記事内容

DockerでMySQLを起動する際に、プロジェクト内に配置したDDLファイル（テーブル作成用SQLスクリプト）を読み込ませて自動でテーブルを作成する方法を以下に示します。

手順

1. DDLファイルの準備

プロジェクト内にDDLファイル（例: schema.sql）を作成します。このファイルには、必要なテーブル作成SQLを記述します。

例: `schema.sql`

CREATE TABLE IF NOT EXISTS users (
    id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
    username VARCHAR(50) NOT NULL UNIQUE,
    password VARCHAR(255) NOT NULL,
    role VARCHAR(20) NOT NULL
);

CREATE TABLE IF NOT EXISTS timetables (
    id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
    user_id INT NOT NULL,
    day_of_week VARCHAR(10) NOT NULL,
    start_time TIME NOT NULL,
    end_time TIME NOT NULL,
    subject VARCHAR(100) NOT NULL,
    FOREIGN KEY (user_id) REFERENCES users(id) ON DELETE CASCADE
);

2. DDLファイルの配置

DDLファイルをプロジェクトディレクトリ内に配置し、Dockerコンテナにマウントするように設定します。

配置例:

project-root/
├── docker-compose.yml
├── sql/
│   └── schema.sql

3. `docker-compose.yml`を修正

MySQLのvolumes設定を追加し、DDLファイルをコンテナ内の/docker-entrypoint-initdb.d/にマウントします。

修正後の`docker-compose.yml`

version: '3.8'
services:
  mysql:
    image: mysql:8.0
    container_name: app-mysql
    environment:
      MYSQL_ROOT_PASSWORD: yourpassword
      MYSQL_DATABASE: app_db
    ports:
      - "3306:3306"
    volumes:
      # コンテナ内のディレクトリとボリュームを関連づける
      - mysql-data:/var/lib/mysql
      - ./sql/:/docker-entrypoint-initdb.d/
volumes:
  # ボリュームの名前
  mysql-data:

`/var/lib/mysql`:

MySQL サーバーがデータを保存するデフォルトのディレクトリ。データベースの実際の内容（テーブルやインデックスなど）はこの中に保存されます。これをボリュームと関連づけることで、コンテナを削除した場合でも、データベースの内容が失われず、また、再起動や新しい MySQL コンテナの立ち上げ時に、以前のデータを再利用できます

4. MySQLの初期化動作

MySQL公式Dockerイメージでは、コンテナ起動時に/docker-entrypoint-initdb.d/ディレクトリ内にあるすべての.sqlや.shスクリプトを自動的に実行します。これにより、DDLファイルが適用されます。

Dockerコンテナの起動
```
cd docker
docker-compose up -d
```
テーブル作成の確認
コンテナ内でMySQLに接続し、テーブルが作成されていることを確認します。
```
docker exec -it timetable-mysql mysql -u root -p
```
MySQLプロンプトで以下を実行:
```
USE timetable_db;
SHOW TABLES;
```

注意点

1. 初回起動時のみ実行される

/docker-entrypoint-initdb.d/内のスクリプトは、MySQLデータベースが初期化される際（つまり、データボリュームが空の状態でコンテナを起動したとき）にのみ実行されます。
再度SQLを流し直したい場合は、以下コマンドでデータボリュームを一旦空にしてから、コンテナを再起動してください。
```
docker-compose down --volume
docker-compose up --build
```

2. ファイル名の注意

.sqlファイルは順番に実行されるため、複数ファイルを使用する場合は名前に番号を付けるとよいです（例: 001_schema.sql, 002_data.sql）。

3. DDLファイルの更新

テーブル構造を更新したい場合は、コンテナを削除し、ボリュームをクリアした上で再度起動する必要があります。

以上