概要
弊社では、新人研修として仮想プロジェクトを実施しています。
平たく書くと、2〜3人1チームで、何か動くWebアプリを1ヶ月で作ろうという研修です。
突然こんな研修が始まってしまうと、特にプログラミング完全未経験の人が集まったチームでは「さてどう進めようか?」になってしまいます。
今回の記事では、そんなチームのメンターをしていく中で、「あと2週間!けど完成しそうにない!」に遭遇してしまった際に行ったワークについてざっくり書いていきます。
課題だったこと
そもそもこのチームの課題は、
- タスクの洗い出しが苦手で、全体の工程の中で今自分たちが何を終えていて何をしないといけないのかの把握が難しい
- その状況をメンターが伝えても、いまいちピンと来ていない様子
ということでした。
未経験なので、そうなってしまうこと自体は当たり前です。
ただそれでも時間は容赦なく過ぎていき、完成発表会はどんどん近づいてくるわけで。
口で伝えても伝わりにくいので、いっそ手を動かして実感してもらおう、ついでにスケジュールも立て直してもらおう、と思い、下のようなワークを実践してもらいました。
ワークの内容
ざっくり以下の内容です。
- 現状のプロダクトを、チームメンバーとメンターで一緒に動かしてみる
- 動かした結果を元に、完成までに「何が足りていないか」「どんな機能を追加したいか」を、大小問わず洗い出していく
- 各々が思う優先度で洗い出した結果を分類してみる
- 全体の意思で分類の最終決定をする
- 分類を元に、スケジュールを立て直してもらう
ちなみに今回はメンターが2人いたため、1人は進行役として、1人は実際にワークに参加しました。
1. 現状のプロダクトを、チームメンバーとメンターで動かしてみる
とりあえず開発環境で動かします。
- クリックできそうな部分は全部クリック
- 見た目もチェック
- 入力する部分は限界まで入力
壊せそうだなと思ったら壊す
そうして触りまくり、気になった箇所や動かなかったはメモ書きしていきます。
2. 完成までに「何が足りていないか」「どんな機能を追加したいか」を洗い出し
1で各々がメモ書きなり記憶なりで残したことを、とりあえず付箋に書き出していきます。
今回はページ数が少ないWebアプリだったので、画面ごとに書き出してもらいました。
洗い出しで出た内容は、例えば
- そもそもCSSがあたっていない
- ログアウトがログアウトになっていない
- (作ったのがメンバー紹介アプリだったので)自分自身の情報以外は編集できないようにしたい
などです。
3. 各々が思う優先度で洗い出した結果を分類してみる
ひとまず各々が1つ1つの付箋に対し、下の基準でアイコンをつけていきます。
- 仮面(またの名を米粒)・・・譲れない最低ラインで、完成発表会までに絶対仕上げるタスク
- 星(⭐️)・・・できれば完成発表会までにやりたいタスク
- ハート(♡)・・・ここまでできれば上等だよね、というタスク
※ アイコンの選択に深い意味はありません。
4. 全体で話し合い、分類の最終決定をする
3で各々が置いたアイコンについて、以下のルールで話し合いをします。
- 仮面のアイコンが1つでも置いてある付箋→星が置いてある付箋→ハートがおいてある付箋、の順に確認していく
- 置いたアイコンが全員一致した場合、その優先度で決定
- 置いたアイコンが一致しなかった場合、なぜそう思うのかをそれぞれに確認し、最終決定をする
話し合いが終わった付箋は、全員が結果を把握できるように整理していきます。
今回は、ホワイトボードアプリに新しくスペースを作り(通称:国旗)、そこに置いていきました。
実際の結果がこちらです。
(現在は加筆が入り、青色のスペースの付箋が黄色や赤色に移動した様子です)
5. 分類を元にスケジュールを立て直してもらう
あとはスケジュールを立て直してもらうだけです。
基本的に、
赤色に置いたタスクを仕上げてもらって手動テスト→余裕があれば黄色からタスクを取り出してもらって手動テスト
の流れで進めてもらうように伝え、ワークは終わりです。
後でこっそり覗いてみたところ、付箋の数がワーク時よりさらに増えてました笑
出来上がったスケジュールがこんな感じです。
ワーク後の変化
このワークの前後で、新人たちがどんなふうに変わったかを観察してみました。
- 「何が足りていないか」の会話が生まれたり、それを元にタスクを作り出せるようになった
- スケジュールが超具体的になった
- タスクの粒度が細かくなったことで、出社時や退社前に誰がどのタスクをやるか、遅れているタスクをどう振り分けるか、の会話がしやすくなった
このワークの思わぬ副産物として、なぜかチーム内の会話が増えてました。
おわりに
最終的に、動くものが出来上がり、無事に完成発表会を終えることができました。
当日の発表会を見ながら、「初めて授業参観を見に行く人ってこんな気持ちになるんだろうな」と思ったことを覚えています。
結論、未経験チームでは、兎にも角にも何らかの形で可視化して実感してもらうのが一番伝わりやすいなーと思いました。