なぜAIを活用したか?
LITALICOではSaaS組織メンバーを集めた全体会をクオーター毎に行っております。
ただ全4回の内、オフラインでの全体会は年2回しか実施できません。遠方メンバーも集まるこの貴重な時間を、有意義なものにする必要があります。
特に今回はワークショップを中心に据え、参加者にとってより実りのある時間にしたいと考えました。そこで、従来の運営ノウハウにプラスアルファの要素として「AI」を活用し、効率と質の双方を追求した新しい全体会の形を模索しました。
AI活用でやったこと & 結果どうなったか?
今回は大きく「準備編」と「ワーク編」の2つのフェーズでAIを活用しました。
準備編:事務作業とクリエイティブの効率化
- 座席の割り振り
ワークは2つ実施し、前半のワークについては、自己紹介に近い様なワークを実施しました。
出欠リストを元に、職種や担当プロダクトが重ならないよう、意図的に繋がりを分散させる形で座席の割り振りをAIに行わせました。
結果:
ベース作成は一瞬で終わりました。一部、AIでは判断しきれなかった箇所(まだ属性が偏っている等)がありましたが、そこを目視で確認し、手作業で少し調整するだけで適切なリストが完成しました。ゼロから考える時間や、振り分けの実施工数など大幅に削減されました。 - 資料用イメージ画像の作成
当日のスライド資料に使用するイメージ画像を、画像生成AI(Banana Pro)で作成し、資料の一部として配置しました。
結果:
これまではWebでフリー素材を探していましたが、どうしても画風がバラバラになり、資料全体の統一感が損なわれることがありました。今回はAIでトーンを揃えて生成できたため、統一感のある洗練された資料を作成できました。
参考:作成したイメージ画像
ワーク編:議論の加速とアウトプットの標準化
- 意見の集約・案出しのサポート
ワークショップ内での意見集約や、ネクストアクションの案出しにAIを活用しました。ただし、付箋に書く内容はチームの「オリジナリティ(根本部分)」そのものであるため、そこは必ず自分たちの手で書き出すフローにしました。
また、案だしについてもAIの回答をそのまま使うのではなく、必ずチームで調整するよう注意喚起を行いました。
結果:
かなりボリュームのあるワーク内容で、通常の手法であれば時間内に終わらない恐れがありましたが、AIによる「ブースト」のおかげで(多少の延長はあったものの)全チームが時間内にワークを完遂できました。 - アウトプットのインフォグラフィック化
全チームが同じ形式でアウトプットを出せるよう、GemとBanana Proを使って議論結果のインフォグラフィック化を実施しました。
結果:
チームごとに発表資料のレイアウトやデザインに差が出ることなく、ほぼ均一なアウトプットが生成されました。これにより、見た目に惑わされず、内容や情報の把握が非常にしやすい状態を作ることができました。
参考:Gem✕Banana Proでインフォグラフィック(内容はダミーです。)
他に活用できそうと考えた点
振り返ってみて、今回は実装に至りませんでしたが「次はAIでこう効率化できそうだ」と感じたポイントです。
ワークのアイデア出し自体への活用
今回は運営メンバーのアイデアをベースにワークを設計しましたが、企画段階からAIを活用できそうです。過去のアイデアや運営メンバーのメモを読み込ませて、「新規アイデアの創出」や「複数アイデアのマージ」を行わせることで、より多角的な企画が作れると感じました。
資料のたたき台作成
資料のテンプレートは決まっていますが、ワークの進め方など中身の構成は毎回異なります。決定事項を入力し、資料の構成案や文章の「たたき台」作成までをAIに任せることで、資料作成の工数をさらに圧縮できそうです。
タイムスケジューリングの提案
今回、ワーク時間が延長してしまった反省点からの気づきです。すべての内容と所要時間をAIに入力し、シミュレーションしてもらうことで、「無理のないスケジュールか?」「時間を守るならどこを削るべきか?」といった客観的なアドバイスをもらう使い方が有効だと感じました。
感想
AIを本格的に活用した全体会は初めての試みでしたが、運営者目線で見ると、事前準備から当日の進行までかなりの時間短縮と効率化ができると実感しました。(質の面については、今後アンケートを収集して検証予定)
特に、ワークショップにおける「意見の集約」と「アクションのアイデア出し」は、通常最も時間がかかり議論も停滞しやすい工程ですが、ここをAIにサポートさせることで円滑に進められたのが大きな成果でした。
また、今回のワークはオフラインならではの体験としてあえて「物理的な付箋」を使用しましたが、このプロセス自体はオンラインでも十分再現可能です。
例えば、付箋の代わりにスプレッドシートへ参加者が意見を入力し、それをそのままAIにかけるというフローにすれば、リモート開催でも同様のアウトプットが出せると感じました。
ただし、全てをAI任せにするのは禁物です。最終的なアウトプットには、「チームの状況」や「人間の文脈」を加味する必要がある。この点は、AI時代だからこそ必ず押さえておかなければならないポイントだと再認識しました。
今後も進化の速いAI技術をキャッチアップし、イベント運営はもちろん、普段の業務にも積極的に活用していきたいと思います。