はじめに
みんな大好きExcel。
元々表計算ソフトにも関わらず、その使いやすさと手軽さから、ちょっとした会議の資料や議事録など、表計算に留まらずExcelを使っているという人も多いのではないかと思います。私も毎日お世話になっています。
一時的な参照資料程度であれば良いのですが、複数人が参照・更新するような情報をまとめたい場合の、いわゆる「管理帳票」の用途でもついついExcelを使用してしまうのでないでしょうか。
かくいう私も、新卒で入社した会社で当たり前のように管理帳票にExcelが使われていた事からExcelの管理帳票を使う事に慣れてしまっており、転職して入ったプロジェクトでも特段疑問もなくExcelの管理帳票をしばらく使っていました。今振り返ると、日々の業務に追われて時間がないにも関わらず、Excelの管理帳票とのにらめっこにかなりの時間を割いてしまっていました。
そんな中、WebDBとしてのkintoneの存在を知り、「これは使える!」と確信して既存のExcelの管理帳票を片っ端からkintoneに置き換えた所、それまで発生していた無駄な作業の時間が劇的に減り、本来の業務に時間を割けるようになりました。本記事は、実際にkintoneを活用してExcel管理帳票をWebDBに置き換えてみて気付いた、WebDBの5つのメリットとExcelの管理帳票の問題点を合わせて書いて行きたいと思います。
本記事の対象読者は以下です。
- Excelの管理帳票を現場で利用している方(Excelとのにらめっこが多い方)
- WebDBやkintoneの名前は聞いた事はあるが何が良いのかよくわからない方
kintoneとは
kintoneは、サイボウズ株式会社が提供しているビジネスアプリ作成クラウドサービスです。1ユーザー月額1000円程度と非常に安く、2011年から販売開始され、現在では導入企業数が10,000社を突破しています。様々な機能があるのですが、主要な機能を簡単にまとめると
- ノンプログラミングでビジネスアプリケーションが作成でき、「顧客リスト」「案件管理」「アンケート」などが簡単に作れる。作成したアプリケーションは即座にチームに共有可能。
- ユーザー管理機能があり、「参照・編集権限設定」「通知設定」などが可能。
- スペースという掲示板のような機能があり、活動グループ毎や部署毎でちょっとしたホームページのようなものを作って社内に公開可能。
プロセス管理やチャットの機能もあり、APIが揃っている上にJavaScriptでのカスタマイズも可能なのですが、今回は私が最も効果を実感した、管理帳票の置き換えの観点でのメリットを5つ紹介したい思います。
置き換えメリット1. 「パス教えて」がなくなる
Excel管理帳票のあるあるが、「パスどこだっけ?」という問題。
皆さんも一度は経験した事があるのではないでしょうか。そもそもリンクを残していない人が大半な上に、フォルダ構成やファイル名が少しでも変わった瞬間にリンクが切れるため、「パス教えて」という要件だけのメールが頻繁に飛び交います。私も毎週のように誰かに聞かれ、それだけのコミュニケーションに相応の工数が取られていました。
一方、kintoneではアプリケーションを「名称」ではなく、「ID」で認識するため、一度お気に入りに登録しておけば、アプリケーションのタイトルが変わったとしてもリンクが切れる事はありません。また、エクスプローラーのように全ファイルの中から管理帳票を探す必要はなく、アプリケーションの単位で一覧化されているので、一覧を確認すればすぐに見つかります。kintoneに置き換えた所、Excelの管理帳票の頃にあれだけあった「パス教えて」というやり取りがほぼゼロになりました。
この後気付いたのですが、「パス教えて」というやり取りがなくなってから管理帳票の鮮度が大きく上がりました。管理帳票はどれだけ最新の情報が記載されている状態を保てるかという所が肝なのですが、パスがよくわからなくなるという事は、各利用者からすれば参照・更新するのが面倒という事になりますので、みるみる情報が劣化していきます。
Excelの管理帳票を久しぶりに開いた所、情報が古いままであったという事も多いのではないでしょうか。「パス教えて」がなくなる事で、無駄なメールのやり取りがなくなった上に、各利用者に管理帳票の存在が浸透し、管理帳票が管理帳票として正しく機能するようになりました。
置き換えメリット2. 入力ミスが劇的に減る
無駄な時間の削減という意味で圧倒的に効果が高いのがこれです。Excelは項目レベルでの細かい設定ができないため、管理帳票として使用した場合に様々な問題が発生します。
既存のデータが誤って編集・削除されている、関数がベタ書きの値で上書きされている、承認者の確認欄に何故か記入者が名前を書いている、入力必須の項目が空欄のままである、などなど、皆さんも経験があるのではないでしょうか。
その度に帳票の管理者には、内容の確認と修正作業が発生するのですが、この作業にかなりの時間がかかります。私も10人以上が適宜情報を追加する帳票を管理しており、毎週その帳票を元にプロジェクトの状況を報告していたのですが、情報の修正に毎週半日程度、ひどい時は丸1日かかっていました。入力項目をプルダウンにしたり、項目名を工夫したりと色々と試行錯誤はしてみたものの、根本的な解決には至りませんでした。
kintoneにはこの辺りの問題を解決する仕組みが揃っており、まず、Excelで言う行の単位でロック出来る機能があるため、既に入力が完了している行をロックしておけば、データが誤って編集・削除されるといった事がなくなります。また、項目毎の権限設定も可能なため、承認欄をチェックできるのは上長のみといった設定も可能になります。入力必須項目の設定も可能なため、必要なデータの入力漏れもなくなりました。
kintoneに置き換えてから、いわゆる入力ミスはほとんどなくなり、毎週半日かかっていた私の修正作業も5分程度の確認作業のみになりました。私の確認・修正時間が減っただけでなく、利用者からも入力方法がわかりやすくなったとの声をもらい、まさに一石二鳥でした。
置き換えメリット3. 更新通知設定で定期的な確認が不要になる
個人的にかなり使えるなと思ったのがこの更新通知設定です。
Excelの管理帳票の場合、Excelへの記入や更新を誰かに依頼した後、更新してくれたかな?とちょくちょく確認する事があると思います。特に、管理帳票への記入をトリガに何か自分が対応しなければならない場合、定期的に何か更新されていないか確認している方も多いのではないでしょうか。
kintoneには何か更新があった際にメールで通知する機能があるため、この設定をしておけば定期的に確認しなくても更新がすぐにわかります。通知の条件設定も可能なため、自分が知りたい更新に絞った通知を受け取る事もできます。定期的な確認をkintoneに任せてしまえるので、自身の業務に集中できるようになった上に、実は更新されていた事に気付いていなかったという事もなくなりました。
置き換えメリット4. リマインダーで対応漏れがなくなる
こちらも同じく通知の話ですが、kintoneでは日時項目を条件にリマインダーが設定できます。例えば、「対応期日」という項目があった場合、対応期日の1週間前になってもステータスが完了になっていない場合、メールで通知するといった設定が可能になります。私はソフトウェアのライセンス管理に使用し、ライセンス失効日の1ヶ月前になったら通知するという設定にする事で、いつの間にかライセンスが失効していたという事がなくなりました。
置き換えメリット5. 項目毎に参照権限が設定できる
最後は、今考えるとExcelの頃はよくやっていた話なのですが、Excelで困るのが全ての情報が見えてしまうという事です。例えば、他部署からの業務依頼を共有のExcelで管理しているような場合、情報としては一箇所に固めておきたいので、対応予定日や優先度、対応者などの内部用の情報も書きたいのですが、他部署に見えてしまうと色々と言われる可能性があるので書き込めず、ほとんどの情報が同じにも関わらず内部用の帳票を別途作成したり、出来れば見て欲しくないという理由で特定の項目を非表示にした所、逆に見て欲しい人が非表示になっている事に気づかなかったりと、項目毎の参照権限の設定がないための問題がしばしば発生します。
kintoneでは、アプリケーションの単位はもちろん、Excelで言う行や列の単位でも参照権限の設定ができます。つまり情報は全て一箇所に固めながらも、あのチームにはここだけ見せたい、このチームにはここまで見せたいといったビューの設計が可能になります。この設定がある事で、不必要な内部用の帳票を作る事なく、情報を一箇所にまとめられるようになりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Excelを普段からよく使うという人には、あてはまる話も少なからずあったのではないかと思います。今回、kintoneのメリットについて書きましたが、重要なのはExcelの管理帳票ではkintoneにできるこれらの事が全て出来ないという事です。実際に置き換えてみて、社会人になってからExcelの管理帳票にかなりの無駄な時間を費やしてしまっていた事に気付きました。
Excelの管理帳票が全て駄目という事はもちろんありませんが、慣れているからという理由だけで安易に管理帳票をExcelで作らず、kintoneのような専用ソフトを使用する事で、本来不要であるはずの作業に時間を費やす方が少しでも少なくなれば幸いです。