Gradleでビルドを実行した際には、複数のタスクが自動的に処理され、最終的に成果物(アプリケーションやライブラリ)が生成されます。以下では、Gradleビルドの基本的な流れと、それぞれのステップで何が起きるのかを説明します。
1. Gradleビルドの基本ステップ
Gradleのビルドは、通常、以下の3つのフェーズを経て進行します。
- Initialization(初期化)フェーズ
- Configuration(設定)フェーズ
- Execution(実行)フェーズ
1. Initializationフェーズ(初期化フェーズ)
このフェーズでは、Gradleがプロジェクトの設定を読み込み、どのプロジェクトがビルドに含まれるかを決定します。プロジェクトがシングルプロジェクトなのか、マルチプロジェクトなのかもここで判定されます。
主な処理:
-
settings.gradle
ファイルが読み込まれ、どのプロジェクトが参加するかが判断されます。 - マルチプロジェクト構成の場合は、すべてのプロジェクトが識別されます。
2. Configurationフェーズ(設定フェーズ)
Gradleはビルドスクリプト(build.gradle
)を評価し、どのタスクが必要か、どの順序で実行するかを決定します。タスクの依存関係が解決され、この時点で実際のビルドプロセスに向けた準備が整います。
主な処理:
-
build.gradle
ファイルを解析し、どのプラグインが使用されているか、どのタスクが定義されているかを決定します。 - 必要な外部依存関係が解析され、Gradleが自動的にライブラリをダウンロードすることがあります(通常は
repositories
ブロックで指定された場所から)。 - タスクの依存関係が設定され、どの順序でタスクが実行されるかが決まります。
3. Executionフェーズ(実行フェーズ)
このフェーズでは、設定されたタスクが実際に実行されます。build
タスクなど、特定の目標に向けて一連のタスクが順次実行されます。
主な処理:
- 各タスクが依存関係に従って実行されます。例えば、コンパイルタスクの前に、必要に応じてクリーンタスクが実行されることがあります。
- ビルドの実行中には、以下のような一般的なタスクが順番に実行されます:
-
clean
: 以前のビルド成果物(build/
ディレクトリ内のファイル)を削除します。 -
compileJava
: ソースコード(src/main/java
)をコンパイルし、クラスファイルを生成します。 -
processResources
: リソースファイル(src/main/resources
)を処理して、クラスファイルと一緒に出力フォルダにコピーします。 -
classes
: コンパイルされたクラスファイルとリソースをbuild/classes/java/main/
に出力します。 -
jar
: クラスファイルやリソースをまとめて、最終的なJAR
ファイルを生成します(build/libs/
ディレクトリに配置)。 -
test
: 単体テストがある場合、テストクラスを実行して結果を生成します(build/reports/tests
にテストレポートが出力されます)。
-
ビルド後に何が生成されるか
-
コンパイル結果:
- Javaのソースコードがコンパイルされ、
build/classes/java/main/
フォルダに.class
ファイルとして出力されます。
- Javaのソースコードがコンパイルされ、
-
成果物の生成:
-
build/libs/
フォルダに、JAR
ファイルまたはWAR
ファイルなどの成果物が生成されます(プロジェクトによる)。
-
-
テスト結果:
-
build/reports/tests/
フォルダに、テストの結果がレポートとして保存されます。成功したテストや失敗したテストの詳細なレポートが含まれます。
-
-
依存関係のダウンロード:
- 外部ライブラリがまだローカルにキャッシュされていない場合、Gradleがそれらをリモートリポジトリ(例:Maven Central)からダウンロードし、
~/.gradle/caches/
にキャッシュします。
- 外部ライブラリがまだローカルにキャッシュされていない場合、Gradleがそれらをリモートリポジトリ(例:Maven Central)からダウンロードし、
ビルドが成功すると
ビルドが成功すると、以下のメッセージが表示されます。
BUILD SUCCESSFUL in 3s
3 actionable tasks: 3 executed
-
BUILD SUCCESSFUL
: ビルドが成功したことを示します。 -
3 actionable tasks: 3 executed
: 実行されたタスク数が表示されます。
まとめ
Gradleでビルドを実行すると、以下のプロセスが進行します:
- Gradleはプロジェクトの設定を読み込む。
-
build.gradle
で定義されたタスクや依存関係を解決し、タスクの実行順序を決定。 - 各タスクが実行され、最終的な成果物(JARファイル、WARファイルなど)が生成され、テストが実行される。
これにより、プロジェクトがビルドされ、成果物としてデプロイ可能なファイルが生成されます。