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Step Up Houdini!階段をつくろう

Last updated at Posted at 2017-11-30

この記事はHoudiniアドベントカレンダー2017 1日目の記事です。

Houdiniには多くの機能があり、目的に対して様々なアプローチがあります。
(そこが面白いところでもあり、難しい所なのですが。)

今回は僕がHoudiniを最初に使いだした頃に取り組んでいた「階段」をテーマに
いろんな方法で階段を作っていきます。

*hipファイル:https://drive.google.com/open?id=1cGAutLmJvjvVo4fKyvKneLq3ARVIUdiq

「普通の階段」

利用SOP:Copy Stamp,Duplicate
normal.PNG

階段を1段ずつ複製します。
複製はCopy StampとDuplicateどちらでも可能です。
copyanddupulicate.PNG

この2つの違いはほとんどありません。duplicateのほうが
copyよりも単純なため少し早い程度の違いです。

「らせん階段」

利用SOP:Resample,PolyFrame,Copy Stamp
spiral.PNG
lineやcurveを利用して、階段を作成します
polyframeを利用すると、簡単に法線、接線、従接線を取得できます。
polyff.PNG

法線が正しく設定されていれば、copySOPが正しい向きに階段を配置してくれます。
spiral2.PNG

「ぐにゃぐにゃ階段」

利用SOP:Divide,Foreach
階段が常に直線とは限りません。特殊な形状の階段を作るにはどうすればいいでしょうか。
上の段になるほど、横幅を縮めるstampやscaleを利用する方法もありますが、ここではdivideを利用してみます。

まず、階段にしたい形状を用意します。
gunya1.PNG
Wrangleにはupvectorとpscaleのばらつきを設定します。

points
@up={0,1,0};
@pscale=chf("stairwidth")+rand(@ptnum);

sweepを行います。
gunya2.PNG

そのあとはdivideで一度内側のエッジを全て削除します。
removesharededge.png
その直後にもう一度divide(BrickerPolygon)を行います。xとzは仮の数値として1000という大きい数値が入っています。
divide(BrickerPolygon)はバウンディングボックスの端を0として計算しているので、大きすぎる数値が入ると分割がされません。これを逆手にとってy方向のみ段差の高さで分割します。
xz1000s.png

段差別に分割されたので、段差ごとに平らにしていきます。段差1段につき1primitiveとなっているので、Foreach内でprimitiveのscaleをY座標:0にして平坦化させます。

pettan0.png

「岩の階段」

利用SOP:VoronoiFracture,VDB
iwa.PNG

ぐにゃぐにゃ階段の応用として、VDBを使って岩の階段を再現します。

岩は人工物ではないので、切れ目がランダムです。しかし、完全なランダムではありません。
なぜならば、人が歩きやすい階段にするために、あるルールをもって配置するからです。
では、この場合の配置ルールを想定してみます。

①1段の高さは等しい
②1段を2つに分割する必要はない
③切れ目は縦に切れている

以上のルールを実現するために、ボロノイを利用します。
ただボロノイをかけると、ボロノイっぽくなってしまうので、段差ごとにForeachをかけてseedの違うscatterを発生させます。
voronoi6s.png

scatterの偏りを生じさせるために、scatter前後にZ方向の縮小をかけます。
右に行くほどscatterを行った際にZ方向の縮小が強くなっています。前段階のtransformでZ:0.5とした場合、元に戻すために後ろのtransformで1/0.5として、元の大きさに戻します。
voronoi5.png

ボロノイで縦にしすぎると岩らしさが無くなってしまうので、ちょうどいい塩梅を見つけます。

ボロノイの注意点として、gridのように高さのない面の場合はそのまま切れるのですが
高さのある面の場合は、backfaceにサーフェスができることがあります。

ですので、一度上を向いているサーフェスだけ抽出します。
抽出するためには法線が上に向いているかを確かめればよいので、法線と{0,1,0}の内積をとります。
上を向いている場合は-1、下を向いている場合は1になっています。

primitives
if(dot(@N,{0,1,0})<-0.5){
 removeprim(0,@primnum,1);
}

下向きのbackfaceは一度削除します。

次に岩の角を丸める処理を追加します。今回は、resampleを利用した後にrelaxをかけて丸みを追加します。
そして、polyextrudeを行った後、groupを利用して70度以上のedgeを取得します。そのgroupにpolybevelを
加えます。(なんとなく岩っぽく変形した?)駄目押しで、一度ポリゴンからVDBの変換を行います。
voronoi7.PNG

これらの一連の処理を岩1個ずつforeachで回します。本当は重くなるので、やりたくないのですが、
VDBの解像度をかなり上げないと岩同士がくっついてしまいます。
*VDBSmoothで丸みをつけることや、VDBcombineのSDF~で岩の傷をランダムに与えることも可能です。

問題ないレベルになったら、converVDBでポリゴンに戻します。
最後はポリゴン数を抑えて、autoUVを適用します。

「エスカレーター」

利用SOP:Wrangle(UVアニメーション)
es0.gif

エスカレーターは足場をループをさせる必要があります。
今回は法線の向きに気を付けて、頂点をUVに沿って移動させる手法を取ります。

UVをNURBS Curveから取得する

UVとNURBS Curveの相性は抜群です。なぜならば、NURBSの始点がUVの0、終点が1になるからです。UVTextureのTextureTypeはUniformSplineを選択します。
UVNURBS.PNG

UVが取得できたので、一見このまま進めばいいように思えます。しかし、ここで落とし穴があります。
エスカレーターのようにUVがループ状になった場合、頂点とUVでずれが生じます。始点(0)と終点(11)は別のPositionにいるにも関わらず同じUVの値を持っています(0=1)。
例:UV0の頂点位置からUV1の頂点位置に移動すると一周したように思うが実際は頂点0の前の頂点11にいる
UVNURBS3.png
この状態を解消するにはNURBS CurveのArc TypeをClosedからOpen Arcに変更するか、Carve(Curveじゃないですよ)を利用する必要があります。Carveの方がポリゴンをNURBSにコンバートした後の始点移動調整が簡単なので便利です。
UVNURBS4.png

落とし穴はもう一つあります。
ループさせるために始点と終点をfuseで繋げようとするとどうなるでしょう。
UVNURBS6.png

fuseするとattributeが補完されてしまうので(1+0)/2となり0.5となってしまいます。
解決策としては。Wrangleで

points
if(@ptnum==0){
@uv.x=0
}

を直接代入するか、fuseを利用せず始点か終点のどちらかの頂点を削除した後addSOPで結合させます。

addSOPでポイント番号順にVertexを繋げる

addSOPを利用してClosedな状態に変換します。addSOPはこのエスカレーター作成の肝となります。
なぜaddSOPか。それはpolyLineやpolyを簡単に作ることができるからです。
Add3.png

UVNURBS7.png
これを、ポイント番号が整列された4つのpolylineに適用すると、エスカレーターの形ができます。
Add6.png

primUVで頂点をぐるぐるする

全ての下準備が完了しました。最後はprimuvを利用して回転を行います。

points
float uvp=@Time*ch("../control/speed");
float puv=(uvp+@uv.x)%1;
@P=primuv(1,"P",0,set(puv,0));

esloop.gif

ポイントはpuv=(uvp+@uv.x)%1の「剰余(%)」です。UVは0から1の範囲で値があるので、単純にオフセットしていくと1を超えてしまいます。そこで余剰を行います。すると0~0.999はそのままに、1.0 が 0.0 、 1.2 が 0.2に変換されて取得できます。結果としてUV内でループが発生します。
そしてprimuvでポイントを@Timeや@Frameなどを利用してオフセット分ずらします。

法線の方向は人が乗っている間は平衡にする必要があります。
そこでバウンディングボックス内に存在するpointのY座標の法線を0にしてnormalizeします。
esloopN.gif

法線が正しく設定されたのでcopystampで台をコピーすればいい感じの方向に向いてくれそうですね。
最後に、手すりなどいろいろくっつけて、エスカレーターの完成です!

まとめ

以上5つの階段でした。このように同じテーマだけど違うやつに取り組むと
自分の知らない機能についての知見も増えると思います。

様々な方法を知れば知るほどHoudini力はステップアップしますよ。

次は satoruhigaさんの「HoudiniをOSCタイムラインとして使う」です!

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