はじめに
Salesforceでは年3回のメジャーリリースがあり、Salesforceを運用する上で避けては通れません。
しかし、その手順や準備はなかなか複雑で大変なものです。
今回は、メジャーリリース時の準備と手順についてまとめてみました。
Salesforceのメジャーリリースとは
Salesforceをアップデートすることを目的に定期的に実施されるリリースです。このリリースでは新規の追加、パフォーマンスやセキュリティの改善、総合的なシステムのアップデートを目的に実施されます。
リリースは年3回、2月、6月、10月に実施されます。それぞれのリリースに下記のような名称がついています。
リリース月 | 名称 |
---|---|
2024年2月 | Spring'24 |
2024年6月 | Summer'24 |
2024年10月 | Winter'25 |
10月のリリースは2024年なのに「'25」となる点がややこしい..
メジャーリリースに伴うリグレッションテスト
リリース実施前には、リリースが既存機能に与える影響を確認するためのテストを実施する必要があります。
テストを実施することで、リリースが業務に及ぼす影響を事前に把握し、対処することができます。リリースによって想定外の不具合を発生させないためにも非常に重要な作業となります。
リグレッションテストの主な確認事項は下記になります。
- 開発部品の動作確認
フロー、Apex、Visualforce、外部システムとの連携機能等 - 重要処理の動作確認
主要業務フローのシナリオテスト実施 - メジャーリリースによる変更の確認
UIの変更内容の確認や、自動的に有効化される新機能の確認
スケジュール
メジャーリリースのおおよそのスケジュール感は下記のようになります。
※参考:https://trailhead.salesforce.com/ja/trailblazer-community/feed/0D53A00002zDi3CSAS
[JP]-Salesforce メジャーリリースにおけるテストの考え方.pdf
Sandboxプレビュー期間というものが設けられています。この期間にSandbox上にのみリリース内容が反映されるので、リグレッションテストを実施します。
尚、Sandbox上にリリース内容を反映するためにはsandboxプレビュー参加対応期限までにプレビュー用Sandboxを用意する必要がありますのでご注意ください。
リリース手順
具体的なリリース手順について解説していきます。
リリース分析
- 英語版リリースノートが公開されたら内容を確認し、想定される影響範囲を調査します。
日本語版リリースノートはSandboxプレビュー期間中の公開になってしまうので、英語版でおおよその内容を把握する必要があります。
翻訳しながら確認していきましょう。 - リリースノートの内容を踏まえてテスト観点・テスト範囲を整理しましょう。
- Sandboxプレビュー期間の確認をしましょう。
リリース日はインスタンス毎に異なるため、該当するインスタンスのメンテナンス情報を下記URLから確認します。
URL:https://status.salesforce.com/
テスト計画
- テストケース・スケジュールの作成
- Sandboxのリフレッシュ
現新比較のために、プレビュー用と未プレビュー用の2種類のSandboxを用意することが望ましいです。
プレビュー用のSandboxはSandboxプレビュー参加対応期限までに用意しましょう。
テスト実行
- 作成したテスト計画を元にリグレッションテストを実施します。
- 不具合があった場合は、本番リリース日までに修正対応します。
修正が間に合わない場合は原因の新機能を無効にする等の対応が必要になります。
ユーザー通知
- リリーススケジュールの説明、新機能や変更点の説明、社内ヘルプデスクや管理ユーザーへの教育等を実施し、ユーザーに必要事項を通知します。
本番リリース
- リリース時間帯に起動するバッチが起動することのないように確認します。
- リリース後に本番環境で基本的な動作確認テストを実施します。
- 動作確認で問題がなければ、ユーザーへリリース完了通知を実施します。
おわりに
リリース手順についてまとめさせていただきました。
リリース手順は注意点が多く複雑ですが、Salesforceを運用する上で非常に重要です。
ご参考になれば嬉しいです。