はじめに
こんにちは! 足立です!
2025年12月20日(土)に開催された「JAWS-UG Presents - AI Builders Day」に参加しました。
この記事では、自分が聴講したセッションの概要とその学びを中心にまとめていきます。
AI Builders Day とは?
「AI Builders Day」とは一言でいうと、 AWSで生成AIアプリを作るビルダー(開発者)やこれからAIエージェント構築に挑戦したい方が「600人以上」集まる「オフライン限定」の学習・交流イベント です。
非常に人気が高いイベントで、一般参加の申し込みが 650名(先着順)のところ800人以上 が申し込んだほど。当日は池袋サンシャインシティで、隣の「呪術廻戦」ブースに負けないくらい、非常に熱い議論が交わされていました!
参加者は20代・30代を中心に70代までと幅広く、「技術イベントは今回が初めて」と「オンラインのみ経験あり」の方を合わせて 約5割の人がオフラインの技術イベントに初参加 でした。そのため、普段は交流できない方とも話せる機会となっていました。
この記事は、イベントに参加できなかった方や、参加したが自分とは違うセッションを見た方に向けて、私視点の学びや現場の熱量をお届けしたいと思います!
【キーノート1】まだ間に合う!Agentic AI on AWSの現在地をやさしく一挙おさらい
登壇者:みのるん さん(KDDIアジャイル開発センター株式会社)
資料:
先日、AWS Heroesプログラムの「AI Hero」部門に日本人第一号として選出された、みのるんさんのキーノートからイベントが始まります。
2025年は「AIエージェントを"使う"元年」でした。しかし、2026年は「AIエージェントを"構築する"元年」 と位置づけ、AIエージェント開発への参加を呼びかけていました。
まず、AWSにおけるAgentic AI(AIエージェント)の現在地とその構築方法について、AWSにおける生成AIアプリ開発のサービスをおさらいします。
2022年の「ChatGPT」の衝撃以来、AWSでは「Bedrock」によるサーバーレスなAIチャットボットの構築、「Knowledge Bases」によるRAG、「S3 Vectors」による安価なベクトルストアなど、様々なAIサービスがリリースされてきました。
そして今年2025年には、AIエージェントの構築フレームワーク「Strands Agents」と、本番運用のためのビルディングブロック群「Bedrock AgentCore」が発表され、AIエージェントを作るハードルが大幅に下がりました。
みのるんさんが繰り返し強調されていたのは 「AIエージェント開発をやったことない人でも"まだ間に合う"こと」 です。フレームワークや「Kiro」などの開発者支援ツールも充実しているため、初心者でもAIエージェント構築を始められるとのことです。
そして 「コミュニティも大事なビルディングブロックの一つ!」 というメッセージでキーノートを締めくくりました。
個人的にはAIエージェント開発は 「触ったことがある程度」 でかなり遅れているという思いがあったため、みのるんさんのメッセージはとても勇気づけられました!
また、re:InventのキーノートでDr. Werner(Amazon CTO)が語っていた 「Learning is Social」 というメッセージと重なり胸が熱くなりました!
【キーノート2】 The Future of AI: Building Intelligent Systems That Think and Act
登壇者:Shakeel Ahmad さん (Specialist Solutions Architect Leader, APJ - AWS)
資料:未公開
続くキーノートでは、オーストラリアから来たAWSのShakeel Ahmad さんが登壇され、Agentic AI(AIエージェント)時代における「ビルダー」の役割の変化や行動指針 が語られました。
GenAI(生成AI)の目的が「生成や検索」であったのに対し、Agentic AI(AIエージェント)の目的は 「ゴールの達成」(例:メール送信、フライト予約)にあります。
そうした中で人間(開発者)の役割は「コーディング」から「設計と仕様作成」に移ります。「コーディングは最も簡単な部分」 と主張し、「ビジネス課題の理解、アーキテクチャの設計などに時間を費やすべきだ」 と強調されていました。
なにより重要なのは、「技術を起点にするのではなく、ビジネスの課題から逆算すること」 として、「Working Backwards(ゴールから逆算するAmazonの行動理念)」の大切さを説いていました。
AIエージェントを設計し動かす上で重要なのは、多層的な「基盤(Foundations)」を意識することです。
- Agentic AI Foundations: ランタイム、ゲートウェイ、記憶、評価など
- GenAI Foundations: 基盤モデル、カスタマイズ、ガードレールなど
- Data Foundations: データベース、データレイク、ベクトルストアなど
- Cloud Foundations: コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、セキュリティなど
個人的に重要だと感じたのは、生成AIを支えるのは「データ」や「セキュリティ」の土台だ という点です。AIエージェントに任せる上でも「基礎」を疎かにしないよう気を付けたい所です。
最後にビルダー(開発者)が取るべき行動指針として4つを挙げていました。
- Learn and Be Curious: 変化が速い中で常に好奇心を持ち、新しい技術を学び続けること
- Get Hands On: 完璧に理解していなくても、まずは実際に触ってみてアイデアを形にしてみること
- Challenge Yourself: 日々の業務において「AIで解決できないか」を問い続けること
- Responsible AI: どこまでをAIに任せ、どこで人間が介入すべきかを常に意識すること
個人的には、行動指針の中で「Learn and Be Curious」と「Get Hands On」が特に刺さりました。変化する時代にあって、常に学び続けることと、自分で検証して肌感覚を持ち続けること が求められると再認識しました!
【午後の部 - AWSセッション】AI 駆動開発ライフサイクル(AI-DLC):ソフトウェアエンジニアリングの再構築
登壇者:金森 政雄 さん(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
資料:
本イベントのプラチナスポンサーであるAWS社のセッションで、新しいソフトウェア開発の考え方 「AI 駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)」 が提唱されました。
まず「AI開発ツールを導入しても期待したほど開発速度が向上しない」といったお客様の声を例に挙げ、たった1つの本質的な問いは 「段階的な改善ではなく、どうやればパラダイムシフトを起こせるか?」 だと述べます。
従来のAIを使った開発では、以下のどちらかでした。
- AI-Assisted Development: AIにすべてを委ねるバイブコーディング。単純なシナリオ以外ではほとんど機能せず、信頼性に欠ける。
- AI-Managed Development: AIを常に監視しながら、小さなタスクだけを任せる手法。AIの可能性を引き出せず、結局人間が頑張る羽目に陥る。
AI-Driven Development Lifecycle(AI-DLC)では 「AIがプロセスを制御し、人間が最終責任を持つ」 ことで課題を解決します。具体的には 「プラン→レビュー→実行→レビュー」のサイクルを回し続ける ことで品質を担保します。
ここで重要なのは、AI-DLCが単に成果物の品質を担保するだけでなく、「チームのダイナミックなコラボレーションを加速する」 という点です。開発者の役割が、「指示されたタスクのコード化」から 「ビジネスビジョンのコード化」 へと転換します。
具体例として、AI-DLCの実践により、当初2ヶ月を予定していた作業(6つの主要モジュールの設計からデプロイまで)を「わずか48時間」で達成した事例が紹介されていました。
個人的には、一人で小規模なアプリを開発する上ではVibe Codingが有効ですが、それをチームや本番環境で使う上では品質面にかなり不安があり、個人開発とチーム開発の間でギャップを感じていました。AI-DLCの考え方はこのギャップを埋める実践として非常に重要だと感じました!
実践する上では絶えず改善と微調整が必要になると思いますが、まずはセッションで紹介されていたAI-DLCのワークショップを試してみます!
AI Driven Development Life Cycle (AIDLC) Workshop
【午後の部 - 45分LT】AgentCore BrowserとClaude Codeスキルを活用した『初手AI』を実現する業務自動化AIエージェント基盤
登壇者:遠藤 大介 さん(株式会社ジェネラティブエージェンツ)
資料:未公開
このセッションでは、株式会社ジェネラティブエージェンツが実現を目指す「初手AI」の考え方、ClaudeCodeを汎用エージェントとして使う実践、AgentCore Browserを使ったブラウザ操作が語られました。
これまでのAI活用は「人間が司令塔となり、AIに作業を依頼する」ものでしたが、遠藤さんは 「AIを司令塔(窓口)にし、AIが人間にタスクを依頼する」 という 「初手AI」 の概念を提唱しています。
これにより 「人間がボトルネックになる問題」を解消 し、人間は付加価値の高い最終判断だけに集中することができます。
具体的な実践方法として、コーディングエージェントである ClaudeCodeを「汎用エージェント」として採用している そうです。
「タスクボックス」を中心に人間とAIが協働し、「イベントソース」や「定期タスク」から起動したAIエージェントが必要なデータを参照しながら自律的にタスクをこなします。
重要なポイントは 「自然言語のマニュアルを用意しておけば、人間がほとんど介入しなくても自律的にタスクを処理してくれる点」 です。
さらに、ブラウザ操作を補う目的で、Bedrock AgentCoreのブラウザ操作ツール 「AgentCore Browser」 が紹介されました。AgentCore Browserはブラウザ環境を 「安全に隔離」 することができ、「Live View(リアルタイムの監視)」 の機能も搭載されています。
特に重要なのが、サーバーレスなので料金が非常に安い ことです。自分でコンテナを立てると常時課金されますが、AgentCore Browserの場合は 「待機中の課金は"一切"発生しない」 ため格安料金で利用できます。
最初にこのClaudeCodeの活用法を聞いたときは、「ClaudeCodeはコーディングエージェントなのに、他の業務まで任せられるのか?」 と感じました。
しかし、CludeCodeは 「MCPによる外部ツール連携」 や 「Agent Skills によるタスク手順のパッケージ化」 を進めているため、実はコーディング以外の業務と非常に相性が良いと思い直しました。
Agent Skills とは?
Agent Skillsは、エージェントに「特定タスクのやり方(手順・知識・テンプレ・補助スクリプト等)」を再利用可能なパッケージとして持たせる仕組みです。
重要な利点は、検索時はメタデータだけを読み込み、"必要な場合だけ" 中身が参照されるため、コンテキストウィンドウの節約になる ことです。AIエージェントはコンテキストが増えるほど性能が低下しますが、Agent Skillsを使うことで、 性能を落とすことなくAIに特定のタスク手順を伝えることが可能 です。
参照: 【Anthoropicブログ】Equipping agents for the real world with Agent Skills
このセッションを聞いて感じたのは、「人間は"主導権"を手放す勇気が求められる」 ことです。大きな発想の転換ですが、結果として多くの業務をAIに任せる"自由"が手に入るのだと思います。
また、AgentCore Browserにもとても可能性を感じました! 会場参加者の中でも使ったことがある人が少ない機能でしたが、 「安全に隔離されたサーバーレスかつ安価なブラウザ環境」 の活用シーンが今後増えていくはずです。
【午後の部 - 20分LT】(追記予定)
ここからは午後の部の20分間のLTについて、私が特に感銘を受けたものを順にまとめていきます。
フレームワークを活用したAIエージェントの評価 ~AIエージェントを育てるために~
登壇者:塚田 真規 さん(三菱電機)
資料:
Amazon Bedrock Knowledge Bases × メタデータ活用で実現する検証可能なRAG設計
登壇者:Tomoaki さん(株式会社LayerX)
資料:
Strands Agents × インタリーブ思考 で変わるAIエージェント設計
登壇者:鈴木 貴典 さん(アクロクエストテクノロジー株式会社)
資料:
全てAWSで完結!AWS AmplifyとViteで始めるスモールスタートなAIエージェント開発のススメ
登壇者:たけのこ さん
資料:
Bedrock AgentCoreを活用したAIエージェント運用共通基盤の構築プラクティス
登壇者:飯田 壮一 さん(株式会社HBA)
資料:未公開
【ランチタイム - 10分LT】(追記予定)
この章ではランチタイムに開催された10分間のLTについて感想を述べていきます。
Strands AgentsとNova 2 Sonicで S2Sを実践してみた
登壇者: Yuuki Yamashita さん
資料:
AIエージェント時代のワークフロー設計:Durable Function・Step Functions・Strands(割り込み処理)の使い分けを考える
登壇者:やくも さん
資料:
Webhookベースのエージェントを構築する際に知っておきたい、AWS Serverlessのキホン
登壇者:岡本 秀高 さん(CircleCI)
資料:未公開
懇親会
イベント終了後、会場内で軽食と飲み物が提供され、横ではLTも回りつつ、参加者同士が自由に交流できる場が提供されました。
よくJAWSやAWS Jr. Championsのイベントに参加されている方はもちろん、初めてお会いする方ともたくさん話す機会となり、とても楽しかったです!
また、公式の1次会の後、MicrosoftやCopilot系のコミュニティによく参加している方と食事に行ったのですが、自分が普段行かないコミュニティのお話を聴けて、非常に多くの学びがありました!
例えば、MicrosoftとAWSの思想・方向性の違い、コミュニティを成立させる「熱量」をどう作るか、自分の次の目標や活動などたくさんのお話をさせていただき、とても楽しい時間でした!
まとめ
いかがだったでしょうか? この記事では「AI Builders Day」で私が聴講したセッションの概要と学びをまとめました。現地参加の雰囲気や熱量を感じてもらえたら幸いです!
私の感想としては、非常に有益で実りのある神セッションばかりで、本当に勉強になりました。すぐにでも検証したい、触って試したいと思える実例が豊富でした!
また、普段交流しない方との繋がりの機会でもあり、1日中楽しみながら学べるイベントだったと感じています!
JAWS-UGを始めとする運営の方々、スポンサー企業の方々には本当に感謝しています!!
おまけ(資料、スポンサー紹介)
本イベントは3トラック同時並行で開催されていたため、私が聴講できなかったセッションもたくさんあります。他の発表内容に興味のある方は、下記の資料をご覧ください。
また、このイベントはスポンサーの方々のおかげで成立していました。例えば、プラチナスポンサーであるAWS社からは、AWSセッションでの登壇に加え、AWSブースでのBuilderCardsの配布など、イベントの充実に大きく貢献していただきました!
その他はスポンサーの方々は以下の通りでした。
プラチナスポンサー
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ゴールドスポンサー
- 株式会社エウレカ
- ガオ株式会社
- アクロクエストテクノロジー株式会社
シルバースポンサー
- KDDIアジャイル開発センター株式会社
- 株式会社ジェネラティブエージェンツ
- レバレジーズ株式会社
- 株式会社エクサウィザーズ
- ランスティア株式会社
- PingCAP株式会社















