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JUnit 5のビルドシステムを探る(その2)

Last updated at Posted at 2023-12-04
YUMEMI New Grad Advent Calendar 2023

前回はJUnit 5のリポジトリの構成を見ていきました。今回は各プロジェクトで共通に使用されているプラグインについてみていきます。

JUnit 5のライセンス Eclipse Public License - v 2.0

JUnit 5のリポジトリ

この記事は f5b78f68c6a90dfa63611c7a10027581c5d913ba での内容をベースにしています。
記事の中に出てくるコードはすべて上記のリポジトリからの引用です。

概要

前回の記事

前回は gradle ディレクトリ以下にプロジェクト共通で使用されている設定やプラグインのファイルが置かれていることを確認しました。

今回は共通の設定を定義しているプラグインについてみていきます。

共通で使われている設定について

JUnit 5ではマルチプロジェクトの構成がとられています。
前回見た通り、 settings.gradle.kts ファイルで各サブプロジェクトの読み込みをしています。

公式のドキュメントはこちらです。

JUnit 5では各サブプロジェクトに <project name>.gradle.kts ファイルが置かれそのファイルを読み込むよう設定されています。ドキュメントの例では build.gradle.kts が置かれている点が異なりますが同じように動作します。

サブプロジェクトを定義すると、共通な設定の記述をまとめたくなります。そこでGradleでは2種類の方法で設定を共有することができます。

  1. Convention Pluginsの定義
  2. subprojects {}allprojects {} を使う方法

JUnit 5では1つ目のConvention Pluginsの方法がとられています。
このプラグインたちは gradle/plugins 以下に置かれています。settings.gradle.kts ファイルで includeBuild されているディレクトリです。
このディレクトの中にbuild-parametersとcommonのサブプロジェクト(プラグイン)があり、gradle/plugins/settings.gradle.kts から読み込まれています。

pluginManagement {
	includeBuild("gradle/plugins")
	repositories {
		gradlePluginPortal()
	}
}

build-parameters

このプラグインではビルド時に使われる各種変数の管理をしています。
org.gradlex.build-parameters のプラグインを利用し変数を定義しています。
CIで実行しているか、テスト時の設定、公開時の署名の設定などの変数がまとめられています。

bool("ci") {
    description = "Whether or not this build is running in a CI environment"
    defaultValue = false
    fromEnvironment()
}

このような記述で各プロジェクトで使える変数として設定しています。

common

このディレクトリの配下にある、gradle.kts のファイルが全てプラグインです。拡張子が kt のファイルはKotlinで記述されたデータ構造や拡張関数、タスクです。

gradle/plugins/common/build.gradle.kts

まず gradle/plugins/common/build.gradle.kts のファイルを見てみます。

このファイルではcommon配下のプラグインで参照されているプラグインのバージョンを定義しています。
dependencies のブロックの中の、implementation でバージョンを定義しています。

dependencies {
	implementation(projects.buildParameters)
	implementation(kotlin("gradle-plugin"))
	implementation(libs.gradle.bnd)
	implementation(libs.gradle.commonCustomUserData)
	implementation(libs.gradle.enterprise)
	implementation(libs.gradle.foojayResolver)
	implementation(libs.gradle.shadow)
	implementation(libs.gradle.spotless)
	implementation(libs.gradle.versions)
}

(libs.gradle.* のような表記になっていますが、これでバージョンごと定義したことになります。詳しくは次回見ていきます)

junitbuild.base-conventions.gradle.kts

次にプラグインの例として junitbuild.base-conventions.gradle.kts のファイルを見てみます。

このファイルでは他のプラグイン(eclipe, idea, common配下のプラグイン)への依存関係が記述されています。

plugins {
	eclipse
	idea
	id("junitbuild.java-toolchain-conventions")
	id("junitbuild.spotless-conventions")
}

junitbuild.base-conventions のプラグインを使うだけで、他のプラグインへの依存関係を定義したことになります。

junitbuild.kotlin-library-conventions.gradle.kts

もう少し複雑な定義の例として junitbuild.kotlin-library-conventions.gradle.kts のファイルを見ていきます。

このファイルではKotlinのビルドに関する設定が記述されています。
バージョンを設定するプラグインを用意しておくことで、どのプロジェクトでも同じKotlinのライブラリを使用して開発やビルドができます。

tasks.withType<KotlinCompile>().configureEach {
	kotlinOptions {
		apiVersion = "1.6"
		languageVersion = "1.6"
		allWarningsAsErrors = false
	}
}

またビルド時のJavaのバージョンの指定も行っています。

tasks {
    withType<KotlinCompile>().configureEach {
        kotlinOptions.jvmTarget = extension.mainJavaVersion.toString()
    }
}

ここのプロジェクトで指定すると漏れが出てきてしまうような項目も、プラグインで共通化することで設定しやすくできます。

おわりに

今回は各プロジェクトで共通に使用されているプラグインについてみていきました。
今回紹介していないファイルにも様々な設定が書かれていますので参考になります。
Build ScanのPluginsを参照するとどのプロジェクトにどのプラグインが設定されているかわかります。

次回はバージョンの記述についてみていきます。

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