本記事は2025年12月時点での筆者のポエム。技術的な内容は書いていない。BIを勉強してきたけど生成AIの波に飲み込まれるか不安、または「そのうちAIが全部やってくれるでしょ」と夢見るお偉いさんの期待値山吹色の波紋疾走で容赦なく波紋を流し込まれたBI担当者に向けたもの。
なお、AIの進化は目まぐるしいので現時点の備忘録(自分で将来見返してみたい)。あと、BIはPower BI前提で。他はそんなに知らないから。
AI(Artificial Intelligence)、BI(Business Intelligence)はわかるけど、「CI」とは一体何なのか??最後まで読めばわかる!
1. 現時点のAIとBIの状況
1.1. AI全般
特に断りがない限り、AI=生成AIとして話を進める。
M365 Copilot Chatはよく使っていたが、夏くらいからGPT-5が使えるようになって、一気に実用的になった。内容が深くなったし、ハルシネーションがかなり減った。元々Copilot Chatは裏側でPythonの実行もできたので、ダミー データの作成もGPT-5でかなり手軽になったのがうれしい。
1.2. Power BI(Fabric)とAI
2025年はかなりの進化があったが、個別の機能の評価を書くのは本記事の趣旨ではないので、また別の機会にでも。
ここで言っておきたいのは、チャットで指示するだけで、BIの機能(ETL~モデリング~可視化)を一気にできるようにはなっていないということ。BIベンダーのリーダー(と、Gartnerが言っている)でできていないということはそれだけ難しいということを理解しておくべき。
2. メイン クレーム
ここで結論。BIで実現していることを、AIで気軽に実現するのは無理。つまり、AIがあればBIはいらないとは言えないということ。もちろん、半年先がわからないのがAIではあるが。ただ、その根拠をここで示しておくことで、今後実現に近づいているかどうかはわかるんじゃないかと。
つらつらと書いていこう。
2.1. AIはかけ算
「AIはかけ算」とは、AIは人の能力を強化するが、足し算ではなくかけ算で強化するということ。ゼロに何をかけてもゼロ。マイナスは悲惨。悲しいことに、AIによって人の価値の差がどんどん拡大していくことになる。
ここで70年近く前の名言を:
「オオカミにとっての自由は、羊にとっての死を意味する。」 - Isaiah Berlin, 1958
だから人を育てようという話なんで、そこにも触れつつ論を進めよう。
2.2. 適切な課題・ゴール設定
「AIがあればBIはいらない」とならないのは、適切に課題・ゴール設定をできていないから。しばしば、やりたいことの裏には隠れた課題があり、それを解決しない限り延々と悩んだり別の問題が発生しがち。表面的にやりたいことの実現だけ進めるのは、しばしば悪手となる。
BIの文脈では、以下が重要な、そしてBI成熟度の低い組織で認識されていない課題となる(詳細は後述):
- KPIが存在しない
- プロセスが人依存
- データ ストーリーがない
- 非効率なモデリング
BIを使ったことがなければ、これらの課題に気付くこともない。だから、対現時点ではAIだけで解決できそうにない。つまり「AIがあればBIはいらない」とはならない。
⚠AIベンダーに気を付けろ
この辺り、AIベンダーも大概ヤバくて、「データ サイエンティストにデータを用意してもらうのが大変・時間がかかる・そもそもいないので、AIにやらせようとしているが、処理に時間がかかり過ぎたりしてなかなかうまくいかない。」という話を聞いたことがある(2月くらいかな?)。データ エンジニアではなく「データ サイエンティストにデータを用意してもらう」という発言から、このベンダーにデータ分析基盤の全般的な知識が欠けているということが透けて見えていて、勉強不足のままAI頼みで解決しようとしてもそりゃ無理だなと。勉強していないのはベンダーも同じだったり。(高度なツールを頭の悪い使い方しちゃっている。)
まじでAIバブル。2026年にはいい加減改善して欲しい。
2.3. 先に進むためには?
「AIがあればBIはいらない」じゃないんだから、BIをちゃんと勉強しようということ。
重要なのは、AIは勉強のサポートで役に立つということ。表面的な課題の解決(やり方を調べる)じゃなくて、勉強のサポートね。
でも、AIと勉強するだけじゃ上手くいかないこともあるから、コミュニティで一緒に勉強することも大事。人が気付きを与えてくれるから。
で、実力さえつければ、先に書いたとおり、AIはかけ算で効いてくるので、あなたの価値がグッと高まりますよと。
だからなおさらBIを勉強しよう!
3. ケース スタディ
先の課題を深堀りしよう。課題の順番は粒度の大きさ順。つまり、手前の課題はその先の課題も内包している。先に進むほど活用度が高い状態であるものの、それでも何も考えずにAIを表面的な課題解決になっちゃうよという感じで。
3.1. KPIが存在しない
何らかの組織単位(部門や部)でKGIはあるものの、それをブレーク ダウンしたKPIはないというケース。どうやったらKGIを達成できるかを定量的に判断できていない状態。全くデータ ドリブンではない。(そもそもBI以前の話なんだけど、放っておくとBIじゃない闇の世界に迷い込んでしまうので、この記事でカバーする。)
解決するには、とにかくKPIを設定するしかない。そしてそれを定点観測しつつアドホック分析も行うこと。そのためのオペレーションを整えること(=BIを活用すること)。
ただ、様々な問題に直面することは明らかなので、一筋縄ではいかないだろう:
- 分析をやるのはKGI未達が本当にヤバくなってきてから。なので誰がやるかも決まっていない= データ分析担当者というペルソナ不在 。
- 分析しようとしても、 どこにデータがあるか、どう組み合わせたらよいかわからない 。
- データ分析担当者不在なので、データの整合性、分析軸の設定、統計手法の適用、見る順序などの ノウハウも不在 。
- 当該チームはデータ分析をしない前提で人員が割り当てられているため、 時間が取れない 。
- さらに能力もその前提で割り当てられているため、 適性が合わず育成も困難 。
- メンバーにとってはこれまで何十年もそうやってきたから、 数字の取り扱いに関する面倒な勉強をやりたくない 。
- そもそも 数字以外(ハート💖)で説明したい となりがち。
- 数字・分析結果を出しても 過剰な精度(財務会計との完全一致)や、解決策とのセットを強要 されたりするとやばい。これらが行き過ぎると、 数字そのものが出なくなる ので。たまにはハッピーセットにおもちゃが無くても良いじゃないか(ダメかも。。)。
組織変革に近くなるので、計画的に進めよう。ここまでヤバいとAIで解決できないのは明らか。特にデータ分析を甘く見ていたorデータ ドリブンを軽視していたんじゃしょうがない。
3.2. プロセスが人依存
元々数字は見ているが、Excel中心・人依存の人海戦術(人間クエリ)でやっていますというケース。前のケースに比べれば全然マシ。
表面的な解決としては、手作業をAIで自動化してうれCという感じで。最近はCopilot ChatがデータをPythonで処理してくれるし、Excelエージェント モードもあったりする。
ただ、その方法には問題が残っている:
- 都度AIでやるならお祈り状態。正確性の担保は?
- 都度AIで解決なので、部分最適になりがち。
- 大量のデータを扱えるか?
- プロセスに人が組み込まれており、人依存を無くせない。
根本はオペレーション軽視。元々人海戦術なので仕方ない。
Power BIでは、定量分析のための機能をエンドツーエンドで提供しているので、それを使えばいいだけ。
3.3. データ ストーリーがない
Power BIは導入されていて、セマンティック モデルはある。が、レポートが雑多な状態。これを見れば十分という状態にないため、Excelによるアドホック分析が多い。これは、レポート開発者とビジネス ユーザーが別々のケースで起こりがち。
表面的には、AIを使って必要な数字・グラフを都度作れば問題は解決される(=Excelアドホック分析が楽になる)ように思われる。
レポートをどう位置付けているかが問題。レポートはただの可視化ではないし、Excelの置き換えでもない。 レポートの核心はデータ分析の形式知化。 このデータはこう分析するという型=データ ストーリーを提供するもの 。どうやったらデータからインサイトを得られるかの試行錯誤の結果を形にしたもの。それがインテリジェンス。言わば暗黙知の可視化。基本はレポート、アドホックはExcelという流れを用意すること。 暗黙知=人依存をどこまで排除するかという観点で、レポートを作りこもう 。
という訳で、形式知化されていなければ、レポートはただの数字・グラフの羅列。AIでそれを増殖させても意味がないでしょ。
3.4. 非効率なモデリング
上記ケースと同様、Power BIは導入されていて、セマンティック モデルはある。が、欲しいメジャーをうまく書けずに、集計できていない状態。
表面的には、AIに聞いてメジャーを書いてもらって解決できそう。でも、程度に依るけど、AIに聞いた人はどこまでDAXを理解しているかな?
これは、BIエンジニアというかデータ モデラーの不在(というか、ペルソナとして認識されていない)で起きている問題。スター スキーマにもなっておらず、ぐちゃぐちゃなセマンティック モデル(シングルテーブルを含む)のまま、結果だけ得られれば良いとAIに解決をゆだねている。
この場合の解決できていない問題:
- メジャーの中身を理解していない。精査は特定ケースの数値検証しかできないため、漏れるとアウト。
- メジャーの乱立。要件変更時の保守どうするのさ?ベース メジャー×タイム インテリジェンス系の分、メジャーを書いていると、ベースメジャー変更時(例えば日付の認識タイミングのような微妙な要件変更)に個々に直すのは大変じゃん。
- パフォーマンス上の問題。ベスト プラクティスに従うだけではなく、最適化のためにあえて外すなど微妙な判断が必要になる。
これも、ただ表面的な解決ではダメ。Power BIが提供している機能を知った上でちゃんと使うこと。モデリングはスタースキーマ、管理はTMDLとGit、メジャー作成はUDF(User Defined Function)・計算グループの活用など。 全部使う必要はないが、知った上で要否を判断する必要はある 。
これらをちゃんと判断できるBIエンジニアを用意しないと。
4. 終わりに(&CIとは)
この章は先に書いたことの繰り返し。
AIによるBIの置き換えができるなら、Microsoftがとっくにやっている。そうじゃないということの意味を改めて考えるべき。
だからこそ、ちゃんとPower BIを勉強しよう。AIは勉強を助けてくれるし、コミュニティで勉強するともっと効果的だよという結論は先に書いたとおり。Power BI勉強会をよろしく!
あと、CIとは、(AIもBIもあるけど)「 ち ゃんと イ ンテリジェンス を使い分けよう/使いこなそう」でした。ネタタイトルすみません。今度はDIを考えます。来年はDIの時代になるッ!再来年はEIだッッ!!