はじめに
AWS Summit Japan 2026 に参加しましたので、そのレポート記事になります。
今年はブース周りをメインに回ってきました!ブース展示では各社の最新動向や担当者とのディスカッションを通じて、様々な気づきや学びが得られました。
AWS Summitの概要は下記公式ページをご確認ください。
ブース展示
オントロジー・ナレッジグラフ for AI エージェント
AWSがちょうど一週間前に発表した AWS Context の紹介がありました。
構造化・非構造化データから意味付与を行い、関係グラフを構築するレイヤーです。
よく AI 関連で話題の多いオントロジーですが、これはデータの構造化そのものが目的というより、様々なフローなどをルールベースに落とすこと(+検索可能な状態にすること)が目的 ということを理解することができました。
そこまで仕上げれば、AIを介在させることなく瞬時に処理を実行することができるということで、金融・建築・法務など、再現性が特に求められる領域では確かに強力なアプローチだと思います。
逆に言えば、分析系のユースケースのように「出力の揺らぎ」を活かしたい領域とは、少し方向性が異なる概念かもしれません。意味グラフを使った検索への応用は有用そうだなという印象を持ちました。
Databricks
Databricks Championになるには?
社内では Databricks の活用機運が高まっており、Databricks Champion を目指す話も聞くようになっています。
主には、資格取得・外部発信・コミュニティ貢献・JEDAI登壇などが求められるそうです。
Databricks側が活動を日頃から見ており、場合によっては声がかかるようです。継続的な発信が大切そうですね。
Genie オントロジー
従来の Genie はテーブル参照のみでしたが、新しい Genie オントロジーでは テーブル・ダッシュボード・クエリ・パイプライン・外部アプリ から知識を抽出・グラフ化して知識を更新する仕組みへと進化しています。
いちいち詳細を教え込む必要がなくなっていく方向性は、確かに運用負荷が下がって便利になりそうだと感じました。
AWS AI アーキテクチャレビュー
WA Skills & Steering の紹介を受けてきました。実際の動きを見ましたが、なかなか使えそうな印象です。
Well-Architected フレームワークをベースに AI アーキテクチャをレビューしてくれるスキルで、 一般公開されている とのこと。「どんどん使ってください」と言っていただいたので、気になる方はぜひ。
- スライド資料: https://pages.awscloud.com/rs/112-TZM-766/images/AWS-Summit-Japan-2026_A108_1.pdf
- GitHub: https://github.com/aws-samples/sample-well-architected-skills-and-steering/tree/main/skills
ClickHouse
Databricks と機能領域がかなり重なっているサービスで、比較文脈でも話を聞けました。
- Claude-powered agentic analytics(https://clickhouse.com/blog/clickhouse-agents-beta)
- リアルタイム分析・SQL集計が高速
- ただ、データガバナンスや AI 統合の観点では Databricks に軍配が上がりそう
製品比較材料として、性能周り重視か、ガバナンス周りを意識するかで差が出てきそうです。
Snowflake
AI エージェント時代へのシフト
Snowflake は "AI エージェントが企業の業務プロセスを継続的に自律実行する時代" へのシフトを強く打ち出しています。そのハブとなるのが Horizon Context — エンタープライズ全体の「ビジネスコンテキスト」をガバナンスしながら一元管理する意味的基盤です。
主な新機能・改名
| 旧称 | 新称 | 概要 |
|---|---|---|
| Snowflake Intelligence | Snowflake CoWork | ナレッジワーカー向けの個人エージェント。Q&A だけでなく PDF・PowerPoint 生成まで対応 |
| Cortex Code | Snowflake CoCo | データスタック向け AI コーディングエージェント。デスクトップアプリが GA |
その他の注目発表
- Snowflake Datastream — Kafka 互換のフルマネージドストリーミング。1 秒未満の低レイテンシで Snowflake へネイティブ連携
- AI Credits — 2026年4月より AI 機能専用クレジット体系を新設。従来の Platform Credits と分離管理
- Cortex Sense — データ・ビジネス定義・業務ナレッジを統合することで精度 83% を達成したと報告
TiDB
分析DBでは無いですが、TiDB にも伺いました。
"Agentic AI のためのデータベース" という明確な方向性を打ち出しており、話を聞いていてポジショニングがはっきりしていると感じました。
TiDB X
OLTP・分析・ベクター検索・AI ワークロードを 1つのプラットフォーム で完結させる構想。データサイロを作らず、AIエージェントと現代的なアプリケーションを同一基盤で動かせるのが強みです。
ネイティブベクター検索では、リレーショナルデータとエンベディングを同一テーブルに格納し、コサイン距離・L2・内積を標準 SQL で実行できます。
Agent State Stack
2026年、SuperAI Summit Singapore で発表された Agent State Stack は、AI エージェントに「耐久性のあるメモリ・永続的な状態・継続的なコンテキスト」を提供するデータ基盤です。スケールしても状態が壊れない点がエンタープライズ向けの訴求ポイントになっていました。
AWS 量子コンピュータ(Amazon Braket)
量子コンピュータは「まだ先の話」というイメージを持っていましたが、AWS の取り組みを聞いてロードマップが着実に進んでいることを実感しました。
Amazon Braket とは
Amazon Braket は AWS が提供する量子コンピューティングサービスです。量子回路のシミュレーションから実機ハードウェアへのアクセスまでをクラウドで一括提供しています。
Cat Qubit アーキテクチャ(Ocelot チップ)
AWS が独自開発している量子チップのアプローチが Cat Qubit(猫量子ビット) です。2025年2月に Nature 誌へ論文掲載された Ocelot チップ がその最初の成果です。
Cat Qubit の最大の特徴は、ハードウェアレベルで ビットフリップを大幅に低減 できること。誤り訂正コードはフェーズフリップだけに集中できるため、論理量子ビット1つを実現するのに必要な物理量子ビット数を大幅に削減できます。AWS はこのアプローチにより耐障害性量子コンピュータの実用化を 最大5年短縮 できると主張しています。
QuEra との連携・2028年ロードマップ
AWS は QuEra Computing との戦略的連携を深め、2028年に耐障害性量子コンピュータを Amazon Braket で提供することを目指しています。
QuEra の Libra システム(中性原子方式)のスペックは以下の通りです:
- 物理量子ビット:10,000 以上
- 論理量子ビット:256(megaquop クラス)
- 次世代:1,000 論理量子ビット超の gigaquop クラスへ
対象アプリケーションは計算化学・高エネルギー物理・凝縮系物理など。Harvard / MIT の査読済み研究を基盤とした、室温動作・モジュラー設計が特徴です。
AWS 独自の Cat Qubit ハードウェアは 2027〜2028 年に Braket へ統合予定とのことで、複数アプローチを並走させている点が印象的でした。
まとめ
今年はブース周りメインでしたが、各社担当者と直接ディスカッションできる機会は非常に有益でした。
特にオントロジー・ナレッジグラフ周りの話はなかなか深い内容で、AI エージェントとの組み合わせについて改めて考えさせられました。
Databricks・ClickHouse それぞれの立ち位置の違いも整理できたのも収穫です。
AWS の量子コンピュータは「2028年」という具体的なロードマップが示されており、思ったより現実的な射程に入ってきているんだな、という印象を受けました。
現地参加ならではの情報収集・ネットワーキングができる AWS Summit は、来年もぜひ参加したいと思います!
おまけ:New Relic Tシャツ、全色コンプリート
New Relicさんのブースですが、過去に白T、黒Tを頂いていたのですが、今年ついに 緑Tをゲットし3色コンプリート を達成しました!
毎年コツコツ集めてきた甲斐がありましたね、よかったです!




