「金ジャケ」ってどうやってゲットするんす?
안녕하신게라!パナソニック コネクト株式会社クラウドソリューション部の加賀です。
去年のAWS Summit会場で「金ジャケ」をまとった猛者たちを見かけ、あれはいったい何だったの?と思いませんでしたか。え、展示に集中しててそこまで見てなかったって?
あの金ジャケは、AWS資格を全て取得および維持している者に与えられる証です。今週末に開催されるAWS Summitでも、新たな金ジャケ保持者が増えることでしょう。ようこそ。
この記事は、その金ジャケをまとって社内のライトニングトーク会で演った「超忙しい人向け!ノー勉でAWS全冠を取得する方法」というネタが元になっており、思いのほか反響があったので、社外向けにスライド画像ネタを減らし社内情報を伏せ、畳み掛けず穏やかな文章だけでエッセンスをお届け出来るのか、試してみます。
試験勉強関係の記事でよく見掛ける王道の「参考書n周、Web問題集m周」系とは全く異なる魔改造アプローチです。「ほーん、そんなやり方もあるんやねー」程度に読み物・ポエムとして流してもらえれば。真に受け「ノー勉で再試験(2週間待機)になった!賠償を要求する!」は無しでお願いしますよ。
この「ノー勉」は勉強の軽視ではなく、AWSの設計思想をしっかり腹落ちさせた上で試験対策をしようぜ!という話です。私がほぼノー勉でいけたのはオンプレやクラウド実務の下地(AWSは14年目)があるためで、本当に丸ごと真似るのは大変危険デス。
初心者の方はここで回れ右をせずに「試験への段取り」だけでも持ち帰る気持ちで読んでみてください(詳しくは後半の「作戦」で)。
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社内LT $\huge{超忙しい人向け!ノー勉でAWS全冠を取得する方法}$ |
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結論3つ「筋肉・メンタル・作戦」
超忙しい人向けに結論から。全冠に必要なのは「筋肉・メンタル・作戦」の3つ。以上!
試験申込ボタンを12回押し切れる絶対的な筋肉。
全800問を前に怯まず、合計33万円を突っ込んでいても平常心で回答し続けるメンタル。
そしてその平常心を試験時間トータル28.5時間にわたって維持し続ける作戦。
これだけで全て伝われば話は早いのですが、そうはならんやろ!と思うので、解説していきます。
筋肉
LT導入のツカミとして高橋名人を引き合いに、試験申込ボタン12回を1秒未満(不可能)で猛連打する筋肉のこととしました。人って「いつか受けよう」と思っているうちは、だいたい一生受けないんですよね(少なくとも私はそうでした)。だから「いっちょやってみっか!」の勢いがあるうちに日程を確定させ、受験料を支払い、後に引けない状況を作ってしまう。払ったお金が惜しくて勉強する、というサンクコストを逆手に取った背水の陣を敷くのです。にしても自分筋肉ネタ好き過ぎだろ。
メンタル
800問、全問正解イケますか?大多数は無理なので、ミスに動揺しない胆力のこととしました。
AWSの試験には採点対象外の問題が一定数まぎれていて、ざっくり4問に1問は採点されていない計算です(末尾ふろくの試験ガイドのリンク先に明記された「公開情報」です)。Professionalだと7~8問に1問まで割合が下がり、体感的に受かりにくく感じるのは正しいのかもしれません。
採点外がどれかは判りませんが、向こうが試験品質を上げるために使うのならこちらもメンタル維持に利用するまでです。本番で自信のない問題に当たっても「はいはい、これ採点対象外かもね」と心の中でつぶやいて次へ進む、引きずらないための言い訳として使いましょう。
全冠するために、全問正解する必要はありませんが、全問回答する必要はあります。満点ではなく合格点でいい(下記注意参照)、3割弱は落としても受かる設計です。800問を解き切るため最初からミスを織り込んでおく気持ちの割り切りをメンタルとしました。
調子こいてるなと思われるので告白すると、ある試験で761点(合格点750点)で滑り込みました。あと1問でもミスが増えていたら2週間待機コース。結果画面で変な汗が出ました。
走り高跳びと違い、ギリギリである必要は無いですし、すこぶる心臓に悪くメンタルにも響くので、もう少し余裕が出るように取り組みましょう!
ここで言う「合格点でいい」は、手を抜く口実ではありません。満点を追って一問の取りこぼしに消耗していたら元も子も無いよねというメンタルの守り方の話です。満点を狙う気概そのものを否定するものではありません。むしろ目指せるなら目指すべきです。ただ、それで勉強が重くなってモチベーションが落ち、取れたはずの資格や全冠そのものを取りこぼしては本末転倒よね、という観点です。
作戦
基本はノー勉で押し通します。すべきことは2つ、後述する試験ガイドの熟読と、AWSの設計思想を自分の中で整理しておくこと。マネージドサービスを優先する、最小権限に寄せる、運用を自動化する、コストと可用性のバランスを取るといった「AWSが大切にしている考え方」を腹落ちさせておくと、個々のサービス知識が薄くてもどういう方針の解が好まれるかの見当がつきやすくなります。それでもどうしても用語の見当すらつかない試験ジャンルに当たったときだけは、出題される専門用語とその課題が解決できるのか/できないのかを整理する程度に、最小限の勉強で補強する作戦としました。
時間配分も作戦のうちです。1問に2分もかけていたら、65問を解き切れず時間切れとなります。少しでも迷ったら数秒で見切って見直しフラグを立て、すぐ次へ。全問を一周してからフラグの問題に戻る。この即断即次のリズムを最初に決めておくだけで、時間切れの恐怖からだいぶ解放されます。
私はさらに、同じ曜日・同じ時間・同じ車両・同じ改札から同じ試験会場に通うところまで全てを揃えました。脳のリソースを試験以外に1ミリも使わないコンディション設計です。我ながら超極端ですが、想像以上に効きました(個人差大)。オンライン試験は事前の環境確認が面倒で、開始前から疲れを感じたので避けました。やり方は好みに合わせ試してみるのが良いかと。
実践
あとは実践あるのみ!グッドラック!と、LT自体はこれだけです。
申し込みボタンを筋力で押して逃げ場のない状況に置き、試験ガイドで土俵を知り、取りこぼしに動じず、時間を段取る作戦を遂行する。これで12個の合格を、ほぼノー勉で得ることが出来ました。
「試験ガイド」って読んだことありますか?
LT前のアイスブレイク的な話題の部分もご紹介します。
まず、AWS資格を1つでも取得済みの方に挙手してもらいます。続いて「試験ガイドも読んでるよ」という方だけ手を残してもらうと、7~8割がスッと手を下げる。想像以上に読まれていないことが判明しました(当社比)。
喋ったこととしては、参考書を読むより先に、まず試験ガイドを読んでみるのをおすすめしました。各試験にはAWS公式の「試験ガイド」があって、何が・どのくらいの深さで問われるのか、出題範囲も比率も採点対象外もひととおり書いてあります。まずこれに目を通しておくと、試験の全体像がざっくり掴めたりします。
読んだ後にやることはシンプルで、ガイドに並ぶ用語を眺めて「知っているジャンル」と「触ったことのないジャンル」を選り分けるだけ。分かる範囲はそのまま、見当もつかないジャンルだけ最低限の勉強を足しました。
私の場合はそれがML系の性能評価でしたので、未知の用語の意味と使いどころを補強した程度で挑みました。(LT中、ノー勉が誇大広告であったと謝罪訂正会見を開くネタ展開をしたため「ほぼ」ノー勉という言い方に変わってます)

※空気を読まずLT中に謝罪会見ネタを展開、画像は一部加工(LT主催者撮影、掲載許可済)
ここまで読んで、AWS専用の話じゃないかも、と思った方もいるはず。AzureもGCPも、試験ごとに出題範囲をまとめた公式ドキュメント(スキル概要・試験ガイド)が用意されています。他の資格試験でも通用するんじゃないかな、とも思っています。
【コラム】「この試験で問う範囲では」という枕詞の魔力
試験ガイドを読むと、各試験には明確なスコープがあると分かります。本番で選択肢に迷ったとき、「この試験で問われている範囲では、どれが筋がいいか」と心の中で枕詞を付けるだけで、答えの方向性がぐっと絞れることがあります。膨大なAWSサービスの海から選ぶのではなく、その試験という土俵の上で選ぶ。視点をちょっとズラすだけで、知識が完璧じゃなくても答えにたどり着けたりします。
これらはNDAに触れてません、ミンナニナイショジャナイヨ。
ところで、記事を書きながら、これは資格試験に限った話でもないのかもと思いました。仕事で未知の領域に放り込まれたときも、全部を理解しようとせず、まず「何が問われているのか」の輪郭を掴んで、分からない部分だけ埋めにいく。やってることは全冠とほぼ一緒。知識は後からいくらでも足せます。「まず全体像を眺めてから動く」癖、資格以外の場面でも使えたりするかもですヨ。
まとめ
全冠の秘訣は、膨大なAWSサービスという「敵」を全部覚えようとしないこと。
知るべきは試験ガイドと、自分のコンディションの整え方だけ。
孫子をもじって「彼を知り己を知れば、十二戦殆からず」で、彼(敵)は試験ガイドが丁寧に教えてくれます。
全冠はゴールじゃなく通過点。なんなら3年以内の更新も必要です。上位資格の更新で下位資格も延命されるので現時点で実質5個の再認定で維持できます。大切なのは、取得と再認定の過程で身につく「全体像のつかみ方」と「未知への段取り」です。個々の資格を得るのでは無く、資格の釣り方を覚えて使い続けてもらうみたいな。
これから始める人へ。冒頭でも触れたとおり、真似てほしいのは知識量や業務経験量ではなく「段取り」です。試験ガイドで出題範囲を、AWSの基本理念を押さえ、削れる勉強時間は削る。時短テクと捉えてもらっても構わない、そのくらいの距離感で使ってもらえれば。
また、勤務先に費用補助の仕組みがあるなら、申し込む前に条件の確認を(1敗)。費用も半額バウチャーなどをうまく使えば18万程となり、33万円がまるっと飛ぶわけではありません。ただ、各種制度や金額は変わるので、AWS公式の最新情報を確認してからアクションを。
そんなわけで、火が付いてるうちに1個目を選んで、申込ボタンからレッツ筋肉。
全冠した暁には金ジャケを貰いに一緒に並びましょう1。来年、トゥゲザーしようぜ!
追記
多分これが一番早いと思います。
AWS 認定資格全冠 RTA 完走しました【クリアタイム:35日10時間56分】
私のクリアタイムはガバくて63日10時間54分(同レギュレーションで計測、FoundationalはAssociateと同日受験)でした、週1ペースのほぼ半分で完走はヤバ過ぎてヤバい(語彙力喪失)。
完走した感想としては、金ジャケをキッカケに社内LTで登壇したり、今こうして会社のQiitaで記事を書いたり、と社内外にアウトプットする機会を得たことが一番大きい気がしています。ROIは金額換算不可なのかもしれません。
【コラム】「全冠」「金ジャケ」「表彰プログラム」は別物
混同されがちなので、3つを整理しておきます。
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全冠
対象資格をすべて取得・維持している状態の通称。所属や会社は無関係で、Credly上に全バッジが並べば達成です。 -
金ジャケ
私が取得した昨年時点では、AWS Summit会場でCredlyの全バッジを提示すれば受け取れました。表彰プログラムのSWAG1(ノベルティ詰め合わせ)には含まれず。 -
表彰プログラム「Japan All AWS Certifications Engineers」
APN(AWS Partner Network)参加企業への所属と申請が条件で、資格は申込時点で有効である必要があります。所属と実名が公開される点も全冠との違いです(同じ苗字の人、居そうで居ないのね)。
つまり「全冠=金ジャケ入手」と「表彰プログラムへの選出」は別レイヤーの話。金ジャケの配布条件は年次で変わるので、最新情報は公式クライテリアや公式blogでご確認ください。
ふろく AWS認定資格一覧と「試験ガイド」リンク(2025年時点)
| 略称 | 正式名称 | 受験料(円) | 時間 (分) |
問題数(問) | 採点外(問) | 合格点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CLF | AWS Certified Cloud Practitioner | 15,000 | 90 | 65 | 15 | 700 |
| AIF | AWS Certified AI Practitioner | 15,000 | 90 | 65 | 15 | 700 |
| MLA | AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate | 20,000 | 130 | 65 | 15 | 720 |
| DEA | AWS Certified Data Engineer - Associate | 20,000 | 130 | 65 | 15 | 720 |
| DVA | AWS Certified Developer - Associate | 20,000 | 130 | 65 | 15 | 720 |
| SAA | AWS Certified Solutions Architect - Associate | 20,000 | 130 | 65 | 15 | 720 |
| SOA | AWS Certified SysOps Administrator - Associate | 20,000 | 130 | 65 | 15 | 720 |
| DOP | AWS Certified DevOps Engineer - Professional | 40,000 | 180 | 75 | 10 | 750 |
| SAP | AWS Certified Solutions Architect - Professional | 40,000 | 180 | 75 | 10 | 750 |
| ANS | AWS Certified Advanced Networking - Specialty | 40,000 | 170 | 65 | 15 | 750 |
| MLS | AWS Certified Machine Learning - Specialty | 40,000 | 180 | 65 | 15 | 750 |
| SCS | AWS Certified Security - Specialty | 40,000 | 170 | 65 | 15 | 750 |
| 合計 | ― | 330,000 | 1,710 (28.5時間) |
800 | 170 | ― |
各試験名は、AWS公式の試験ガイド(一覧はこちら)にリンクしています。リンク先は常に最新版のため、上の数値(私が受験した2025年1-3月時点)とは試験バージョンが異なる場合があります。受験料や試験仕様は時期や為替、制度改定で変わります。
2026年版の全冠クライテリアでは、SysOps Administrator – Associateに代えてCloudOps Engineer – Associateを、Machine Learning – Specialtyに代えてGenerative AI Developer – Professionalを選べるようになっています。受験前にAWS公式の最新情報を必ずご確認ください。
お断り
記事内容は個人の見解であり、所属組織の立場や戦略・意見を代表するものではありません。
あくまでエンジニアとしての経験や考えを発信していますので、ご了承ください。

