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株式会社オーイーシーAdvent Calendar 2024

Day 3

論文読んでみた【Color and Sentiment: A Study of Emotion-Based Color Palettes in Marketing】

Last updated at Posted at 2024-12-03

はじめに

こんにちは!お待ちかねの【この色どんな効果?】シリーズ第3弾です!
第1弾第2弾ではWebデザインに関する色や形についての効果を調査した論文を紹介してきました。
今回は、食品や飲料ブランドのロゴに使われる「色」と、それが消費者の「感情」にどう影響するかを調べた面白い研究を紹介します!
Googleのレビュー約30,000件を解析して、色と感情の関係を明らかにした内容です。

論文

  • タイトル
    Color and Sentiment: A Study of Emotion-Based Color Palettes in Marketing
  • 著者
    Maksat Shagyrov氏,Pakizar Shamoi氏(Kazakh-British Technical University)
  • ソース
    arXiv:https://arxiv.org/abs/2407.16064
  • 公開年月
    2024年7月

概要

ブランドロゴは、消費者に対する印象や感情的な反応に大きな影響を与える重要な要素です。
たとえば

  • 赤いロゴ:エネルギッシュで情熱的な印象を与える
  • 青いロゴ:落ち着きや信頼感を提供する

この研究は、食品業界におけるロゴの色彩が、消費者の感情にどのように影響するかを分析したものです。特に、ロゴに使用される色とGoogle Mapsのレビューに含まれる感情を関連付ける手法を採用し、色彩と感情の関係を検証しています。

関連研究

色彩が人間の感情に与える影響はこれまでも多くの研究で明らかにされてきました。特に、マーケティングでは以下が注目されています

  • 色が「購買意欲」に直結する
  • 「明るい色」はポジティブな感情、「暗い色」は落ち着きや悲しさを引き出す
  • 文脈(文化や産業)によって、色の印象が変わる

本研究は食品業界に特化し、消費者レビューとロゴの色彩を結びつける独自の手法を提案しています。

実験手法

本論文では次の3つのステップで解析を行っています

  • ステップ1:ロゴの色の解析
    対象:食品・飲料業界の644社のロゴ
    手法:AI(K-meansクラスタリング)でロゴ画像を解析し、43種類の色に分類

  • ステップ2:レビューの感情を分析
    対象:Google Mapsのレビュー30,069件
    ツール:AI(VADER、text2emotion)を使ってレビューを「Happy」「Sad」「Fear」などに分類
    感情の強度:ファジーセットを用いて「弱い」から「非常に強い」まで4段階に評価。

  • ステップ3:色と感情の関連付け
    ロゴで使われた色とレビューで現れた感情を統計的に関連付け
    各感情に対応する「カラーパレット」を作成

結果

感情カテゴリとブランドの関連付け

Google Mapsのレビューを解析し、各ブランドにおける主要な感情(Leading Emotion)を以下の通り分類しました:

感情のカテゴリ ブランド数 割合
Happy (幸福感) 399 約62%
Fear (恐怖、不安) 215 約33%
Sad (悲しみ) 23 約4%
Surprise (驚き) 7 約1%
Anger (怒り) 0 0%

感情と色の関連性

🌟 Happy(幸福感)
明るい色(黄色、ライトブルーなど)が多い
消費者にポジティブな印象を与える
👻Fear(恐怖、不安)
暗い色(ダークブルー、グレーなど)が主流
信頼感や慎重さ高級感を与える
🌌 Sad(悲しみ)
青系統の色が多く、冷静さや落ち着きを表現
センチメンタルな印象を与える
🎉 Surprise(驚き)
明るい色と暗い色の組み合わせが目立つ
驚きやワクワク感を演出

カラーパレット例

感情ごとのカラーパレットを以下のように可視化しました

感情 カラーパレット
Happy 🟡 黄色、🩵 ライトブルー、🪙 銀色
Fear 🔵 ダークブルー、⚫ 黒色、🪙 銀色
Sad 🟦 ブルー、⚫ 黒色、🩶 グレー
Surprise 🟡 黄色、🔴 赤色、⚫ 黒色

考察

  • 汎用性の高い色:
    銀、赤、灰色、黒は、どの感情カテゴリでも頻出する。
  • 感情ごとの色の傾向:
    「Happy」:明るい色、「Sad」:青系、「Fear」:暗い色、「Surprise」:コントラストの高い配色。

今後の展望

  • 課題
    食品業界だけを対象としているため、他の分野への一般化にはさらなる調査が必要
  • 展望
    パッケージや広告デザインも含めた分析を行うことで、より広範な結果が得られる可能性
    SNSやその他のデータソースを統合し、感情データの精度向上を目指す

論文を読んでみて

この研究では、食品業界に特化して、ロゴに使用される色とGoogleレビューに含まれる感情を関連付けることで、色彩が「Happy」「Fear」「Sad」などの感情をどのように喚起するかを分析しています。

注目したいのは、食品業界のレビューでは「怒り」が主要な感情としてほとんど見られなかった点です。これは、食品ブランドが消費者にできるだけポジティブな印象を与えることを大切にしているからかもしれません。

有名なチェーン店のロゴを見てみると、カラーパレットの配色が使われていることがわかりますね!

Happy(幸福感)やSurprise(驚き)

Sad(悲しみ)(落ち着いた印象)

Fear(恐怖、不安)(信頼や高級感)

色の力を味方につけて、ブランドをもっと魅力的にしていきましょう! 🎨✨

それでは、次回の記事でお会いしましょう!さようなら~👋

参考文献

この記事は以下を参考にして執筆しました。

  1. Shagyrov, M., & Shamoi, P. (2024). Color and Sentiment: A Study of Emotion-Based Color Palettes in Marketing. arXiv. https://arxiv.org/abs/2407.16064
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