自分のPCがある日いきなり死にました。
12日後、修理から帰ってきて——中身は、ほぼ復活させられました。
理由は、備えを二重にしてたからです。PCまるごとの復元は、市販のバックアップソフトで。それが効かなかった時のために、AIとの協業データだけは相棒(AI)が別に全部保存してくれてました。この記事はその全容の振り返りです。
5章にgithubを利用した、AIとの協業データを逐次バックアップできるgitリポ置いてあります。それだけ持っていって頂いてもOK。
- ある日、PCがいきなり死んだ
作業中に落ちて、それきり二度と起動しませんでした。修理行き。
自分はふだん、AI(Claude Code)と組んで開発をやってます。ここで大事なのは、AIそのものは無事だということ。あれはネットの向こうにいるので、自分のPCが死のうが元気です。
問題は、"自分用に育てた部分"のほうなんですよ。
こう考えてほしい、という取り決め
自分の作業に合わせて作った、専用の道具
「前にこう決めた」「これは失敗した」という判断の記録
プロジェクトごとの、細かい約束事
これ、毎日ちょっとずつ溜まっていくやつです。1年やってると、もう別人になってる。同じAIでも、育てた分だけ噛み合いが違う。
で、そいつは自分のディスクの中にしかいない。
だから「PCが死んだ」は、自分にとって「1年ぶんの噛み合いが死んだ」かもしれない、という話でした。
- 保存は、相棒が勝手にやってくれてた
……という事故が起きうるのは分かってたので、事前に手は打ってありました。
やったことは、そんなに大したことじゃないです。その"育てた部分"のフォルダを丸ごと、非公開の保管庫へ定期的に送る。保管庫はGitHub——プログラマが普段コードを置いてる場所ですね。無料で、非公開にできて、消えない。
で、その仕組みを相棒に作らせました。自分は「こういうのが欲しい」と言っただけ。
作るうえで、こだわったのは2つだけです。
① 秘密は絶対に外に出さない
このフォルダ、実は出しちゃいけないものも一緒に入ってるんですよ。認証の鍵とか、会話のログとか。うっかり全部アップしたら大事故です。
なので「これは除外」ではなく**「これだけ許可」**という作りにしました。逆にしたのがポイントで、うっかりミスが"出さない側"に転ぶようにしたかった。除外リスト方式だと、新しいファイルが増えた時に黙って外へ出ます。許可リスト方式なら、黙って残る。事故った時にどっちへ転ぶかは、最初に決められるので。
② 保存を忘れないようにする
これが本命でした。取り忘れたバックアップは、バックアップじゃないので。
かといって、全自動にはしませんでした。壊れかけの状態を勝手に保存されても困るし、失敗した時に暴走されるのも怖い。
なので、起動するたびに催促してくるようにしました。「しばらく保存してませんよ、しかも変更が溜まってます」と。逆に、保存済みなら何も言わない。うるさいだけの通知は、3日で無視されるようになるので。
**機械の仕事は"忘れさせないこと"まで。最後に押すのは人間。**この線引き、けっこう気に入ってます。
……で、この催促のおかげで、壊れる直前の日の朝にも保存が走ってました。
被害は、最後の保存から壊れるまでの4時間ぶん。それだけ。
- 12日後、帰ってきた(結果発表)
修理から戻ってきて、まずやるのはバックアップソフトからの復元です。
そして電源を入れる瞬間。正直コワかったです。画面が点くまでの十数秒がめちゃくちゃ長い。
……点いた。しかも、ちゃんと"自分のPC"の顔をしてた。
結果はこうです。
ディスクの中身は生きてた(丸ごとバックアップから復元できた)
しかも想定より1日ぶん新しい状態まで戻った
失った時間は、さっきの4時間ぶん
ただし、そのうちほぼ手を止めてたので——やり直しに必要な指示は、実質1個くらい
1年ぶんの噛み合いが死んだかも、から、指示1個。
安堵アンド安堵です。
唯一、惜しかったものがあるとすれば、これです。壊れる直前、相棒に「この計画、そもそも筋がいいのか考えて」と投げたら、話がいい方向に転がったんですよ。その転がり方だけは、再現できるか分からない。手順は復元できても、"あのとき二人で辿り着いた結論"は復元できない。会話は保存対象に入ってないので。
ここは諦めました。同じ問いを投げ直せば近い所には行けると思うんですけど、同じ所に着く保証はない。この感じ、AIと長く組んでる人には分かってもらえる気がします。
次に起きた小さいトラブルはPCあるある。
復元したらすぐAIを走らせて状況確認を始めたんですが、PCの中の"住所"が変わってました。今までDドライブに置いてたものが、Hドライブになってる。中身は同じ、置き場所のラベルだけ違う。
人間は「あー変わったのね」で済むんですけど、相棒はここで平気で迷子になります。だって、メモには「D番地に行け」と書いてあるから。しかもタチが悪いのが、堂々と間違えるんですよ。エラーも出さずに「はい、確認しました」って言う。存在しない番地を確認した気になって。
なので復旧の直後にやったのは、性能の確認じゃなくて「メモに書いてある住所を、全部いま実際に見て確かめる」でした。派手さはゼロですけど、順番としてはこれが最初に来ます。ここを飛ばすと、そのあとの作業が全部"確認したつもり"の上に積み上がるので。
- 帰ってきたPCに、"手紙"が置いてあった
で、ここからが今回の目玉です。
自分、この12日間、もう1台のPCで作業を続けてました。で、そっちで動いてる相棒に、あることをやらせておいたんですよ。
「いつかあのPCが帰ってきた時、そっちで動くAIが読む手紙を書いておいて」
……宛先が、人間じゃないんです。まだ存在すらしていない、生まれ変わって戻ってくる未来の同僚宛。
中身はこんな感じでした。
何が起きたのか(事故の経緯)
あの日、どこまで進んでいたのか、ソフトバックアップとgitバックアップとの差分は何か
帰ってきたら、まず自分を疑え(=君の記憶は12日前で止まってる、信じるな)
どういう順番で最新に追いつけるか
追いついたと言っていいのは、何が確認できた時か
そして実際に帰ってきた日、新しい相棒はそれを読んで、そのとおりに動きました。
これ、書いてる時は正直「まあ念のため」くらいの気持ちだったんですよ。それが、今回打った手の中でいちばん効きました。
理由は、復旧という作業には手順ミスよりタチの悪い罠があって、それがちょうどここだからです。丸ごと復元されたAIは、"gitバックアップより古い12日前のメモ"を最新だと信じ込んで、昨日の続きを堂々と始めます。しかも自信満々で。もう終わってる作業を、もう一度やろうとする。
**「まず自分の記憶を疑え」と、前任者に書き置きさせておく。**これが効いた。
- その仕組み、そのまま置いておきます
——という一連の、claude設定を日々保存し復旧まで行う仕組みを、誰でも使える形にまとめて公開しました。
MITライセンス(=無料・改造自由)です。持っていって好きにしてください。
入ってるものは、ここまで書いてきたやつそのままです。
許可リスト方式で保存する設定(秘密が漏れないやつ)
催促の仕組み(起動時に、必要な時だけ声をかけてくる)
保存と復元の手順書(AIに読ませる形式で書いてあります)
復旧の分岐図(ディスクが生きてる場合/まっさらな場合で、やることが違うので)
"復元直後のAIは古い記憶を信じ込む"という罠と、その対処(4章のやつ)
