとClaude Code on the webが有効化されていること
- Claude Code v2.1.105以降がインストールされていること(
claude --versionで確認)
TL;DR
- RoutinesはAnthropicクラウド上で動作するAIエージェントワークフロー。自分のマシンが閉じていても実行される
- トリガーはスケジュール(cron)・GitHub Events・HTTP APIの3種類で組み合わせ可
- CLIから
/scheduleコマンド1行で作成可能。Web UIでは3種類のトリガーをGUI設定できる - ルーティンは1日の実行数に上限あり。GitHubアカウントやMCPコネクターへのアクションは自分のアカウント名義で実行される
Routinesとは
従来、Claude CodeはローカルCLIセッションやRemote Control経由での操作が前提でした。Routinesはそのモデルを拡張し、「定義しておけばクラウドで自律動作するエージェント」として機能します。
公式ドキュメントによれば、1つのRoutineは以下の要素で構成されます:
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| プロンプト | Claudeが実行するたびに参照する指示 |
| リポジトリ | Claudeが操作対象とするGitHubリポジトリ(複数指定可) |
| 環境 | ネットワークアクセス・環境変数・セットアップスクリプト |
| コネクター | Slack・Linear・Google DriveなどのMCPサービス連携 |
| トリガー | いつ実行するか(スケジュール・GitHub Events・API) |
各Routineは完全なClaude Codeクラウドセッションとして実行されます。シェルコマンドの実行、リポジトリへのコミット・PR作成、コネクター経由の外部サービス操作が可能です。
重要: Routineが行うGitHubコミット・PR・Slackメッセージはすべてあなたのアカウント名義で実行されます。スコープを必要最小限に絞って設定してください。
3つのトリガーの設定方法
1. スケジュールトリガー
毎時・毎日・毎週などの定期実行や、指定日時の1回実行に対応します。
CLIからの作成(最速):
> /schedule daily PR review at 9am
Claude Codeが対話形式で設定を確認し、Routineを保存します。自然言語で時刻を指定できます。
Web UIからの作成: claude.ai/code/routines を開き、「New routine」→「Select a trigger」からスケジュールを選択します。プリセット(hourly / daily / weekdays / weekly)の他、CLIで /schedule update を使えばカスタムcron式も設定できます。
スケジュールの最小間隔は1時間です。それより頻繁なcron式は拒否されます。1回限りの実行(one-off)には日数制限は適用されません。
一回限り(one-off)の実行例:
> /schedule in 2 weeks, open a cleanup PR that removes the feature flag
指定日時に1度だけ実行され、完了後は自動で無効化されます。
2. GitHub Eventトリガー
PR・リリースなどのGitHubイベント発生時に自動実行します。
セットアップ:
- claude.ai/code/routines でRoutineを開き、「Edit routine」→「Add another trigger」→「GitHub event」を選択
- Claude GitHub Appのリポジトリへのインストールを求められるので許可する
- リポジトリ・イベント・フィルターを設定して保存
対応イベント:
| イベント | トリガーされる条件 |
|---|---|
| Pull request | opened / closed / assigned / labeled / synchronized 等 |
| Release | created / published / edited / deleted |
フィルター設定例:
# レビュー対象をdraft以外の認証モジュール関連PRに絞る
Base branch: main
Head branch: contains "auth-provider"
Is draft: false
利用可能なフィルター演算子は equals / contains / starts with / is one of / matches regex など。特に matches regex はフィールド全体へのマッチ(部分一致ではない)なので、.*hotfix.* のように書く必要があります。
GitHub Eventトリガーはresearch preview中、ルーティン単位・アカウント単位で時間あたりの上限があります。超過したイベントはウィンドウリセットまでドロップされます。
3. APIトリガー
Routine専用のHTTPエンドポイントを発行し、外部システムからPOSTリクエストで呼び出せます。監視ツール・CDパイプライン・Webhookとの連携に最適です。
設定手順:
- Routineの「Edit routine」→「Add another trigger」→「API」を選択して保存
- 表示されたURLをコピーし、「Generate token」でベアラートークンを発行(表示は1回限り、安全な場所に保存)
呼び出し例:
curl -X POST https://api.anthropic.com/v1/claude_code/routines/trig_01ABCDEFGHJKLMNOPQRSTUVW/fire \
-H "Authorization: Bearer sk-ant-oat01-xxxxx" \
-H "anthropic-beta: experimental-cc-routine-2026-04-01" \
-H "anthropic-version: 2023-06-01" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"text": "Sentry alert SEN-4521 fired in prod. Stack trace attached."}'
成功時のレスポンス:
{
"type": "routine_fire",
"claude_code_session_id": "session_01HJKLMNOPQRSTUVWXYZ",
"claude_code_session_url": "https://claude.ai/code/session_01HJKLMNOPQRSTUVWXYZ"
}
textフィールドにアラート内容・ログ・コンテキストを渡せます。Routineの保存済みプロンプトとともにClaude Codeに渡されます。
experimental-cc-routine-2026-04-01というbetaヘッダーが必要です。APIはresearch preview中で仕様変更の可能性があります。破壊的変更は新しい日付ヘッダーで提供され、過去2世代のヘッダーは引き続き動作します。
実践ユースケース
ユースケース1: 毎朝のPR自動レビュー
チームのコードレビューチェックリストをプロンプトに書き、pull_request.openedトリガーを設定します。
プロンプト例:
このPRについて、以下の観点でレビューを行い、インラインコメントと
サマリーコメントを投稿してください。
- セキュリティ上の問題(SQL injection, XSS等)
- パフォーマンスの懸念点
- ドキュメントと実装の乖離
- テストカバレッジの不足箇所
人間のレビュアーは設計判断に集中でき、機械的なチェック作業から解放されます。
ユースケース2: 監視アラート → 修正PR自動生成
SentryやDatadogのアラートwebhookをAPIトリガーに設定します。アラート発生時にスタックトレースをtextで渡すと、Claudeが該当コードを解析して修正PRを自動作成します。
# Sentryのwebhook設定例(環境変数は実際のものに置き換え)
curl -X POST $ROUTINE_ENDPOINT \
-H "Authorization: Bearer $ROUTINE_TOKEN" \
-H "anthropic-beta: experimental-cc-routine-2026-04-01" \
-H "anthropic-version: 2023-06-01" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d "{\"text\": \"$(echo $SENTRY_ALERT_BODY | jq -Rs .)\"}"
ユースケース3: ドキュメント更新の自動追従
マージされたPRのAPIの変更を検出し、ドキュメントリポジトリへの更新PRを自動作成します。pull_request.closed+is_merged: trueのフィルターでトリガーを設定するだけです。
ユースケース4: バックログの定期整理
毎週月曜朝にスケジュール実行し、未分類のIssueにラベル付け・担当者アサイン・Slackへのサマリー投稿を自動実行します。コネクターにSlack・GitHub・Linearを追加しておくとよいでしょう。
セットアップ方法まとめ
Web UIでの作成(推奨):
- claude.ai/code/routines を開く
- 「New routine」をクリック
- ルーティン名とプロンプトを記入(モデルも選択可)
- GitHubリポジトリを追加
- 環境(ネットワーク・環境変数・セットアップスクリプト)を設定
- トリガーを選択・設定
- コネクターを確認(不要なものは削除してスコープを絞る)
- 「Create」で保存
CLIでの管理コマンド:
# スケジュールRoutineを作成
/schedule daily PR review at 9am
# 一覧表示
/schedule list
# 更新(カスタムcronの設定等)
/schedule update
# 即時実行
/schedule run
ブランチ操作の注意点
デフォルトでは、RoutineはClaude名義のブランチ(claude/プレフィックス)にのみプッシュできます。既存のブランチへのプッシュが必要な場合は、リポジトリ設定で「Allow unrestricted branch pushes」を有効化してください。
既存ブランチへのプッシュは慎重に。 mainブランチへの直接プッシュが許可されないよう、GitHubのブランチ保護ルールを必ず設定してください。
注意点・制限事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プラン | Pro・Max・Team・Enterpriseが対象。APIキーは非対応 |
| 1日の実行上限 | アカウントごとに日次上限あり(claude.ai/code/routines で確認)。※1回限り(one-off)実行は日次上限にカウントされない(ただしサブスクリプション使用量は消費する) |
| 最小スケジュール間隔 | 1時間(それ以下は拒否) |
| GitHub Eventの上限 | research preview中はルーティン単位・アカウント単位で時間あたり上限あり |
| 実行アカウント | GitHubコミット・PR等はRoutine所有者名義 |
| RoutineはCloud専用 | Remote Controlと異なりローカル環境には接続しない |
| コネクターアクセス | 含めたコネクターのすべてのツール(書き込み含む)をApprovalなしで実行可能 |
Local vs Cloud スケジューリングの使い分け
Claude Codeでは複数のスケジューリング手段があります:
| 機能 | 実行場所 | 用途 |
|---|---|---|
| Routines | Anthropicクラウド | マシン停止時も実行が必要なタスク |
| Desktop scheduled tasks | ローカルマシン | ローカルファイルへのアクセスが必要なタスク |
| /loop コマンド | ローカルセッション内 | 現在のセッション中のみの反復処理 |
常時起動のサーバーがある場合はDesktop scheduled tasks、クラウドに任せたい場合はRoutinesが適切です。
まとめ
Claude Code Routinesは、AIエージェントを「対話して使うツール」から「自律的に動作するワークフローエンジン」へと進化させる機能です。
- スケジュールトリガー: 毎日・毎週の定期タスクをCLIの1コマンドで設定
- GitHub Eventトリガー: PR・リリースに反応して自動でコードレビュー・ポートを実行
- APIトリガー: 監視ツール・CDパイプラインと連携してインシデント対応を自動化
プロンプトが「Routineの品質」を決めます。自律実行を前提に、「何をすべきか」と「完了の定義」を明確に書くことが成功のポイントです。
参考リンク
- Automate work with routines — Claude Code Docs — 本記事全体の主要参照先
- Week 16 · April 13–17, 2026 — Claude Code Docs — Routinesリリースウィーク
- Continue local sessions from any device with Remote Control — Claude Code Docs — Remote Controlとの比較
- Channels — Claude Code Docs — Telegram/Discord連携等の外部イベント受信


